そういえば、彼らの名前出してなかったと気づきましたw
主人公
ヴィオレッタ
なので通称レッタなわけです今更!
後
魔法使いさん
名前はまだ無い(嘘です)
半ば私が彼を引っ張り出すように、薬草の採取場所に向かった。
道中はほとんど私が喋っている状態で、魔法使いさんはたまに相槌を打つくらいだ。つまり私が黙ればほぼ沈黙になるわけだが、そんな時もちっとも苦ではなかった。
こうして、魔法使いさんと過ごす時間が私は何よりも好きで安心できるから。何だかんだ言っても子どものときからの付き合いだ。彼も私に対して困ったような仕草をしても、嫌がったり怒ったりしないから魔法使いさんも私の事を悪く思ってはいないんだと思う。
「そういえば、今度この国の王子様が舞踏会を開くんですって。知ってた?」
「いや、初耳だけど」
「なんでも、お妃様選びだとか。我が家のお姉様方はえらく張り切ってドレスを新調したり、お化粧したりしてたわ。すごいわよねぇ……」
会ったこともない人にああまで夢中になれる継姉達が不思議でしょうがない。王子(いわゆる身分の有るお金持ち)と結婚=幸せでは無いというのが私の持論な訳で。
まぁ一番上の姉さんと比べて、二番目の姉さんは若干乗り気じゃないみたいだけど。好きにやって頂戴といったところだ。
私には全然関係無いし。
「レッタは?」
「え?」
「レッタは興味無いの? 舞踏会とか」
「え、ええっ? 私っ? 私は良いわよ。そんな柄じゃないし……ああでも」
魔法使いさんからの不意の質問に少し驚いて返事をした。でも考えてみれば舞踏会といえば豪華なお食事! それは食べてみたいかも……とかしょうもないことを考えてしまった。
「レッタは……柄じゃ無いわけじゃないと思うよ。そう見せていないだけで」
「うーん、そうかしら」
「そうだよ。実際ここ最近とても綺麗になってきたから」
「あ……! ああ、そう、ですか……」
「うん」
……どうして魔法使いさんって、さらっと私をどきどきさせるようなことを言うのかしら。心臓に悪いわ。何だか顔まで赤い気がする。もうっ! 私がこんなに動揺しているっていうのに、平気な様子で先に行っちゃうんだから。
目的地に到着しても、しばらく私はむっとしながら、作業をしていた。魔法使いさんは、いつも通りもくもく薬草を集めている。こんなとき、彼は何を考えているのだろう。そんな風に考えても、彼の考えていることなんてちっとも分からないんだけれど。
一通り薬草を集め終わったらしい魔法使いさんは、私にそろそろ帰ろうと言った。
帰りは今日採った薬草の事とか、さっきより他愛のない会話だけで歩いて行った。