話題:恋愛

夢を見た。何年も前の恋した人に会えた夢。もう、彼と離れてから5年以上は経つというのに、あたしの生涯のなかで最も恋をし、焦がれ、一緒になりたかった。信頼していたけれど、道ならぬ恋は叶えてはいけないからと身を退いたものの、会えるならまた会いたいと思ってしまう。いくつもの秘密を共有して、一線を越えぬように想いを伝え合った。踏み込んじゃいけない、ほしいと思っちゃいけない、自制心をフル稼働させては彼を拒絶して、あたしは彼の前から消えた。こうするしかなかった。自分のためにも、彼のためにも。今ほどに不倫がうるさくなかった時代、あたしはギリギリの理性を奮い立たせながら、彼を想った。彼への想いも思い出は、だれにも話さない。あたしと彼だけの秘密にすることがあたしにとっての支えになっていた。
何度目だろう、こうして夢に現れるのは。会いたい、とても会いたい。胸が締め付けられるほどに、恋しくて、大事だからこそ苦しんでも行動しない。あくまでも、終わった恋だからと言い聞かせて、毎日をやり過ごして、目の前の人を愛そうと。本心とは裏腹に終わりにしないといけない恋も、気持ちを口にしてはいけない恋もあって、相手を想うからこそ離れないといけない。夢でも会えてうれしいと思ってしまうあたしは、彼の前から姿を消したときのまま、気持ちが変わっていないことに気づかされる。それでも、恋と愛はちがうし、恋と結婚もそう。大人になるのは、自分の気持ちにうそをつくことも必要で、人生設計をしてくことも大切。だれも悲しませず、傷つけず、軌道の外れた恋道なんて歩んじゃいけない。

だけど、くちにしないし、行動もしないから心のなかだけでは思い出させてと願ってしまう。涙がながれては、蓋をする。思い出さないように奥へ、記憶をしまう。心から、だれかをまた想える日はくることを祈りながら。