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ひとつ、得るたびに

話題:創作小説



創作小説です。
子供に対する残酷な表現がありますので、ご注意ください。




 ヨハンは人殺しだ。それも、一度にたくさんの人を殺めた大量殺人犯だ。
 異常に気付いた警官が駆けつけた時、彼は血の海の真ん中で新たな死骸を作っていた。
 石畳に広がる血液の種類は二つあった。一方は、赤黒く乾いた血痕。これはずいぶん時間の経ったもので、出血のもとは酷い凌辱を受けた少年の遺体だった。
 もう一方は、真新しい鮮血である。言わずもがな垂れ流しているのはヨハンが手を掛けた男達で、胸が悪くなるような臭いを袋小路に充満させていた。

 変わり果てた姿となった少年に見覚えのあった警官は、最後の男を絞め殺したヨハンの背中に回って、手錠を嵌めた。
 老いの影が迫ってきた警官にとって、ヨハンは特別な存在だった。たった二年の付き合いしかないが、現場主義を信条にする己の後継にと密かに期待していたのだ。

 ヨハン・クラーマー巡査は、殺人の罪で逮捕された。

 ヨハンの事件は、警官による大量殺戮であるとセンセーショナルに報じられた。
 反社会組織の構成員がとある無辜の少年を暴行の末に殺害したのがそもそもの始まりだった。巡回中の警官が犯行現場を通り掛かり、事切れた少年を発見。顔見知りだった少年へのあまりに惨い仕打ちに、警官は卑劣漢を一人残らず血祭りに上げた。

 世論の激しい応酬は接見した弁護人から聞いているが、渦中のヨハンはそんなことに構わなかった。
 否、構っていられなかった。

 第一の被害者だった少年は、赴任してきた新米警官のヨハンに快く町を案内してくれた。少年は母親と妹の三人家族だった。元来頼られると悪い気のしないヨハンは、父親や兄にするように慕ってくる少年をあたたかい気持ちで受け止めた。
 将来の夢は警察官だと少年に打ち明けられたのは、去年の今頃だったか。

 ーーヨハンみたいに、みんなを守るセイギの味方になるんだ。

 まぬけな歯抜け顔でニッと笑ったあの顔が、応とこたえた過去の自分が、毎秒ヨハンを責め立てる。

 「おれがこの町で最初のヨハンのともだちな」と、最初に会った日、別れ際に言ってくれたのに。
 小さく無垢な命を守ることもできず、あまつさえ衝動のままに十の人命をこの手で摘み取って。

 (俺は、お前のいうような正義の味方じゃなかったよ)

 ヨハン・クラーマーは断罪の時を待っている。


泡ときえても

話題:創作小説

すこし暴力的な表現があります。
苦手な方はご注意ください。






 いつもと変わらない夕暮れだった。
 窓の隙間からぴゅうぴゅうと風が吹き込む。短い春と夏は過ごしやすいが、そのぶん秋から冬に掛けては地獄なのがこの国だ。徐々に早まってきた日没が完了するまで、あと半分の猶予があった。

 「……おい」
 「言われなくたって、わかってるよ」

 朽ちかけた板の台(ベッドとは呼べない代物だ)の上で、ところどころ穴の空いた毛布にくるまった“片割れ”が、思いの外しゃんとした声で返事をした。
 すっぽり頭まで覆ったままいっこうに顔を出そうとはしないが、意識のほうはしっかりしているらしい。
 子供の成長とは早いものだ、と、自分だってまだふっくらとまろい頬をしているのに、兄は感慨もひとしおであった。

 弟のなまっちろい指先が、くい、とぼろ布の端にかかる。
 ものぐさに急ごしらえの巣穴から覗いた目玉は、どんぐりのように円い。色は青で兄とお揃いだが、玲瓏たるそれとはまるで違っている。

 「………」
 「そんな顔すんなよ。ほら、うまいもの買ってきてやったぜ。食えよ、な」

 食事をするスペースとして区切られた一角に無造作に置かれた紙袋のなかから、パンや腸詰めを出してやる。町一番の店にわざわざ並んでまで買ってきたのだ。見たこともない、名前も知らない、いかにも高価で食欲をそそる食べ物の群れを前に、うんうん唸りながらひとつずつ選んできたのである。
 しかし、兄の思いとは裏腹に、弟の表情はより一層曇っていった。
 弟の好物のリンゴの焼き菓子だって買ってきたのに。

 「……にいちゃん、行ってきたの」

 高い声が、ほとんど断定する形で問いただした。
 兄は、一瞬怯んでから口を開いた。

 「お前には関係ねぇよ。そら、このパンなんて、焼きたてで火傷しそうな位ホカホカだぜ。火がねえから牛乳は温められないが、これと一緒なら体を冷やさずにすむだろ」
 「そんなのいらない」
 「レオ」
 「いやだよ……そんな、誰かをころして受け取ったお金で買ったものなんて!」

 ぜえぜえと息を切らして絶叫した。弟はここ数週間、昼と夜の寒暖差にやられて臥せっていたのだ。
 普段はガラクタ拾いや身なりのよい大人だけを標的にしたスリで糊口を凌いでいたが、どれも二人で働いてようやくの稼ぎだった。そこに来て、弟の長引く不調、めっきり減った実入りである。もとから筋がいいと声を掛けられていた兄は、とうとう扉をたたいてしまった。もっと幼い頃、兄弟で結んだ取り決めを破ってまで。

 「にいちゃん、言ってただろ! おれたちはあいつらみたいにならないって! 約束したよね!?」
 「……これ一回きりだよ。もうしねえ」
 「それを決めるのは、にいちゃんじゃないよ! にいちゃんに“やらせた”奴らは汚いことを平気でするんだ。にいちゃんが嫌だって言ったら脅してくるよ。にいちゃんにひどいことをするって言うかもしれないし、おれを人質にすることもある」
 「っ……」
 「にいちゃん、なんで……なんでこんなことしたんだよ!! おれたち二人で生きていこうって……とうさんやかあさんみたいにならないようにしようって、ずっと約束してたのに!」

 弟は色を失った顔で拳を強く握った。
 兄の蒼眼が不安げに揺れる。
 この兄弟は、しっかり者の兄とのろまな弟と思われがちだが、その実、精神面では兄が弟に引っ張られていた。
 金と麻薬のためならどんな依頼でも引き受ける父親と、父親のもたらす堕落に溺れた母親のもとから逃げようと言い出したのも、弟だった。
 兄は弟に守られた。だからこれからは弟を自分が守ってやるのだ。と、兄は心に誓っていたのだ。

 「……この町のひとが誰も知らないところに行かないと」
 「でも、お前、体が」
 「こんなの大丈夫………ぐ、あッ」

 ゴポッ、と吐き出した。赤いものだ。鉄臭い、おびただしい……

 「レオっ!」

 兄は毛布を真っ赤に染めた弟に駆け寄った。その時、おそろしく優しげなノック音が響いた。
 “ねぐら”としているこの放棄された納屋の戸口は、今にも崩れそうな軋み方をしている。

 「シモン。いるんだろう。弟さんも一緒かな?」

 耳に甘やかな低音は、じわじわと身を灼く毒に似ていた。
 弟はまた何度か血を吐いた。苦しげな咳は戸口の男にも聞こえているだろう。

 シモンは弟の背中をさすることしかできなかった。
 どうか、このぬくもりだけは奪わないでくれ、と祈りながら。

エログロMOUSOU

話題:妄想を語ろう



エログロだよ!
18歳未満の方は回れ右をしてね☆ミ












創作小説で、初めてNLで考えたネタがあります。
和風妖怪小説。
河童とかジョロウグモ(字を忘れた)とか猫又が出るやつ。
ついでに、日本神話の神々(仮)もいるし、その世界の創造者に「丁度いいや、お前記録係な」と、適当チョイスで不老不死にされた可哀想な元パンピーもいるよ。

最初の最初に思いついたのは、若き河童の長とその妻。
河童は男しか生まれない種族で、男達は他種族や人間の女に子供を産ませては回収→集落で戦士として教育。

集落の長の選び方は簡単!
血で血を洗うトーナメント戦。ぽろぽろ死人も出るけど、傭兵を生業にする種族だからキニシナイキニシナイ。

めでたく優勝の栄冠に輝いた戦士には、次代・水虎(すいこ。河童の別名)の称号と、唯一の女河童が妻として与えられるのです!

女河童は女河童からしか生まれません。
女河童は水虎の娘として生まれ、長じれば次の水虎の妻となります。
河童は入り婿制の種族なのです。

しかし、その女河童の扱いは酷いものでした。
邸の離れから出ることは許されず、学ぶことといえば閨事くらい。娘を一人産んだあとは子供を望めない体になり、夫の配下にくだされます。
女河童は男河童にとって垂涎モノの獲物。
体の隅々まで犯し尽くし、凌辱を加えながら四肢をもぎ、腹を裂かれ。肉片が残ればまだいいほうで、大概は酒宴の一興にと犬にその遺骸を喰われて骨のひと欠片さえ砕かれるのです。

特に今の水虎は歴代のなかでも特に残酷な男で、先代水虎の妻、つまり己の伴侶の母を犯し、その命が尽き果てるまでじっくり楽しみました。むろん、妻の最期も惨いものでした。そして、いずれくる娘の“お役御免”の日を心待ちにしているのです。


そこで立ち上がったのは………と書いていったら小説書く意味なくなるwwww

いま書き出して思ったけど、女河童の役目って欲望の捌け口以外にないね。
じゃあ、女河童は河童のなかでも一等強い妖力をもつ男の子供しか産めないってことにしよう。胎がそういう作りなんだから仕方ないってことで。
そして、次の代の女河童が生まれない内にころしちゃったらすべての河童の力が弱まって、滅亡の一途を辿ってしまうんだ。昔やらかした世代がいて、その時は八百万の神々に平身低頭お願いしてどうにかなった的な。
だから、神様の依頼はどんなハードかつブラック(報酬的にも)な仕事でも二つ返事で受けざるをえなくなった。

よし、なんとなくできた!
見えてきた……見えてきたぞ!

ジョロウグモのお姉様方のレッスンの話も文章にしたい。
とびきりえげつなくて美しい美女軍団。


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