夫が行きたいって言って、TVで紹介されたデカ盛りの店に行った。
そのテのお店に初めて入った。
そして、本物を目の当たりにした。

私は番組を見ずに行ったので、どんなもんか本当に知らなかった。
普段から私は大食いなんて出来ない。
夫に「ラーメンと炒飯のセット食べたことないの?本当に?一回もないの?」
って驚かれたけど、女の人の殆どは一回も無いと思うよ。
だって食べ切れないのが目に見えてるもん。

だから「ミニ天ぷらうどん」てのを注文したの。

それが来るまで、ちょっと離れた席のお客さんが食べてる物をぼんやり見ていたんだ。
そしたら、どうもものすごいものが見える。
メガネかけていなかったので、自信がなくて「あれあの人の荷物かな?」と思っていた。
目の前に置いてうどんたべてるのかなって。
でも、2人とも同じような荷物置いてるんだ。

‥‥

「夫さん、ねえ、私よく見えないんだけど、あれ天ぷら?」
夫がそっち見て笑い出した。
笑うしかないような現実がそこにあった。

数分後、全く同じものが私の前に置かれたんだよ。
嘘でしょ。血の気が引くとはこの事だよ。
「すいません。知らなかったんです」
って謝ろうかと思ったよ。

持って帰れると知って、心の底からホッとしたよ。
うどんも多くて大変だった。でも美味しかったし、そこは完食。
天ぷらは一個しか食べられなかった。
ぶっ飛ばされても仕方がない体たらくだよ。

お店の人はみんな感じが良くて優しくて、待ってる間マスターが何故か「レディーサービス」って言って私にだけ焼き芋くれた。

「本当に美味しかったんですけど、すいません。持ち帰ります」
って何度も謝って大量の天ぷら貰って帰った。
お土産だ。

ごちそうさまでした。

夫は初めて自分の限界を知ったらしい。
「満腹になった事が無い」
とか言ってたんだけど、満腹になった。
そして「もう自分が大食いだとは言わない」とも言っていた。

いや、アンタは大食いだよ。

でももうデカ盛りはけっこう。
夫も「行こう」って言わない気がする。
ひと並外れた強靭な内臓を持つ人のための店。
夫は所詮ちょっと大食いの人なのだ。

帰りに寄った温泉で、冷えた身体を温めて、極楽でした。
旅行はなかなか行けないけれど、こんなことがあったので、また頑張って働きます。

おやすみなさい。