中3の6月頃だったと思う。
部活の春の大会の会場校がウチの学校だった。
新入生や普段運動部の試合なんか見る機会のない文化部のが大勢見守る中、大方の予想を裏切って準優勝をした。副部長だった俺はそのなかでも少しは目立っていたのかも知れない。

この時期、新入学生の女の子たちが上級生の品定めをするのは、一種の恒例行事的なことだった。
大会の後にそんな女の子らから手紙やらなんやらたくさんもらったが、中に2年生からの手紙が入っていた。
それが恭子だった。

恭子の顔は前から知っていた。彼女は演劇部で、教室で声出しなどをやっているのを見たことがあった。
体はこの時期の女の子のご多分にもれず、少しふっくらしていた。身長は160ぐらいあったと思う。相対的にデブという印象ではなかった。二重の目がきれいでいつも友だちに囲まれていた。

手紙の内容はもう忘れてしまったけれど、先輩が好きですとか名札を下さいとかそういった内容だったと思う。
正直、どちらかというと女子には嫌われている方だったので、疑心暗鬼をを抱きながらもちょっと調子にのって顔を見に行ったりしていた。そんな俺を見るたびに恥ずかしそうにしているのが可愛くて、青臭い下心を持ちながら、だんだん話をするようになり、部活の合間に、空き教室に二人でこもって話をするようになった。
恭子のまつげが長くて潤んだ瞳も、なぜかいつもピンクに光っている唇も大好きになった。
とはいえ、中3でも奥手だった俺は当然女の子の扱い方など知る由もなく、ただ彼女と何のテレビが面白いとか、好きな漫画はどうだとかそんな話をするだけだった。

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