参った。
申し込み締め切りまでまだあると知っていたので油断したら、青春カップ6申し込み満了になっていた。
青プを舐めていたわww
……一応、仮申し込みしてみたけれど。ビミョーにやる気がなくなった今日この頃。
一応、スペース拡充の希望をもって、『青い』を書いておきますが、行けなくなることが確定したらもう『カイザーリン』します。
今日は、これでタイムリミットなので、お茶濁しに『運命の人』にコメディ過ぎて入れられなかった帝国鬼円初めての翌朝話をちょっとUP。ちょっと中途半端ですが、続きがあるかどうかはわかりません〜
では続きから。
「佐久間、少し話がある」
一年生にして早くも、帝国の帝王と誉れ高い鬼道の表情が余りに真剣だったので、言われた者は、歩む背についていきながらも戦々恐々。何も不始末をしでかしていない…よな? と、一瞬胸に手を当てて構えた。
以降無言のまま、二人は大きな地図やら物品やらがところ狭しと置かれた資料室に入室した。
ここは、プライベートがあるようでない生徒間で、人目を忍ぶ相談事や逢瀬をする為使用されるとして有名な部屋である。
「鬼道、何か…」
また、『指導』を入れられる事でも有名な部屋である。いつまでも無言の鬼道に、恐る恐るといった風情で、尋ねた。恐ろしいことは、さっさと終えてしまいたい。
「…そうだな、相談事、があるんだが、いいか?」
佐久間は、想定外の展開に、思わず『へっ?』と、間抜けな声をあげた。
それから何とも言えない沈黙。昼休みの喧騒が遠い。
一方、それを聞きとがめるほどでもないと思っているのか、それともそんな余裕などないのか、鬼道はどこか落ち着きがない風に目を泳がせている。
大変珍しい。とりあえず、佐久間は肯く事で言葉を促した。
鬼が出るか蛇が出るか……と、思ったら。
「――実は、すっと好きだったヤツに、無体をしてしまった…」
鬼道のセリフよりも、我が耳を疑ってたっぷり固まった後、ようやく疑問を口から押し出す。
「む、無体……で、ございますか」
思わず必要以上に敬語になった。しかし、鬼道もそんな事も気にしてられないらしく、一つ大きく息をついて、驚愕の事実を口にした。
「好きだと押し倒して……って、しまった」
肝心の部分を明言する勇気がなかったらしい。しかし、この文脈を読めないバカは帝国に…居るには居る――例えば円堂のような奴だ。が、ほぼ居ない!
魂が口から飛び出しそうとは、この事である。
サッカーひと筋のこの人に好きな人物がいるという事実すら初耳であるし、大体、まだ十三歳…色々順序を飛ばし過ぎだろう。告白はしたという点だけは、幾分か救いではあるが。
「き、鬼道! …それは、まずいだろ!」
「だ、な……俺は、どうやって詫びたら」
あの、鬼道が、悄然と肩を落としている様など、まったくもって珍しいというか、天然記念物モノだ。
「と、とにかく、どんな子だ? ほら、どんなタイプか教えてもらったら謝る方法も言えるかも知れないだろ!」
質問に質問を返す佐久間の言葉も大概ピントすらおかしかったが、やはり鬼道には、どうでも良かったらしい。ふ。と、ひとつ、切なげな息をつくと、ゴーグルにも隠せない陶然とした表情で想い人への言葉を募らせていく。
「可愛くって」
そうか、そんなタイプが好みか。
「なめらかで」
……なめらかな人って?
「とても、柔らかくって…とろけそうな程―――」
待て。と、強引に鬼道を遮った。
「――それって、ヤった感想じゃないか?」
歯にきせるべき衣なんぞどこかに追いやった佐久間が、呆れてツッコミを入れれば、
「………すまん」
鬼道は、ピンクに染まった思考より正気付いて、自らの言葉を心底恥じ入り俯く。
それをみて、もう、と。ため息をつくと、佐久間は、もはや遠慮会釈を捨てて、話を変えた。
「で、どうして、こうなった?」
鬼道自身に対しても、どうして、こうなった? と、思い切り聞いてやりたい。キャラが違いすぎだろう。
こんな鬼道に純潔を奪われたという相手の子に、サッカー部一同、本気で土下座して何度でも謝罪したい。勿論、この男の額を地面に擦りつけるのは忘れない。
ところが、もうこれ以上驚く事などないと思っていたのに、なお、驚くべき話がこの時上がった。
「…アイツが『帝国に居場所がない』と、言うから」
―――帝国は、中等部まで男子校である。
ああ、と。佐久間は、激しい目眩にふらつくのを押さえるので一杯になる。
しかも、これで、鬼道の『無体した相手』に目星がついてしまった。この時ばかりは、偏差値の高い自分の頭脳を恨んでしまう。
いや、推測はそんなに難しくない。
彼の狭い交友範囲を考えれば、最初から選択肢など多くはなかったのだ。
「引き留めたくって、つい」
柔らかそうな、童顔。
「俺のモノにしたら、思いとどまるだろうかって…短絡的になって」
男前な性格や仕草に隠されているが、結構可愛いといえる容貌。
「一生、隣で笑っていろって…」
――太陽の、笑み。決定打だ!
何だか、変な汗が一杯出てきた。
しかも、もう、プロポーズ済みかよ!
あああ…と、頭を抱える。
どうして、俺をこんな相談相手にチョイスしてくれたのか。いや、多分、他のメンバーは恋愛事に疎そうだからか。正解だが……。
「そうですね、とにかく全力を持って謝罪して、改めて告白からし直すべきだろう」
とにかく、本当に、すまない――
宗教を信じているわけじゃないが、佐久間は胸の中で十字を切った。
「そう、だな…許して貰えんかも知れんが」
「そんな事を期待する方が、ダメだろ。まずは、覚悟と誠意を持つべきだ」
とにかく、今からこの男を連れて、謝りに行くから。
佐久間は、にっこりと、ひきつった笑みを作ると、意図的に不自然な話題転換をする。
「そうだ、『話を変えます』が、円堂が体調不良で学校を休んでいるようですよ? ――お見舞いに行きますよね?」
煮るなり焼くなり、好きにしてください……。
「あ…ああ……」
バレたと悟ったか解らなかったかは不明だが、ガックリと肩を落とし死刑執行を受ける罪人の如くトボトボ歩く鬼道を見て、
あの鬼道をこんなに思い苛ませるなんて、恐るべし、円堂守!
と、佐久間は、生まれて初めて彼が恐ろしく感じたのだった……。
【続く…かもしれない】
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