我が親愛なる友よ。
君は軽薄ではあったが、
信頼に足る男だった。
その能力は他と一線を画し、
将来を嘱望されていた。
文武両道とはいかなかったが、
武には他より長けていた。
性格は大雑把だったが、
人望はある人物だった。
間違ってもこんなところで、
死に逝くべき男ではなかった。

考え方の違いで何度もぶつかった事もあったね。
あの頃はお互いに譲れなくて下らない事でぶつかった。
もう、君とぶつかる事も、
憎まれ口も叩けなくなると思うと、
寂しいよ。

思い残す事はないか?
…いや、無いわけないよな。
彼女さんの顔を見ただけでも、
その答えは僕にもわかるよ。

悔いもあるだろう。
願いもあったろう。
夢もあっただろう。

それらはもう、叶わないんだな…。

友よ、今は安らかに眠れ。
さよならは言わない。
また、すぐ会えるさ。

いつかまた、会おう。
その君の口癖で、僕も幕を引こう。
忘れない。

願わくは、君も。