『あなた』という、やすらぎに包まれて

気付けば
車内に２時間もいて、

翌日は二人とも仕事。
複雑な気持ちのまま、おやすみを言った。



それから４日後。
またＮさんと休みが重なってて、

夕方Ｎさんから誘われた。


『メシでも行かない？』

『じゃあ、
久しぶりに粉モノがいいなぁ。』



お好み焼きを食べに行った。


あまり、雰囲気のあるお店はよくないかなぁと思って…


もう何度も乗せてもらってるＮさんの助手席なのに、
今までと違う感じ。


『友達』じゃなくなるってことは、
こういうことなのだろうか。





お好み焼きを食べてから、
少しドライブをして、

彼は河川敷近くに車を止めた。



そしてまた抱き締められたのだけど、

運転席と助手席の間のBOXが邪魔だと　嘆いていたのが可笑しかった。



お喋りしながら不意に手を繋がれて…
指を絡ませるやつね。
私たちは『ラブラブ繋ぎ』と呼ぶけど(^^;)



手を繋いだままスマホをいじるのに具合悪そうだったから、
『離していいよ』

と言うと、

『ダメ！』
って言った。





『こないだのことは、
酔っ払ってたから覚えてないと思ってた。』



『多少は酔ってたけど。
お酒の力を借りたい時もあるんだよ。』



『私が、
何すんの！　　って、引っぱたいたらどうするつもりだった？』



『ん〜…

ごめんなさーい！　って、逃げるしかないよな（笑）

でも、引っぱたこうと思った？』




『ううん、思わない。』






そして今日、

Ｎさんは仕事が半日だそうで…



またお誘いを受けた。

日帰り温泉に連れてってくれるんだって。



さて…と。

Ｎさんの、
予想もしなかった行動に戸惑った。

この人は、本当にＮさんだろうか…？



『ゃだあ、Ｎさん…　酔っ払っちゃって〜』


『酔ってるけど〜
正気だよ。

ずっと、こうしたかったんだ。』



ずっと…？


気づいたら、
私もＮさんの背中に腕を回してた。




（なんか、ボケとかツッコミとか言わなきゃ。
これ以上は…）




『Ｎさん、知ってた？

耳の後ろは　加齢臭が強いのよ(^^;)
だから、離れて。』


Ｎさんはさらに強く抱きしめて
私の耳の辺りを嗅いだ。



『いい　ニオイがする…』




（お願いだから、これ以上は…
神様ぁ〜！）






神様は、
私のお願いは聞き入れてくれず、


簡単に唇は奪われた。




（違う…）




けんちゃんの時とは違う、タバコのニオイ。
タバコの味。


でも、
柔らかくてあったかいのは同じなんだ。





昔、誰かに聞かれたっけ。

好きでもない人と、
kissか、hかどちらかしなきゃならないとしたら、どっちを選ぶ？　　って。


くだらない質問だと思ったけれど、
私は　

『h』　と答えた。



kissは、
本当に好きじゃないと出来ないよ。




じゃあ、　Ｎさんは？


最近は、日本人も友達同士でkissするの？



色んなことがグルグル頭の中を巡り、
それでもＮさんにされるがままだった。


拒否することも出来たはずなのに…