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お話未満の妄想&書きかけお話の倉庫。ここで上がった話は大概大幅に加筆修正を加えられサイトにUPされます。
今日は、サガフロの話。
昨日の日記から。
―――クーロン某廃ビル。
はぁっ、はぁ、はぁ…っ―――!
大小様々な、足音が、コンクリートの階段の中、木霊し、彼らの心臓に狂想曲のリズムを刻ませる。
嘘だ、嘘だ、嘘だ…!
種族も性別も様々な彼らの心を鷲掴む恐怖は、たった一つ。
リージョン世界の正義の機関、IRPOが、黒い噂を聞きつけたのは、つい最近だ。
《Dr.クラインが生きていた》
それをタレ込んだのは、なんと、ルーファス。非合法組織グラディウスの幹部である。
《彼は、廃墟と化していた旧ブラッククロス本部リージョンを再建、今度こそ自らを首領とする新組織を立ち上げた》
暗殺以外なら何でもする、と自他共に認める彼らが、正義の名に縛られる公的機関IRPOを鼻で笑い。
IRPOは、傍若無人に法を曲げる、グラディウスを目の敵にしているのは、周知の事実だ。
《……その名を“ダーク・ペンタゴン”》
そんな彼が、対立組織にわざわざ情報を与えに来たのは、他でもない。
「くっそ…! まだ…かよ…っ!」
「ヒューズ、先輩…これぐらいで音を上げるなら……」
そういうレンも、引退を考えたら如何? という、軽口すら続かない。
先を駆けるコットンが心配そうに、あとの四人を振り返る。
ドールもサイレンスも、僅かに息を上がらせていた。
《旧ブラッククロスの四天王を甦生し、更に強化を加え》
悪は、害虫よりも、しぶとい。
腕利きの彼らを戦慄させたのは、そういう事でない。
果てがないかと思えるほど長い階段は、階段と変わらぬ暗い闇と電灯のリージョンの、それでも少しは澄んだ風が、終わりを知らせる。
先を飛ぶラビットが、甲高い電子音を鳴らす―――danger!
五人を襲う衝撃波が、屋上入り口を破壊した。
素早い身のこなしで、回避し屋上に転がり出た彼らを、拍手が迎える。
「流石だな、IRPOの諸君…」
勿論、そのような戯言に反応する者は、皆無だ。無言で、それぞれの間合いを取る。
「…ピッ…Dr.クライン…のデーターと一致」
暗がりだが、ラビットが赤外線センサー及び声紋でDr.クラインを、確認した。
その時、新たな敵を感知したのか、ラビット稼動部が音を立てる。
「グラディウスといい、余程私達の動向が気になるようだな――息子よ」
「はい、父上…」
お前のような“悪”は五万と要る――自惚れぬなと恫喝する声が、ヒューズの喉の奥で固まった。
それは、彼らの、知る……声。
本来、対立組織である彼らを『大人(おっさん)の事情など知らない』と全て飲み込んだ、彼。
「諸君に“我が息子”を紹介しよう」
《“息子”を筆頭とした五芒星とした――》
低く垂れ込んだ雲が、限定された法の番人達を嘲笑うように割れ、悪夢を月光に晒す。
そこに、彼らの知る姿があるからだ。
「我が闇の皇子――クライン・レッド!」
かつての正義のヒーロー、ブラッククロスを壊滅に追い込んだ青年が――――
さしものルーファスも俄かに信じられず、かつての旅の仲間に告げたのだ。確かめてくれ、と。
「……声紋、虹彩…全て“レッド”と一致」
ラビットが各種センサーで、本人と確認する音声が、空々しく人間達の耳を打つ。
「はっはっは…!」
クラインは、嘲りも顕わに哄笑した。
「…レッド!」
「レッド君!」
搾り出すような、祈るような、彼らの声に、青年は、
「お前ら、誰だよ……」
冷たく…このリージョンの暗い闇より沈んだ瞳で、応える。
また、月が隠れた。
彼らの苦悩の表情が、見えずとも十二分に解る。
クラインは、この手に堕ちてきた息子を愛称で呼ばわった。
「顔見知りの誰かと間違えたかな? 我が息子“クリムゾン”よ、我らが敵を薙ぎ払え」
「…はい、父上…お前らに恨みは無いが、死んでもらう」
クラインの止まらぬ笑い声の中、
音も無く抜かれたレッドの剣が、禍々しく光り―――彼らを襲う。
それは、かつてのレッドを苦しめた、復讐の炎(いろ)に酷似していた―――――
【続く】
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一応、こんな感じのオープニングで考えました。
いやあ、もともと、ヒューズ×レッドメインでのちょっとドロい三角関係ものを考えてた派生なのだけど。
時の君×レッド妄想。
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