ドキドキドキドキドキドキ…
心臓の音がやけにうるさく聞こえるような気がする。
絶対気のせいだって分かってるけど、そうじゃないかもしれないからと適当な理由を付けて、沖田はパチリと瞼を上げた。
…まだ真っ暗。
夜中なのに、パチリと大きく開く瞳だけを器用に動かして辺りを見たら、まだまだ自室は夜の闇の中。
…ネムれねー。
早く朝になればいい。
そう思うのに、時間はまったく過ぎてくれない。
…あと数時間後のことを考えたら。
その時間が来れば、綿密に立てられた計画がようやく実行される―――…。
眠れない夜はよくあるけれど、ワクワクして眠れないなんて久しぶりだ。
今日の夜のことを考えたらワクワクドキドキ。
まるで遠足前夜の小学生みたいだ。
ワクワクし過ぎて眠れないなんて。
早く朝になって、そのまますぐに夜になって。
いつもあんたの遊びとやらに俺が付き合ってやってんだ。
だからたまには俺の遊びにも付き合って下せぇよ。
ね、土方さん?
* * *
アニメ監禁編に先立って。
今の私の心境ですが、沖田くんも計画実行
「…ぁ、ちょっ、ひじかたさ…あ、」
器用な大きなてのひらで、身体のあちこちを触られたらたまらない。
触られるたびにぽろぽろと甘い声だけが零れてしまう唇から、必死になって抵抗の言葉を紡ぎ出そうとしたときだった。
ふっ、と土方が大人の余裕の笑みを浮かべたのがうっすら薄目を開けた先に見えた。
沖田には到底できない大人の顔だった。
悔しいくらいに男前な大人の顔に沖田は一瞬見惚れてしまった。
だから。
しまった、と沖田が思ったときにはすでに遅かった。
沖田の身体の上を好き勝手に動き回っていたてのひらとともに、土方の身体は離れて行った。
「…そろそろお前も仕事に行けよ」
そう言った土方の手には沖田が奪い取ったはずの煙草の箱がしっかりと握られていたので、驚いた沖田は自分の隊服のポケットの上にすっと手を滑らせた。
土方が沖田の身体を解放して、背を向けるわずかな瞬間に見えただけだが…。
ポケットに触れて確かめなくても本当は分かっている。
そこに入れたはずの煙草の箱がすでになくなっていることなど。
沖田の隊服から抜き取られた煙草の箱。
そして気付きたくもない事実に気付かされた。
チッ、と舌打ちしたい気分だった。
けれどそれじゃあ負けを認めているようなもので癪だったからしなかった。
土方にまんまとはめられたのだと今さらでも認めたくない。
→→→続く。
* * *
どこまで続くんだ…。