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恋文の技術/森見登美彦



話題:森見登美彦


恋路を走り出した友へ。私史上最高厄介な先輩へ。見どころのある少年へ。偏屈作家・森見登美彦先生へ。心やさしき妹へ―
京都の大学院から人里離れた実験所へ飛ばされた男が、文通修行と称し京都へ住む知人に手紙を書きまくる。しかし、本当に想いを届けたい相手への手紙はいつまでたっても書けずじまい。果たして文通の達人、守田一郎は『恋文の技術』を開発し、想い人へ手紙を書けるのか!?


少し前から手元にあったものの、書簡体小説という形態だったため面白いかどうか不安でなかなか読む気になれませんでした。
しかしいざ読んでみると読みやすくて面白い。すらすらっと最後まで一気に読み終えてしまいました。森見さんの小説は『夜は短し歩けよ乙女』しか読んだことはありませんでしたが(この作品はお気に入りの小説のひとつです)、同じような世界観で、しかしあれよりも笑いどころが多く、本当に楽しみながら、始終ニヤニヤして読みました。
実のところ、私は作者が自分の物語の中で自分の作品や著者自身の名前をだすのって、その作者が凄く自意識過剰に思えて好きではないので、この物語でも途中で主人公が作者自身と文通をしていて読み気力がちょっと失せかけましたが、それまでの間に物語にとても引きずり込まれていたので、読ますにはいられませんでした。うまい手法だなぁ、と思います。

本棚を見てみると、未読の森見作品がまだ3冊もありました。すべて祖父から頂いたものなのですが(祖父はかなりの読書家で、しばしば読み終えた本を頂きます)、こんなにも自分が森見作品を所有していることにびっくり。しばらくは勉強に力を入れたいのですが、また暇ができたら読みたいです。

リア王/シェイクスピア(ネタバレ含)



話題:シェイクスピア



老王リアはある日、3人の娘に自分をどれだけ愛しているか問い、その返答によって財産を振り分けることを試みた。しかし最愛の三女、コ―ディリアから望む回答を得られなかったため悲嘆にくれ娘を追い出しでしまう。残った娘二人にすべての権利を与え、臣下のケントすら追い払い隠居生活にはいるが、彼女らのリア王への扱いは次第にひどくなり絶望にくれる。その傍らでグロスター伯の次男エドマンドは父の財産を独占するため兄を破滅に追いやる計画をたて―。
シェイクスピア四大悲劇の一作。


読んだのは先週なのですが、せっかくなので書いておきます。
思った以上の悲劇でした。なんといいますか、みんな死んでしまって読んでいて唖然とします。
上の二人の娘やエドマンドなどは碌な最期を遂げないだろうことはわかりますし、彼らの幸せなど微塵も望んじゃいませんが、末娘のコ―ディリアは・・・。リア王に勘当された後彼女はすぐにフランス王のもとへ嫁ぐのですが、そこで夫から愛されて少しでも幸せな生活をしていたと信じたいです。

しかし、物語的に見たらハムレットに比べるとまだハッピーエンドと呼んでもいいのでは、と思いました。というのも、この物語は善良な人間もたくさん亡くなるのですが、悪人もまた死んでしまうからです。そして幾人かのしっかりした人物は生き延びるので、ブリテンの王政は揺れながらも立ち続けられるのではないだろうかと思ったんです。ハムレットの場合、これからデンマークの政治はどうなるんだろう、王位継承者はいるのか、という気がかりが残りますので・・・。
でも、『リア王』ではフランスとイギリスが戦争をし、イギリスが勝利を挙げるのですが(戦争中の描写が一切なくあまりにもあっさりと戦争のことが書かれていたので驚きました)、王妃を亡くしたフランス王はこれからどう出るのか、が気になるところですね。コ―ディリアを死に至らしめた人物はもういませんし、両国手を結び仲良く政治を、と望みたいですがそんなわけにもいかない気がします。

リア王は始めは優秀な王様だったのでしょうが、溺愛していた娘や家臣を一時の怒りにまかせて追い出し、残った娘たちの本性を見抜けず邪険に扱われるという惨めな姿をみていると、この話では老いて耄碌する様もまた細かく描かれているのだと思い切なくなりました。

話は変わりますが、私の好きな絵本に『しおとおひめさま』という物語があります。リア王と同様に王様が娘たちに自分をどのくらい愛しているか問い、上の二人の娘はうまく言い繕いますが、末娘は『塩と同じくらい好き』と答えました。『塩くらいしか愛してないのか』と怒った王様は末のお姫様に塩をひと握り持たせ城から追い出すしてしまいます。お姫様が追い出されたその日から王宮には塩が届かなくなり、王様たちは甘いものばかり食べ続けだんだん衰弱し、塩のありがたさや、末娘がどれだけ自分を愛していたかを思い知る、というヨーロッパの物語なのですが、やはりこの話は『リア王』から影響を受けているのでしょうか。それともヨーロッパにはこういう話がもとからあるのでしょうか。気になるところです。


長くなってしまいましたが、あと少しだけ。
シェイクスピア作品は私は今まで『ロミオとジュリエット』『リア王』『ハムレット』『オセロウ』『十二夜』を読みましたが、『十二夜』が一番好きです。喜劇で最後はだいたいの人間にとってハッピーエンド。もともと読んだときから気に入っていた作品なのですが、去年大学で受講した英米演劇入門という授業で少し詳しく学び、私はそのレポートで『十二夜の滑稽性』について論じるため、真剣に作品と向き合ったので、とても思い入れのあるものとなりました。
哀しい話ではないので、よかったら読んでみてください。

パソコンでうっているのであまり意識してませんでしたが本当に長くなってしまいましたね。すいません。読んでくださった方、ありがとうございます。では。

かおりを味わう

話題:紅茶

去年イギリスを訪れた時、アッサムティーを味わってから、アッサムはお気に入りのお茶です。
たぶんそれまでにも飲んだことはあるんだろうけれど、それと意識して飲むのは去年が初めてでした。正直アッサムもダージリンも変わらん、とか思っていたり。
イギリスから自分へのお土産にアッサムティ―を持ち帰りましたが、間違えてティーパックじゃなく葉っぱのものを買ってしまったためいまだに飲めていません・・・(葉っぱの紅茶の飲み方が良く分からないのです・・・)。

今日は私がちょっと前から月1で通っているお気に入りのカフェでアッサムティーを頂きました。
普段はコ―ヒーしか飲まないので、何の紅茶があるか知らなかったのですが、アッサムティーがあってとてもうれしかったです。お気に入りのカフェの扱っている紅茶が好きな種類で、ますますあのカフェを好きになりました。

紅茶をのむと以前一度だけ作ったことのある紅茶味のパウンドケーキを思い出しました。我ながらなかなかの出来で、友達からもほめてもらいました。あの味を求めてコンビニでパウンドケーキを買いましたが、思い出の味とは当たり前でしたが違い、いっそうあの味が恋しくなります。またお菓子作りがしたいですね。といっても、今家にあるレンジは温めの機能しかないのですが・・・

喫茶店に行くまで、心がざわめいていて、自分を傷つけたくなるような今にも涙があふれそうな、暗雲な気分でしたが、紅茶を味わいながら心を空っぽにすることですっかり気分が晴れました。
コーヒーのほうがよく飲むのですがコーヒーを飲むと動悸がすることが多く、たまには紅茶もいいなと思う、そんな一日でした。

乙女の祈り/ニコラウス・ガッター(ネタバレ含)


クライストチャーチにある女子高で、ポウリーンとジュリエットは出会った。彼女らは互いの魅力に惹かれあい、友情を越えた絆で結ばれる。だが、両家の親は行きすぎた交際を仲を同性愛とみなし、二人の仲を引き裂こうとする。追い詰められたポウリーンとジュリエットはある日、恐ろしい計画を実行に移す―。現実の事件をもとにした、若き少女らの狂気の物語。


 始めは普通の友情だった気持ちが、お互いを愛するあまり狂気に達してしまう。徐々に狂っていく二人の様子が描かれており、少しぞっとしました。物語の中で二人はお話を作るんですが、自分たちの作る話に入り込みすぎて現実と空想がまぜこぜになっていました。最初は自分たちをお話の中の王子と姫になぞらえていたのですが、そのうち自分たちの知り合いを別の登場人物に置き換え接したり、自分のことをお話の中の人物の名で呼ばせたり。最終的に自分たちの小説を出版して、それを演じてくれる俳優捜しに行こうとまでしてました。自分の能力を過信した自尊心が高い愚かな女の子たち。しかし、最終的に犯した罪を考えれば、本当に自分たちの才能を信じ、信じるがあまり狂ってしまったのでしょう。
家庭環境もなかなか可哀想でした。二人とも体が弱くて友達がおらず、ポウリーンの両親は事実婚。ジュリエットの両親はうまくいっていると思われてましたが、母親のほうが浮気をし、あの事件の前には離婚寸前。そういう状況の中でやっと見つけた真実の友と引き離されそうになれば常軌を逸してしまうのも無理はないのかもしれません。しかしポウリーンの母親は小説を読んでいる限りではそんなに悪い人には思えなかったので残念です。
 本当にこの二人の関係は同性愛だったのか。というのが気になるところです。wikiで見た実際の事件の概要では性的関係を持ったっとあったのですが、この小説では性的行為をしたことは一度もない、とはっきり述べられてました。小説では敢えてそういう設定にしておいたのか。
まぁ真相は 
Nobody knows. 神のみぞ知る
ですね。

ところで、現実の事件の二人はその後無期懲役の刑に処せられるはずでしたが、ある条件をもとに5年程で仮釈放になったようです。その条件というのが「二度と二人で会わないこと」
二人でいられるために罪を犯したのに、二度と二人では会えない。
彼女らにとってこれほどの極刑はないでしょうね。

また、ジュリエットのほうはその後小説家となっており、映画化をきっかけに世間にその過去が知られたそうです。初老の女性となったジュリエットは『ポウリーンに会いたいか』というインタビューに対し、『いまあっても話すことはないだろう。元気でいてほしいとは思うけれども、お互いに会わないほうがいいだろう』と答えたそう。
確かに思い出としてとっておいたほうがいいのかも知れません。
熱はすでに冷めてしまったのですから。


この作品は映画化もしているようなのでまた機会があれば観たいと思います。

春の雨は桜の天敵

話題:雨

こんばんは。
今日は一日雨なお天気でしたね。今日は2講目だけの授業だけだったので、ふらふらと桜の綺麗な神社に散歩へ行こうか、とか、少し前から毎月行っているお気に入りのカフェに行こうか、思案していましたが、コートが濡れて冷えてしまい、雨がきつくなるのも心配だったので大学の図書館で少しゆっくりしてからおとなしく家へ帰りました。
とはいったものの、雨をそんなに嫌いなわけではありません。雨の降る前の空気の匂いや、雨上がりの匂いが好きです。なんだか懐かしい感じの匂い。今日の雨は降ってる間もそんなに寒くならなかったし、久々に雨の中に閉じ込められたひっそりとして落ち着く空間を味わえました。
私の住んでいるところでは19時前には雨があがり、近くの神社にはお花見客がたくさんいました。雨露に濡れた桜のライトアップも風情があり美しいです。今朝きいたラジオでは『桜の絨毯も悪くないです』というメールが読まれていました。なるほど確かに、散った桜でピンクに彩られた道路は可愛いですね。春の雨は桜が散るので嫌われがちですが、こういう楽しみ方も悪くないのでは、と思います。

先ほど図書館でゆっくり、と言いましたが実は今日、図書館で2時間も寝てしまいました。本を軽く読んだ後眠気が襲ってきたので少しだけ眠ろう、と思ったのですが、途中起きつつも再び寝る、ということを繰り返し気が付いたら2時間・・・。別に何も予定はなかったのですが、ちょっともったいなかったな、と思います。図書館で寝てる間、短い不思議な夢をいくつかみました。夢の中でも図書館の中で眠っていたのですが、起きた時にいつのまにか椅子が2メートルくらいの高さになっていて、『私こんなところでよく寝れたな』と思ったり、同じく図書館の中で卓球をしている女の子がいて、球がはねるコツコツという音がうるさくていらいらしたり。この卓球の夢は本当に起きた時もその音が聞こえる気がして変な感じでした。他にもあるのですが、言葉にしようとすると忘れてしまいます。凄く浅い眠りを繰り返してたのでしょうか・・・。

明日はついにゼミが始まります。どんなメンバーなのか知らないのでちょっと緊張。これから2年間一緒に勉強する子らだから、少しでも仲良くできたらいいなぁ。
まだまだ春休み気分から抜け切れず、毎日早起きというのが辛いです・・・。ゼミは1講目なので遅れないようにしなくては。

Gute Nacht!

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