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なげきの世界

※小ネタというか散文。









左眼はずっとないている。

右眼はずっとわらっている。



押し込めた言葉の数々が

何処にも行けずに心のなかで、擦れ合ってキイキイと耳障りな音を立てた。



性懲りもなく左眼がなくから、

仕方なくわらっていた右眼だから、

それがうつすものに、興味なんて無かった。





ねえ、だけど。

きみのえがおを見て、はじめてわかったんだよ。




左眼はずっと啼いていた。

右眼はずっと嗤っていた。



押し込めた言葉は、すべて悲鳴だったんだ。

触れるのも厭わしくなるほどかたくてつめたい、金属のような嘆きの声。



キイキイと擦れ合う音は激しくなり、身を捩りたくなるような雑音に耳を塞いだ。



その音は、

内側から響いて居るのに。



耳を塞いで、叫び続けた。



やめてくれ。


もう、やめてくれと。





ふいにあたたかいものが身体を包んだ。



だいじょうぶ。


もうだいじょうぶだよ。



あたたかい腕が背中にまわり、やわらかな言葉がふりそそぐ。




だいじょうぶ。

きみはおれがまもるよ。

だから、



だからもうなかないで。





地獄の様な音は途端に弾け、
左眼は啼く事を止めた。
右眼は嗤う事を止めた。



温もりに腕を回し、抱き寄せる。

やわらかくて、温かな掌が頭に触れ、

やわらかくて、温かな唇が額に触れる。





俺が泣き出すと、

君は笑った。





この嘆きの世界で


君だけが、笑って居た。
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ついったお題ー

久しぶりに。ついったお題は良いリハビリ。

カカイルへの3つの恋のお題:今更言っても、もう止まれない/もう待てない/嘘つき、とそのくちびるが言った

※改行は除く140文字で。


【今更言っても、もう止まれない】
里抜けを決めたのはもう三月も前の事。
可能な限り遠くに逃げて、逃げて、逃げ延びようと。
もう止めましょう、帰りましょうと絞り出す様な声を聞く度に、訳も無く引き攣った笑いが洩れた。

今更手離す事なんて出来ない。
誰よりも大切な、他ならぬ貴方の感情を踏み躙ってでも、貴方が欲しかったのだから。


【もう待てない】
「カカシさん…はやく」
「もう待てないの?イルカ先生…」
「だって…っ、もう!」
「あっちょっと!まだ駄目だって!」
「もう待てませんいいんです2分でも俺硬めが好きですし!アルデンテ好きですし!」
「アルデンテはパスタでしょ…ほんとラーメンには見境無いんだから…」

「うめー!ラーメン最高!」


【嘘つき、とそのくちびるが言った】
まるで疑心暗鬼だ。
此方の告白をきっぱり否定し、挙げ句の果てに嘘つき、と、俺を詰る始末。
顔を歪めて、何度も何度も。
そんなに苦しいなら否定なんかしなきゃいいのに。

認めたく無いのは、果たしてどちらの感情か。

このくちびるを塞げば答えが出るだろうかと、試しに顔を寄せてみた。



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