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バトン(オリジナル)

1)
 ・Aと双子の兄弟
 ・Aが片思い中の双子の兄には彼女がいる
 ・Aのことが気になる双子の弟
 ・『俺じゃ、ダメ?』







俺には、好きなヤツがいる。
そいつは同じ学年同じクラスの、男だ。
一応言っておくが、俺にそういう趣味は無い。
ただ、好きになったヤツが男だっただけで、俺は普通に女の子が好きだ。

けれど、そんな俺の想い人――酒井拓海には、片想いをしている相手がいるとの事。


放課後、ちょうど1人でいたところを捕まえ、何とか相手の名前を聞き出した。
拓海の片想いの相手の名前は杉井竜希。

俺の、双子の兄だった。

「絶対、誰にも言うなよ!?」
男が好きだとか、何かアレだろ?なんて必死に俺に口止めしようとしている。
その表情はまるで恋をしている女子のそれに似ていて。
なんだか、イライラとした。

「言わねぇよ。…てかさ、アイツのどこが好きなんだよ」
「えー?…優しいとこ…とか?」

拓海はそう言って嬉しそうに微笑む。

なんで
なんで
なんで
どうして、

「アイツ、彼女いるぞ」

俺はそんな意地悪な事を拓海に言った。
拓海は今までの嬉しそうな笑みから一転、哀しげな笑みを浮かべた。

「うん、知ってる」
「じゃあ…何で」

うーん、とうなって、今度は困ったような笑み。

「…それでも、竜希の事が好きだからかなぁ。諦めきれないんだよね」

無理に笑ったようなその笑顔に、俺は胸がズキンと痛んだ。

「(俺だったら、こんな顔はさせないのに)」

気が付けば、俺は拓海を抱き締めていた。

「!?ちょっ…壱希?」
「…………んでだよ」
「え?」

俺は、拓海を抱き締める腕に力を籠める。

「何で、アイツなんだよ…」
「…いつ、き?」

拓海はワケが分からないと言うような声で俺の名前を呼ぶ。

「…なぁ、俺じゃ、ダメか?」
「壱希…」
「俺なら、拓海を悲しませたりしない!だから…っ!」

やばい、泣きそうだ、俺。

「……ごめん、壱希。俺、それでも竜希の事が好きなんだ」
「……」
「ごめん、ね…」

何だか居たたまれなくなった俺は、拓海から離れ、無理矢理に笑顔を作った。

「…何か、急に変なこと言って悪かったな」
「壱希…」

「じゃあ俺先帰るわー」なんて教室を出た俺は、走って屋上へと向かった。

「…っはぁ…はぁ……」

バタンッと扉を乱暴に閉めて、その場に座り込む。
その瞬間、今まで堪えていた涙があふれだした。



初恋失恋
(涙は未だ止まらず)

ラブ、マイブラザー!(オリジナル)

俺には双子の兄がいる。
とは言っても、双子だからあんまり兄とか意識したことはない。
けど今、俺は双子の兄――翔を別の意味で意識している。
そーゆー目で翔を見てしまう。

早い話、俺は翔を好きになってしまったのだ。
もちろん、ラブの方で。

けれど、翔には彼女がいる。
話によれば、同じ学年の女子らしい。

俺達は二卵性の双子だから、顔はあまり似ていない(兄弟と分かる程度では似ているが)。
翔の方が背だって高いし、大人びている。
弟の俺が言うのも何だが、顔も良い。
彼女が出来るのも納得が行く。

けれど俺は翔を愛してしまっているワケで。
その彼女に、いわゆる嫉妬と言うものをしている。

俺達は兄弟云々以前に男同士だし、仮に異性同士だったとしても、兄弟という壁が立ちはだかる。

どうしたって、結ばれないのは分かってる。
けれど、それでも俺は翔の事が好きなんだ。


「ねぇ、翔」
「何だよ隼?」
「…彼女、出来たんだって?」
「ん、まぁな」
「どんなとこが好き?」
「そうだなぁ…」

翔はそう言って少し考え込むと、やわらかく、はにかんだ様な笑みになる。

「優しくて、恥ずかしがり屋で、可愛くて…全部、かな?」

ズキン、と胸が痛くなった。

幸せそうな笑みを浮かべ、恋人の話をする翔。
弟として、喜ぶべきなんだ。
でも、出来ない。
だって、俺は翔が好きだから。

「そっか…」
「おう、つーか唐突だな?」
「ちょっと気になっただけだよ」
「じゃあ、このままのろけてやろうか?」
「冗談」

二人でクスクスと笑う。
翔はからかったつもりなんだろうけど、そんな事されたら、俺は確実に泣いてしまう。

俺の気持ちに気付く気配のまったく無い翔に、俺は小さく溜息を吐いた。





ラブ、マイブラザー!
(この気持ちを知られてはいけない)
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ノイズに紛れて愛を拾う(オリジナル)

僕の日課はラジオを聞くこと。
別に娯楽のためとか、情報を得るためだとか、そんなんじゃない。
「あるもの」のために、僕はラジオを聞いている。



初めてソレに気付いたのは、数週間前だった…はずだ。
ここにはカレンダーなんて無いから、日の流れが分からない。


僕は薄暗く汚い路地裏にいる。
親や兄弟なんていない。昔はいた気がするけど、もう顔も覚えていない。
施設にもいたけど、抜け出した。
誰も、僕を愛してくれないから。

僕の目は左右で色が違う。
片方は空色、もう片方は血のように赤い。
赤い方は眼帯で隠している。
みんな、僕の目を「気持ち悪い」と言った。
施設の先生はそんなこと言わなかったけれど、僕を見る目は化物を見るようなソレで。
だから僕は、施設を抜け出した。

どこへ行くでもなくふらふらと歩き続けて、この路地裏に辿り着いた。
そしてそこで、壊れたラジオを拾った。

電源を入れると、サァァァァ…と言うノイズだけが流れる。
アンテナが折れているせいだろうか、上手く電波を拾わない。
くるくるとチューナーを回してチャンネルを変えてみるも、どこからも音は聞こえてこない。
仕方なく電源を切ろうとしたところで、ザザッという雑音と、男性の声が聞こえてきた。

『あ…ザザッ…ぃして、る…ザッ…』

「!」
「愛してる」と男の声は言った。歌でもラジオでも無い音。
多分、どこかの電話か無線かの電波を偶然拾ったのだろう。

「(『愛してる』って、初めて言われた…)」

よく分からない感動が胸中を巡る。
もちろん、男性が「愛してる」て言った相手が僕でないのは分かっている。
けれど、とても嬉しかった。

愛しそうに言う彼の「愛してる」が、僕の心を満たした。

それから僕は、ずっとラジオを点けている。
ラジオを聞くことは日課になった。


どこの誰かも知らない、彼の「愛してる」のために。




ノイズに紛れてを拾う
(誰でも良い、僕を愛して)
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さよなら初恋(神ちび前提独伊)

[APH] 祖国の誕生日をほぁた☆(4)     [電凹] このジャンルを数字で(5)

組めば最強コンビ(静+臨)

東京、池袋…
今日もそこには非日常が溢れている。



「いーざーやぁぁあああ!!」
「見逃してよシズちゃん」
「今日こそは殺す!」
「そんな事言って、まだ殺せてないくせに」
「ぶっ殺す!!」
「あはははは!」

先程から、そんな会話と共に破壊音が絶えず響いていた。
あたりには中身を散乱させたゴミ箱や何やらがなんとか原型を留めてあちこちに転がっている。

周りはそこだけ開けていて、最早池袋の日常にすらなりかけているそれ――自動喧嘩人形、平和島静雄と情報屋、折原臨也のケンカ(と言う名のデスマッチ)がどれだけ危険なものかを物語っていた。

「テメェ待ちやがれ!」
「待てって言われて待つバカはいないよねー?あ、シズちゃんはバカだから分かんないのかぁ」
「死ね!!」

笑う青年、飛ぶ自販機、そしてまた破壊音。

「あ」
「ん?どうした帝人」
「自販機飛んでった」
「あぁ…静雄さんか」

学校帰り、杏里は用事があるとの事で今日は二人で帰っていた。

「また臨也さんと喧嘩かな?」
「…だろうな」

ふと帝人は考え込む素振りをし、何か結論付けたように頷いた。

「ねぇ、正臣」
「何だー?帝人」
「静雄さんと臨也さんが組んだら最強だと思わない?」
「…そんな事は絶対に無いだろうけどな」
「でもさー、静雄さんの力と臨也さんの頭があれば無敵だと思うんだよね」
「確かに。国1つくらいは滅ぼせそうだよな」
「さすがにそれは無いでしょー」

笑いながらそんな話をされていた事を、当の本人達は知らずにいた。



組めば最強コンビ
(そんな彼等は戦争中)

「シズちゃんのノーコンー(笑)」
「テメェマジでぶっ殺す!!」
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