●鈍い女(沖神テイスト)
最初は、興味本位だった。
いや、興味があったとも言い難い。
強いていうならば、付属品
オレが興味を持ったのは、万事屋の旦那で、その旦那が愛用する木刀と同じ付属品
そんなポジションでしかなかった。
浮き雲みたいなあの人は、自分がどう思われようが、気にもせずふわりふわりと渡り歩いて、大切なものを拾い上げてゆく
そんな掴みどころのない男が気になって、気になって、近づいてみたり、離れてみたりして観察していた。
弱すぎるから、誰も失いたくないのか、強すぎるから、運命に逆らい続けているのか。
いまだによくわかってはいない
それでも、あの人が、差し伸べた手を掴んだ者は、例外なく、あの人に魅せられ、少しでもあの人に近づこうとする。
あの人のように、強くありたいと…
「なんだヨ、お前に用なんかないネ」
公園のベンチに座るチャイナに近づけば、振り向いた瞬間に見せた笑顔は、まるでなかったかのようにすぐに消えていった。
「旦那じゃなくて悪かったな」
「別に、銀ちゃんなんか待ってないネ…お前、バカだろ…」
口にした人物に反応示し、ピクリと揺れる肩に、(なんでぃ、図星か)とココロの中で愚痴る自分がいる事に、少しだけ嘲笑する。
わかりきってる事じゃないか…
この女は、自分では、気がついていないが、旦那に惚れてる。
旦那にとって、そんな事は多分どうでもいい事…
大切なものであるのは確かだけれど、価値観の違うところにあるものに、その手の優しさを見せようとするような男ではない。
現に、今も、旦那がどこにいるのか、オレは知っていた。
「へぇ、んじゃ、返さなくていいんだなァ」
「なにえらそうな事言ってるアルかッッッ!!銀ちゃんは、レンタル製品じゃないヨ!あの男はフラフラしてるマダオなだけネ」
「ま、旦那も男ですからねィ、フラフラと股の間をあちこちかいくぐっててもおかしかねェや」
「男ならなんでもしていいと思うなヨ!お前もか?お前もなのか?男はみんな勝手ネ、汚すぎるヨ」
「ひでェな、旦那とオレを一緒にするんじゃねぇよ」
「お前と銀ちゃんを一緒にしたら、かわいそうネ……」
不意にうつむいた視線に、ドキッとした。
「銀ちゃんは、こわれそうになった大事な宝物を助けに行ってるだけヨ…」
知るわけがないと思ってただけに、その台詞に凍てついた。
「だから、お前と一緒にしたら、銀ちゃんがかわいそうヨ」
向けられた笑顔がまぶしかった。
「チャイナ……」
「ありがとネ、お前の気持ちに免じて感謝してやるヨ。鈍すぎるお前なんて、キライだけどな!」
そう言い放つと顔を真っ赤にして立ち去っていった。
もしかしたら、鈍かったのはオレかもしれない…
終わり
なんか。まとまりきれてない(爆)
そしてお知らせ…
8月のイベントは流しました…
源泉の申告時期でとてもじゃないけど、月末は休めない…
しかもただいま多忙で、原稿が無理…
しかも来月頭に結婚式に呼ばれてる…ちょ、マジ、死ぬ…