01-04

/そんなこんなで、今年もよろしくお願いします。

 

01-06

/空を横切る白い糸を観測する。

/雪の日の空は赤。起伏が埋まり滑らかな雪原。歩くと埋もれるから、道をつけるまではお待ちなさい。街灯が浮く。

/冬に流水の音を聞いたら、雪の下の栓が抜け渦を巻き地が吸い込まれる、ような気がして。雪の原は静かなもんだ。

 

01-09

/部屋が暗くなり、雪が降っているのかと外を見たが、部屋より明るく晴れていて、穴ぐらから外を見る。

 

01-14

/寄せてくる波や地平線を歩くことを夢とした。わりと可能なのだ、絵の中では。

/冬の光は、落とし物。

 

01-19

/深夜の鯨が通り過ぎるまでの時間は長い。

 

01-27

/空に光るものがあり、ぎょっとしたが月だった。冬は曇り空がデフォルトなので、星だとか月だとかを珍しいものとして見てしまう。よくよく見ると怖いものだ、月の色。灰色の空と雪原、とだけ言うととても終末感がある。

/冬の雨音、来訪者のようで。窓の外で鳴れば、はいと返事を。こんな静かな夜に一人で。

/月も半分寝ているようで、合わせてゆっくり瞬きをする。雲に乗り遠くへと行けるだろう。

 

02-01

/覆水盆に返らず、猫は盆に返る

/彼を求めるならば、あなたは探求者でなくてはならない

 

02-08

/届けたい人に届かないじゃないかと、いつも。

 

02-09

/濡れ雪をくっつけた電柱が、真っ白くなり立っている。雪あかりの空。月夜の電信柱という単語が浮かぶ。賑やかに歌いだしそうだ。

 

02-11

/秋は稲の波、冬は凪の海

 

02-22

/たとえば雨音がするなと思ったとき、あなたの言葉でそれを聞けたなら嬉しいものです。

/取り落とした指輪、熊さんわざわざ拾ってくれた。そんなんでも孤独なだけ。誰が拾おうと状況は変わらないのだ。

/書簡の内容はなんだったか。過去を振り返ろう。知らせは親しい者らにきちんと届いたか?月が道を作るように見えたなら、きみは振り向かず行ってしまうだろうか。

/時間がゆっくり流れるのは時計が止まりかけているからだろう。秒針がゆっくり進むのでいつもと同じ今日も愛しい。

/ほんとは毎日が静かなはずなのだ。雑音というのは自分の中で流れていて、うるさく思う日も、音が無いように思う日もあり、どこにチャンネルを合わせているか知らないが、いつか忘れていた音を思い出すことだろうな。

 

02-23

/嘘も本当も、空想の洗濯機に放り込みましょう。

 

02-25

/きみの夜を文字で埋めていきます。二度と巡らないように。

 

02-26

/語れぬ夜に、きみが何かを喋っていてくれたらいいなあ

 

02-28

/雪原に赤い月、異星の荒野。

 

02-29

/これは雪明かりだ。もう一度冬をしよう。

 

03-05

/電気の下を渡り歩く。夜の人。夜に生きるつもりで、明かりの元にいるのだから。

/ゆるやかに首をしめられていく。麻酔薬。信頼。無力を知りながら助けるのか。

 

03-07

/おや星が。昼間は拗ねた空色だったじゃないか。泣いては笑う子供のようだ。早く寝なさい。

/私は雲の中におりました。今日は雲の方から降りてきたのです。山から向こうの平野まで、じっくり観察して帰ったことでしょう。その間我々は口を閉ざしていました。空気を揺り動かしては申し訳ないと思ったのです。熱い温泉にしずかに浸かるときのように。

 

03-11

/くらくらと歌っているのは夜の鳥。猫たち、捕まえておいで。帰る場所など無いのだから、遊んでおいで。

/母樹は育む。たとえ森が焼け野原になったとしても、変わらずに。

/青空から雪

 

03-12

/私には声がありません

/きみを手放せなくて泣いているのです。ずっと連れて行けたならよかった。

 

03-19

/自分の身を道具にすることを恐れずにいたい。耐久力が低いからと前線に投入せずに来たけれど、そろそろ局面が変わってきたのだ。

 

04-01

/滑空する二羽の白鳥、朝の光によく映えた。なるほど、物語が舞い降りたような。

 

04-05

/この手で花を、鳥の死骸を、春の芽吹きを、空を、あれこれ掴んでいるようで。一度離さねば。風船の糸がついと逃げていくその速さときたら縋れない。

/星もゆらめく春の空

 

04-16

/たまに透明な猫をみかける。上手く他の猫に紛れているのだが、お日様に照らされると透けるので分かる。ひなたぼっこが大好きだから、すぐに分かる。

 

04-26

/星を避けて泳ぐのだ。嘘偽りを絡め取りながら。夜空の掃除屋。