来年にまた百合公演を企画すると決め、その準備をアレコレ進めている最中ですが、それでも不安や恐怖は消えちゃくれない

気にしても仕方ないと分かっていますが、やっぱり、しんどいんですよね
この公演を観た方々から感想を戴くのが

別にお褒めの感想だけ欲しいというわけじゃない
どんな感想も参考になりますし、実際に前回公演で戴いた感想はかなり今回に繋がっているんです

けれど、正直しんどいなって思います

「現状、それまでの文章力な作家なんだなと感じた」
「これを本物の百合好きが見たら怒ると思う」
「あのシーンはああすればよかったじゃん。ここはこうしたらよかったじゃん」

ああ確かに仰るとおりだな、と思ったものもあれば
こんなことまで言われたりもするのか、と驚いたものも

脚本、そして演出

その二つを担うということは、全ての感想はそのままダイレクトにわたくしへの評価・希望である

作品を人にお見せすることはなんて恐ろしいのだろうと思いました

その記憶が未だ強烈に染み付いており
自分でやると決めた筈なのに、吐きそうでたまりません

どうにかこのプレッシャーをやわらげる方法は無いかと色々探していたところ、『脱批判のススメ』という書籍を発見しました

批評と批判の違い
SNS等でお手軽に言語化・明文化できてしまうことの責任能力の無さ、それによる相手への影響に対する想像力の欠如
批判≒麻薬

とても良い一冊で、一気に最後まで読みました

1億総評論家、なんてフレーズを耳にした事もありますが
自分にもかなり当てはまる内容が多く、最近の自分を見つめ直す切っ掛けにもなりました


それに関連する話

今日は友人に会い、先日その子が出演していた舞台の話もしておりました

その芝居には百合要素が含まれており

「させふじに聞きたかったんだけど....当事者(百合好き・セクマイ)から見てあの百合要素は不快ではなかった?」

と、予想外の質問を受けてかなり驚きました

それはまさに、過去にわたくしが戴いた「本物の百合好きが見たら怒ると思う」という感想と同じだったからです

確かに怒る人もいるらしい、と分かりましたが
わたくしは不快感は全くありませんでした
だってお話ですから

お話だからこそどんな世界観もアリなわけですよね
億が一、明らかに百合を馬鹿にするような表現ならまだしも。別にそんなことは感じなかった。むしろご馳走様ですとしか思いませんでした

百合ってなんなんだろうと思いました

本物の百合好きって一体なんなんだろう
そもそも百合に正解も不正解もあるのか

百合というリアルにしてファンタジー

リアルにしてファンタジーだからこそ、リアル派・ファンタジー派も存在する

わたくしはリアルもファンタジーも好きです

どんな表現でも、そこには作者の意図があるはず
とっつきやすさ、とっつきにくさ、醜さ、美しさ、ギャグ、コメディ

何を見せたいのか、作者によって違うのだから
「こういう百合もあるのか!」と、時には驚かされ、新たな扉が開けたこともあります

百合はかれこれ10年以上好きなジャンルですが、そんな百合好きが書いた百合だって、あーだこーだ言われるんです

ではわたくしは『本物の百合好き』ではないのでしょうか

ならば『本物の百合好き』は一体何なら許せるのでしょう

そもそもその感想を書いた方は、ご自身は百合好きな訳ではなく、想像でそう仰たのでしょうか

そこにはどうしたって、“自分の期待する好きな形”を求めてしまうのかもしれませんね

comicoで、読者コメントを見ていると
「こんな展開希望!」
「こんなオチにはしないで下さい><」
みたいなコメントをわんさか見かけますが、それって物凄く恐ろしい行為だなと思います

結局は、個人の好み。そして、作者の純粋な力量

自分が明らかに力量不足なのは分かっているので、それに関しては受け入れます

でも百合のジャンルに関しては「知らんがな」って思っています

それはたまたまその時私が見せたいものではなかっただけ

何故私が見せたいものを客に合わせて変える必要があるのか
私が見たいから、私がやりたいからやるのに

多少のニーズは必要かもしれません
ですが100%お客さんに従うつもりなんてない

というか100%言う通りにモノを作っていたらコンテンツは衰退していく一方なのでは

表現方法も、それがその時の私が考え付くことの出来た物を見せるだけ

それを見て「こうすればよかったのに」という感想には、あ〜ナルホド!ってモノもありますが

それはマジで実現不可能でした
いえそもそもアナタの解釈自体が実は違います

もかなりあったりもするので、まあ、正直、言われたところで....って思ってもしまったり


『脱批判のススメ』のお蔭で気持ちが楽になった部分も沢山あり

こんな風にダラダラ書いていること自体、結局わたくしも同じな訳ですが

作品にふれて、批判だけでなく必ず良い部分も見るように意識していこうと思います

100%何もかもダメな作品ってのは見たことないし、全体を見られるようにならねばなるまいて

Twitterの表垢(芝居垢)では、観劇の感想をつぶやく時、かなり言葉を選んでおりますが
(あんまりにウワアアって思った事はまず書きませんが)

それでも言語化・明文化する以上は、それだけの責任が生じることを意識していこうと思います