父、輝彦につれられて近所の居酒屋に出掛けた輝馬。
父はこう告げた。
(熱心なのはいいが、それだけではつまらんぞ)と。
輝馬は応えた。
(自分の面白味のなさは分かるけれど、どうしたら良いか分からない)と。
黙って聞いている父、どこか面白がっているが。
(気にせずともいいが、俺の意見を覚えておいて損はないぞ)
輝彦はこう告げた。
何やらよく分からないが、ひどく大事な言葉の気がして‥黙ってうなずく輝馬。
やがて父はからからと笑った。
(固い話はここまでだ、呑め‥呑め)
酒をどんと勧めてくる父、輝馬は黙って従う次第であった。
(ぷはあ)
杯を一気に空けると、なんとも言えない爽快感が込み上げてきた。
父は再度笑ってこう言った。
(そうだ、そういうのが良いんだぞ)と。
はっとする輝馬であった。