俺は、こんなにもルツが大好きなのに。どうして傷付ける事しかできないんだろう。
「今日はどうしたんですか?ディーン。」
「・・・っ」
微笑みを浮かべてそう問いかけられ、ディーンは言葉に詰まる。
今自分が恋人に強要しているのは紛れも無くただの乱暴。
それも、ただの嫉妬から来るもの、だ。
「・・・どうして怒らないんだ?」
ベッドの上に押し倒し、ルツの両腕を締め上げる。それに動じた様子も無く、ただ「ディーンが怖がってるから。」と告げられた。
「なんで」
すぐにわかるんだろう、こいつは。
数時間前、通路を歩いていたらルツと、見知らぬ青年が親しげに話しているのが見えたのだ。
それを見てすごく不安な気持ちになった。ルツを知らない男に取られてしまいそうで怖かった。冷静に考えれば自分に一途な感情を向けてくれる少年が裏切るはずがないとわかっているのに。
そんな不安な気持ちにさせてしまうほど、あの青年とルツのツーショットは似合っていたのだ。
「・・・大丈夫ですよ、ディーン。」
ディーンの拘束を解いた少年はそっと、強張る頬に触れた。
「僕が貴方以外の人に惹かれることはありませんから。ディーンだけを愛し続けるから。・・・だからもう怖がらないでいいんです。」
「・・・ルツ」
「大丈夫、大丈夫ですよ。」
大丈夫、大丈夫と呪文のように繰り返すルツの声に酷く安心して。
小さくありがとう、と呟きながらディーンは頬に触れていたその手に自分の手を重ねた。
久々に書いたらこんなになってしまいました。ただ嫉妬して不安になる橙が書きたかったんだ。