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老けていく罰


すごくすごく性格の悪いことを言うのだけれど
私はものすごく美人な訳ではないが
普通より少し容姿のよさをつくっている方で
人様に容姿だけは褒めていただける機会が多かった分
そこに依存しようとする気持ちがちょいと強い

ので、具合が悪くなると自分のできる限りの中で
最高の容姿をつくろうとする
最高で最強のお化粧品第一軍を引き連れて
身につけるものにも全てに意識を向けて
全身フル装備で戦場…という名の会社に行くのである

鉄壁の防御をもって、人にちやほやしてもらえる容姿をもって、相手に思うことはひとつ
「うっせーーんだよ、黙れブスが!!!!」

こう思って、心を保つのです
なんとか乗り切るのです
なんの防御もなく真に受けるともう消えてしにたくなってしまうから

でもこれって、いつまでなのでしょう
もう、これからは老けていくので縋れない
割に息の短い魔法なのです

若いって生きる理由も死ぬ理由も沢山あってうらやましい
時折、容姿のいいこが学生時代に言ってた言葉を思い出す

私は人よりずっと可愛いけれど、もっともっと勉強しないといけないの
頭をよくしないといけないの
そうでなければ、老いたとき女には何も残らない

ささやかにわたしをつくるもの

私は左利き。同時に右利き。
私がまだ幼い頃、両親に私の左手は歓迎されず、左は右へと矯正されました。
私は半端者。だから、矯正も半端もの。
お箸は左でスプーンは右。
鉛筆は右で消しゴムは左。
計算したわけでもなく、楽な方へ甘えてみるので
どことなく合理的。

小学生時代のお給食。
皆で机をくっつけて皆で揃っていただきます。
左は缶箱につめたお米。右は銀茶碗にカレールー。
これが、なかなかに便利、便利。
左でお米をつかまえて、右でルーを掬ってみて、オカズへひょいっと左が動いて右はもう一度カレールー。
そんじゃもうひとつ、左でお米でも。
「すんごい食べ方するなあ」
向き合ってた男の子がそう言った。
確かに。なんて、不格好!お行儀が悪いったらないのです。
食いしん坊みたいな食べ方。お恥ずかしい。
それきり、ぱったりと人前ではやりません。

スポーツは左。お料理も左。
そろばんは右で弾いて、右で数字をすらすらと。左は数字消しまで小休止。
お化粧は左が覚えて、スマホは左が支えて右が打つ。
お気づきかもしれませんが、やはり左に寄るのです。

少々嘘をつきました。
私の初めの矯正は、なんたって、お箸。
なので、家族の前だとお箸が右。
けれど皆さん、今更私が左であることなんて気にかけませんから。
気を抜くと、お箸は左。

「あらぁ、ぎっちょね」

これはこれは祖母が困り顔。
皆さん気にしませんけど、祖母は見ていてくれた様。
ぎっちょは左利きのことらしいけれど、詳しくは知りません。
差別用語だったりしたら、ごめんなさいね。
でも、ぎっちょは右にも化けるのです。
そっと持ち直して
「両利きだよ」
便利な言葉です。

カラーコンタクトを入れる左。
指サックをつける右。
腕時計をつける左。
ニコンD3300押す右。

新しいことを覚えれば、私は勝手に仕分けていくのでしょう。
この子は左、この子は右。
本当は左。誰かのために右。
文字が歪む左。代われる右。

だけど時折、おうちでひとりきり。
私は左に箸をもって、右にスプーンを引っ掴む。
右左右左、あっち、こっち、両手の食いしん坊。
お行儀悪いったらありゃしない。
だけどおひとりさまですから。
実はね、皆さん。私、お箸は左が楽なのです。
だけど左にお箸があるときは、スプーンを右にするのが一等楽なのです。
言っても聞こえません。おひとりさまですから。
どなたにも見ていただけません。今だけですから。

本当は左で出来ないこと沢山あるのです。
本当は右が楽なことも沢山あるのです。

私は左利き。私は右利き。
不格好な、半端もの。

混ざりきらないまま混ざりきって、
本当の得意が私にだってわからないまま
今日も不器用に器用にどちらかを使うのです。
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