泡の幻想
もし上手に歌えるなら
私もお姫様になれるだろうか
海に映るのは遠い宇宙
ノルデの心
光はこんなにも訴えているというのに、
まっくら、なにも見えやしない
水面に落とした退廃マジック
闇夜に溶けた虹色クレパス
皮肉と笑うあの娘は誰?
目隠しされた満月は
悲しみをぽろぼろ溢しては締めた
忘れ去れた 貴女の写真
隣に写るこの娘は誰?
銀の髪を 誇らしげにたなびかせ 幸せを歌い 約束を交わす
嗚呼 知っている
私はこの娘を知っている
コルクの地図
コットンキャンディー
ピーチピンクのアイシャドウ
どんなに愛されようとも
どんなに光を浴びようとも
どんなに大きくなろうとも
その足を伝うのは
無数の蛇だった
魔法の本は 閉じられた
崩れ行く視界
青空ペンダント、私が使命を忘れないようにと
輝いた
思い出した
哀れな私
首を締めるのは真っ赤なネクタイ
髪をかきむしるのは灰色の過去
青空見上げて想い浸るのは
中毒症状?自己嫌悪
削り忘れた色鉛筆
塗り憧れては 零れ落ちる
悲劇なヒロイン?みっともない
洗って伸ばしたレースのハンカチ
王子様は拾ってくれない
草臥れた布切れなんて 海に溺れて藻屑となるだけ
思い出したくない
思い出したい
荒れた過去
澄んだ心
無くしてしまったストラップ
貴女は今でも見つからない
其れは一時の憧れ
―所詮出鱈目に過ぎないのだ
あの日の言葉も
貴女の心も
私の理屈も
いっそのこと全部全部消えてしまったらいいのに―
棄てられてしまった私なんて、見たくない 消し去りたい
素通りするのは溺れた人々
向けられるのは期待の眼差し
嗚呼 私に何が出来るの?
スポットライトを浴びたって 皆が見るのは あの娘ばかり
嗚呼 私の存在価値は?
嗚呼 私の生きる意味って?
利用されるだけにはなりたくない
私だって綻びたいのだ
其の笑顔
其の音声
嗚呼 何と汚ならしい―。
盗み見ては絶望する
貴女の横顔
それでもまだ、
私は長い長い髪を
切れないままでいるのだ
みんなみんな、だいきらいだ
このせかいは ゆがんでいる
きえちゃえ、
みんなみんな
きえちゃえばいいんだ―…………!
嘲笑った其の口は
二度と 開かれることは無かった
握りしめたのは 銀のナイフ 約束の縄
青空ペンダントが
堕ちて来た
(そう、あれは初夏の太陽)