昔の仲間たち、

こんな言い方をしたらそのうちの一人不動遊星あたりは今でも仲間だ、と言ってくれそうなものだがそれはこの際置いておく。

彼らの協力を得て新しくデッキを組みなおすことにしたレイラは仲間の一人だった(誤解を生まないために先に言っておくが別に憎みあってたりするわけではない)クロウ・ホーガンへのリベンジを誓うのだった。


「えと…、とりあえずテーマ1色だとサーチ先に乏しいし、2色でいくか。」

「属性統一と言うだけでもだいぶまともになるだろうな。」

「悪かったね、今までカードの寄せ集めで。」


とあるカードショップ。
ジャックのコネ…というよりは人気で発売前のパックをフライングゲットしたレイラ。
悩みながらカード配分を考えている。
ちなみにリベンジ相手のクロウはただいま仕事中でここにはいない。


「とりあえずエースは3積み。リクルーターも3積みだな。」

「うん。チューナーこんだけで平気かな?」

「それはシンクロ主軸か、そうでないかによって変わるな。」

「うーん…、とりあえず入れとくか。」

「そうやってカードを詰め込むからデッキが崩壊するということがまだわからんのか。」

「もー、ジャックうるさーい!」


鬼柳、遊星、ジャックのアドバイスをもらいつつ組んでいく。
なかなか楽しい時間だ。
今あるカード達から無限の戦略を組み上げる、これぞデュエリストの真髄だろう。


「レベルをランクにすることはできても、ランクをレベルに戻せないんだよな。」

「あぁ、ある意味では邪魔になったグングニールの処理には困らないがな。」

「グングたんを邪魔とか不憫とかいうなー!」

「誰も不憫とは言ってないだろ。」

すかさずつっこむ鬼柳。
ランク7のエクシーズなんてよく使えるよ、とその後に続けた。


「しかし、これは厄介なデッキになりそうだ。」

「だよな、疑似グラビティバインドだしな。しかも効果無効効果付き、カタストル涙目だな。」

「自分のモンスターのレベルを下げて潜り抜ける方法か…。」

「やめてよ!対策考えるの早すぎだよ遊星!!」


早くもメタられそうな勢いに悲鳴を上げるレイラ。


「まぁ、対策はレイラのいないとこで練ることにして。とりあえずモンスターはそんなもんでいいんじゃないか?」

「後はバックカードか。こんな感じの予定かな。」


よいせ、と並べていく。
それを見てのみんなの反応。


「召喚カウンターが入っていないが。」
と遊星。

「サイクロンは必須だろう。」
とジャック。

「サルベージか貪欲は入れとけよ。」
と鬼柳。


「サイクロンは入れる!…あれどこやったっけ? その前にとりあえず激流葬っと。て言うかあたし貪欲もサルベも持ってないから!」

「持ってないのかよ。」

譲ってやるからちょっと待っとけ、そう言って鬼柳はカードを探し始める。
そこになぜ持ってる、とレイラのツッコミが入る。


「とりあえずサルベージ2枚はあったから入れとけよ。後は若干のパワー不足だけどその辺は装備カードサーチすればどうにかなるな。」

「一番いいのはクロウが完全に展開しきる前にこちらのペースにしてしまうことだな。レイラ、試しに回してみるか?相手になる。」

「遊星相手か…、お手柔らかにね。」




その日の夕方、帰ってきたクロウにレイラは開口一番こう告げた。


「おい、デュエルしろよ。」

「お前ってさ、オレにネタに走るな言っておきながら自分はよくやるよな。」

そんな鬼柳のツッコミはレイラに届いていないのは言うまでもなく。
ずいぶんと突拍子のない申し出に一瞬驚いたクロウだったが快諾した。


「いいぜ、今度は少しくらいは手加減してやるよ。」

「今までのレイラちゃんだと思うなよ!クロウが仕事言ってた間、友情と努力のターンは済ませたんだからな!」

「どこの3原則だよ。というかオレにツッコミやらせんな。」


またもや軽くスルーされたところで今回はクロウの先攻でデュエル開始。


「じゃあ、オレはこれでターンエンドな。」

「リバースカード2枚に裏守備モンスターか。」

なんとなく見えていなくても何が伏せられているのか分かる遊星、こればかりは付き合いの長さで知るものだろう。


「あたしのターン、ドロー! まずはブラックホール発動!面倒なモンスターを墓地送り!」

「ま、仕方ねぇか。」

「げ、ヴァーユだよ、本当に面倒だなぁ。」

裏守備モンスターはいなくなりリバースカードのみになったところで反撃開始。


「手札の海皇の竜騎隊と水精鱗‐アビスディーネを墓地に送って、水精鱗‐メガロアビスを特殊召喚!」

「ちょっと待てよ!水精鱗‐アビスディーネなんてカード聞いたことねーぞ!」

「うん、一週間ほどフラゲった。ジャックのおかげで。」


そりゃねーよ、そんなクロウの呟きはレイラにまたしても届かない。



「龍騎隊効果、デッキから深海のディーヴァちゃんを手札に加えて、召喚!ディーヴァちゃん効果で海皇の狙撃兵を特殊召喚!メガロアビス効果、ディーヴァちゃんをリリースしてこのターン2回バトルを行うよ。」

「なんか、やな予感しかしねーんだけど。」

ギリギリ残るよな、と場のモンスターの攻撃力の計算を始めるクロウ。
だがそうはいかないのがこの海皇水精鱗デッキだ。

「バトルフェイズに移行するよっ。メガロアビスで2回、狙撃兵でダイレクトアタック!!」

「くっ、やるじゃねーかレイラ。けどまだオレのライフは残ってるぜ。」

「まだなのはこっちだよ。狙撃兵効果、相手ライフに戦闘ダメージを与えたときデッキからレベル4以下の海皇と名のつくモンスターを特殊召喚するよ。2枚目の海皇の龍騎隊召喚、そしてダイレクトアタック!!」

2800×2+1400+1800=8000
これで終わりだ。
レイラの手によって後攻ワンキル返しというまたなんともすごいことをしたのであった。


「オイオイマジかよ…。全然違うデッキで分からないって言ってもこれはキツイな。」

「どうだ、もうレイラちゃんをバカにすんなよっ!」

「もともとしてねーよ。…けど、強くなったな!オレのデッキもまだまだ改良の余地がありそうだぜっ。」


こうして、レイラの復讐劇は終わった。
大体的な彼女のデッキの改良の末に。


「じゃ今度はオレとやろうぜ、満足させてくれよなっ。」

「お前も好きだなー。まぁ、新しいデッキは回数回して自分のものにするっきゃないからちょうどいいけどね!」



追記
あとがき