戸の向こうには、妙に口元を歪ませた顔の京楽がいた。


「やっと仕事をする気になられまし…」


全部を言い終わらないうちに七緒は京楽に唇を塞がれた。京楽の厚い唇で。

編み笠も脱がないうちから、京楽は七緒の腰を抱き寄せ、いきなり濃厚な接吻を浴びせてきた。その激しさに掛けていた眼鏡がずれる。


「…ちょっと…隊長、やめてください…」


七緒は唇が離れると眼鏡を掛けなおしながら言う。


「いやだ。気持ちいいことしようよ。」


「なっ…何を仰ってるんですか」


「子供を作るようなことしたいって言ってるんだよ。」


それだけを言うと、こんどは七緒の股の間を袴越しにさすった。


「駄目ですってば、執務室ですよ。ここは…」


七緒はあわてて京楽の手を押さえて、笑うことも出来ずもう泣きそうになっていた。


「別にボクは構わない」


そういうと京楽は桃色と白の羽織を床に落とし、女物の長い腰紐を解いた。無造作に。

落ちる袴、脱ぎ捨てられる死覇装、あらわになる体毛と肌色。


七緒は目のやり場に困った。


京楽はどこまでも明るい声で言う。


「今度は七緒ちゃんの番だ。」


腰を抱かれ、引き寄せられる。先ほど京楽が行った手順で脱がされていく。腰紐は解かれ、床に落ちる袴、脱がされる死覇装。

昼間の太陽に照らされる白い肌。



「やめてください!どうしたんですか…ほんとにどうしちゃったんですか」


「七緒ちゃんに履歴を残したいだけだよ」


「履歴…?」


「そうだよ、ボクがその履歴を残してあげるんだ。君に」