話題:ニコニコ動画
安倍内閣は本年度の補正予算を13.1兆円としました。そのことの意味はこの記事がわかりやすく伝えています。
小笠原誠治「狂っているとしか思えない緊急経済対策20兆円」
この補正予算案も含めていわゆる「アベノミクス」というものが何なのかをわかりやすく解説してくれている動画を見つけました。
ニコ生アゴラ「安倍首相のための財政・金融入門」
まずこの動画を見る前にこちら
参議院選まで経済は上向き…その後は? ―ニコ生アゴラ「財政・金融の常識を田原総一朗が聞く」報告
この記事の中で私が注目したのは
「日銀の国債引き受けの増加は、政府支出の増加を意味します。これは金融政策というより、政治が責任を負う『ばらまき政策』です。一時的に景気にはプラスでしょうが、それは続くものではありません」と、土居教授は述べた。
(土居教授というのは慶應大学の教授ということです)
これは、いわゆるケインズの「有効需要説」です。(高校の検定教科書にも書いてあります)かつて麻生氏が首相時代にやった「家電エコポイント」を思い浮かべてくれればいいと思います。
確かにエコポイントによって需要は一時的に追加されました。しかし家電メーカーの現状はどうでしょうか?例えば、パナソニックは?シャープは?ソニーは?……。
これらのメーカー各社は需要増に合わせて設備投資を迫られました。その結果エコポイントがなくなった現在はモノは売れない(つまり供給が過剰な状態な)のに、それら設備の減価償却費を払わなければならなくなっています。そのためメーカーは以前よりも損失額(赤字)が大きくなっています。
ということを指しています。
それとこの動画の最後の方で深尾氏が「マイナス金利」に言及しています。これは「国債を払い戻す際に金利をつける」ということであり、つまり「銀行の預金口座に金利をつける」ということです。これが何を意味するかわかりますか?
これは三橋何とかさんの言ってることが大ウソだ、ってことですよ。
結局、安倍首相が日銀をアゴで使おうが、麻生財務相がバラマキ公共事業をやろうが、潜在成長率を高めるような政策をやらなければ日本経済はどうしようもないということで、これは麻生氏が嫌う小泉流の構造改革を麻生氏自らやる、ということです。
話題:わが国、日本について
BLOGOSに田原総一朗氏のインタビュー記事が載っています。
インフラ再整備の公共事業で、今年は景気が良くなる!―田原総一朗氏インタビュー
この中で、田原氏は笹子トンネル事故に触れ、公共事業の必要を訴え、その結果景気が良くなる、と述べています。
何をもって「景気が良くなる」とみなすのか、この記事ではよくわからないのですが、おそらくGDPが増えるくらいの意味なのでしょう。確かにGDPは増えるでしょう。でも重要なのはもっと別なことだと思います。
公共事業について考える際に重要になるのは「乗数効果」です。このことについて素人でも簡単にわかる記事を紹介します。
佐藤総研(たった1人のシンクタンク) 「アベノミクス」成功の条件―消費増税と公共事業の差別化―
この中で佐藤氏は費用便益分析と乗数効果を考慮すると公共事業でGDPは増えるが借金も積み上がる、と述べています。つまり政府の公共事業は行えば行うほど国債を発行しなければならないということになります。
元の笹子トンネル事故の話に戻すと、財政に余裕がある時は事故を防止する目的としてインフラの再整備は必要に応じてやるのは賛成ですし、そんな主張は誰だって(バカでも)できる。では現状、インフラ再整備のために国債を大量発行する余裕が我が国にあるのでしょうか?
例えば笹子トンネルのようなインフラの再整備についてこんな風に考えることもできます。
@事故を防止する目的で借金をし整備する
A整備せず事故が起こった場合に被害者に(借金をして)賠償金を支払う
費用が@<Aならば@を行い、@>AならばAを行うことが政府のあり方として正しい選択となります。
「人の命をなんだと思っているんだ?」と遺憾に思う方もいるかもしれません。しかし国債を発行すればするほどそれだけ財政が破綻に近づくということも忘れるわけにはいきません。財政が破綻すれば私たちの子ども世代やより貧しい人たちにしわ寄せが来ます。そうなった時、インフラを整備しなかった場合よりもより多くの人命が失われるかもしれないということにも思いを馳せる必要があります。つまり現代の日本人はさまざまな点で命をカネで買っているんだということを認識しなくてはならないと思います。
私は何も特別なことを言っているわけではなく、こんな例はマイケル・サンデル氏の著書を読めばいくらでも出てきます。読んで考えてみてください。ただしサンデル氏はリバタリアンが嫌いなようで、若干の思想的なバイアスがあるので注意してください。