京子 純情だった俺の誤算


高校を出て就職して、同じ部署に属された女の子の中に京子がいた。特別可愛いとか美人とかそういうタイプではないけれど、ショートカットでちょっと大きめの前歯が印象的な子だった。150cmぐらいだったと思う。45kgもなかったかも知れない。京子は地方出身で会社の寮に住んでいた。5月の連休で仲間が地元に帰る中、「帰ると戻ってきたくなくなっちゃうから」帰省しないという。俺も予定がなかったので暇を持て余す同士で遊びにいく約束をした。


これといって目的地もないまま池袋あたりをうろついていた。県内をほとんど出たことのなかった俺にとって彼女の実家のあたりの話は新鮮で楽しかった。彼女も話がうまかった。


話の中で、彼女にすでに経験があることを知った。高校1年の時にバイト先の大学生が相手だと言った。
俺は冷静なふりをしていたけれど、ものすごくショックだった。実際は何のことはないどこにでもある話だし、スケベで頭がパンパンだった俺も、結局は純情君だったというだけだ。でも、俺の心臓はバクバクいっていた。


別にショックで見境が付かなくなっていたわけではない。いくら俺でもそこまで純情ではないわけで。でも、その場で京子のことが猛烈に愛おしくなった。彼女の手を握ってみた。彼女は小さく笑って握り返した。彼女にとってそのことに何の意味もなかったと思う。俺もそれは分かっていたけれどバクバクは収まらなかった。




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