久しぶりに、本当に久しぶりに隣駅の商店街を車で通った。たまたま工事中の道を迂回して通っただけだった。そこで真由美に会った。19歳で美容師の専門学校生になてっいた。

暇だというので車に乗せた。お互いに他所他所しく、気のない振りをして色々話したけれど昔付き合っていた頃の話はしなかった。あの頃真由美は私立の進学校に通っていたが、親の勧めで美容師の専門学校に進んだ。親は相変わらず仲が悪いけどまだ離婚はしていないと言っていた。その日は俺に用事があったので、翌週の休みにドライブに行く約束だけして1時間ぐらいで別れた。

翌週の日曜日に例の駅前で真由美を待った。ほぼ時間通りに現れた真由美はフワッとしたワンピースにウエーブのかかった長い髪がちょっと大人っぽく見えた。なにしろきっちり化粧をしている真由美を初めて見た。きれいだと思った。

車で2時間ぐらいの湖あたりを適当にドライブしていた。名物のうどんとか、アイスクリームとかそんなのを食べたりしながらフツーのデートをした。昔の話もちょっとした。彼女は「悪い思い出ばかりじゃないよ。」と言ってくれた。正直おれだってそうだった。

そろそろ帰り道という頃、少し会話が途切れぎみになって、こちらが話しかけないと話が続かなくなってきた。真由美に眠いのかと聞いたがそうでもないようだ。
そして、彼女は言った。
「もうさ、やった?」
たしかにあの頃はお互いにセックスの寸止めに勤しんでいた。それを望んだのは彼女だったしお互いに納得はしてたけれど、でもそれは別れた理由の一つでもあった。
おれはすでに経験があったので、わざとはっきりと言った。
「当たり前じゃん。」
「そっか・・・だよね。  あたしね  まだなんだ。」
誘いだ。誘われてる。誘われてるじゃん 俺。
俺は全力で、フツーっぽく、冷静っぽく、そっけなく
「んじゃあ、やる?」だって。
真由美も「  うん。」
そして俺達は、寄ったこともないような町の、知らないホテルに入った。

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