2009-8-12 22:33
人ってのは、優しかったり、軽薄だったりするもんだ。
僕だって、神のような慈愛に溢れてるときもあれば、悪魔のごとき冷酷な思いに捕らわれたりもする。
そりゃ神でも悪魔でもなく人間だもん、いろんな感情に動かされるのは当然だ。
そう考えると、書物で神は人間的に描かれたりもするが、ほんとは感情なんて持たないのかもな。
悪魔もしかり。
出来の悪い物語に登場する悪魔は、大概が人間に対する憎悪に燃えてるけど、あれはいただけない。
悪魔ともあろうものが、人並みの感情に支配されてるようじゃダメじゃんか。
うん、話がかなり脱線してる。
大会でベスト8まで進んだ、ユウの話をしなくちゃ。
ここでお断りしておきますが、どの選手の、どのプレイも、数年間ひたすらシャトルに打ち込んできた情熱と気迫のこもった、ほんとに素晴らしいものだった。
しかしながら、中体連の試合結果はネットなどでも配信されてるので、個人情報保護のため詳細は省かせていただきます。
だから、ここからはユウじゃなく僕の話、一般の観戦者に混じり呑気に試合を眺めてた僕の話になる。
僕が座ってたのは、目的の薄い人たち専用シート…とでも言うか、つまり試合に出場してる選手とは付き合いがない人たちが座ってる場所だった。
よく分からないけど、バドが好きで来た人とか、会場の近隣に住んでる人とか、たまたま体育館に来たので暇を潰してる人とか……そんなんじゃないかな。
人も疎らで、このゾーンだけは他の観戦席とまるきり温度が違い、誰もがシーンと落ち着き払って試合をみてた。
そんななか、僕もゆったり座席にもたれていたが、心中を言えば接戦の続くユウの試合にハラハラしてて、落ち着きなく足を組み替えたり、やたらに伸びをしたりと、実際はかなり挙動不審に見えてたと思う。
そのとき分かったんだけど、感情を声に出すのって大事だ。
ほかのサポーターは、
そこだ行け、とか、
拾って、とか、
集中しろ、って声をあげてたけど、あれは無意識に叫んでるんだろう。
試合に熱が入ってくると、観てるだけで自分がコートにいるような錯覚にはまり、すごく緊張してくる。
その緊張を吐き出すため無意識に声をあげ、体内に蓄積されてく熱を発散させてるんだ。
ところが僕は、硬くなってく背中をさらにガチガチにしながら、声を出せない代わりに奥歯をギシギシ言わせてたわけだ。
体にこもった熱は臨界点に達しかけ、気、というか、凄まじいエネルギー塊となってた。
そのとき、ほんの一瞬耳を掠めた声が、僕の思考を一挙にクールダウンさせた。
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