ここまでたどり着くのが
すごくすごく長かったなあ。

人間ってその時その時で
大小の差はあれど
多くの決断をしながら
生きているらしい。

わたしの人生では今回ほど
大きな決断はなかったと思う。

たくさん悩んで苦しんで
出した答えだった。
ちゃんと自分の力で辿り着いた。
これが決めた答え。


黙りこくって悔しそうに
唇を噛みしめる平くんを横目に
必死で考えてた。

でもこの時間内で
上手く自分の気持ちの整理を
つける自信がなかったから
明日また話そうって言った。

そしたら平くんも
首を縦にふってくれて
翌日同じ場所、同じ時間に
約束をしてその日はばいばいした。



家に帰らないで駅のベンチで
ボーッとしてた。
全然頭がついてこなかった。


思い返してみると
平くんとちゃんと向き合って
本音をぶつけたり突き放したりの
意思表示をしたのは
今回が初めてだった。
わたしは失うことを恐れて
ずっとずっと逃げてた。
嫌われないように我慢してた。

人と付き合うにあたって
決して忘れてはいけないことは
思いやりだと思ってる。
だから多少の我慢はすべきで。
だから全部全部嫌なこと言うのは
なんか違うよなあ、って。
でも言わずにためていくと
いつか溢れ出てきちゃう。

だから自分の中の基準を決めた。
ここからは譲れないって、限度。


彼はそれを越えた。
だからもうおしまい。
さようなら。


それはちょっと違うような気がしてて。

今回話して今後も直らなかったら、
直す努力が見られなかったり
直る見込みがなさそうだったら
その時にもう終わりに
すればいいんじゃないかって。

きっとわたし自身も
そうしたほうが
すっぱり見切れる。

少しでも好きな気持ちがあるのなら
(本当は少しどころじゃないし)
この人ともう一度寄り添って
生きていくことを選びたいな、って。
そう思うようになってた。


やっぱりわたしを
笑顔にするのも
不安にさせるのも
悔しいけれども、
平くんだけなんだよね。


ようやくその結論に達して
ふと我にかえったら
隣にはなぜか平くんがいた。

びっくりしすぎて
声も出なかった。

ようやく出た言葉は
え?なんで?
っていうなんともマヌケな言葉。

だって、平くんの乗る電車は
これじゃないんだもん。

10分くらい前からいるよ?
何度も呼んだんだけど
全然反応しないから心配で
何かあったら大変だなあ、と思って
とりあえず待機しといた。
具合悪い?
あ、具合悪くさせてるの俺か。

わたしの頭に伸ばしかけた手を
途中で引っ込めて悲しそうに
平くんが笑った。

わたしの頭をさわるのは
平くんのクセだ。

わたしはそれが好きだった。


平くんはどこまでも優しい。
別に放っておけばいいのに、ね。


ごめん、ありがとう。

そう言って立ち上がったまではいいけれども
なんだか自分の中で結論が
出てしまったらすぐにでも
伝えたくなっていても立っても
いられなくなった。

ねえ、このあと予定ある?

んーん。ないよ。

話せる?

いいよ。

こんなわたしのわがままを
すんなり受け入れてくれる
平くんの優しさ。
いつの間にか忘れてしまっていたことに
こんなときに気づいた。

いや、こんな時だからこそ
気づけたのかもしれないね。

それから2人で電車に乗って
4つ先の駅で降りた。

どこかに入る気にもなれず
ぶらぶら歩きながら話した。

上手く纏められなくって
もういいや、って思ったから

ねえ
ん?
好きだよ。


おれも。

少し間があいて平くんが答えた。
その声があまりにも大きくって、
隣にいる平くんのこと見たら
目が合ったから笑ってしまった。

そしたら平くん今度は立ち止まって

これからも一緒にいてくれるの?

って聞いてきた。
だからかわいく言ってみたんだ。
幸せにしてよね?って。


怖いけど、もう一回だけ
信じてみることにした。

バカだと思われるかもしれない。
どうせまた傷つくよ、って呆れて
笑われるかもしれない。

でも、わたしは自分のこころが
動いた人と、平くんといたいと思った。

それがすべてだよね。


たくさんのコメント
どうもありがとう。

リア友には今回のこと
誰にも一言も言わなかった。
なんとなく、言えなかったが正しいかな。

わたしの周りの人は
平くんのこと、知りすぎてる。

同じ会社だから仕方ないけどね。

平くんのこと悪く言って
みんなの平くんへの印象を
悪くしたくなかったんだ。

それに、なんだか平くんのこと
悪く言いたくなかった。


こんなわたしだけど、
もし良かったらこれからも
見守ってください。


自分の気持ちの整理をつけてる間に
たくさんの購読者さんが増えました。

ありがとうございました。




やっぱり、好きだ。