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道しるべ(長こへ)


ある日、小平太がいなくなった。学園内を見て回ってもどこにもいない。しかしほっとけばまたひょっこり帰ってくるだろう、と長次は自室へと戻った。

しかし小平太は帰ってこなかった。夕飯の時間だというのに帰ってこないのはおかしい。長次は外に出た。肌寒い風が首筋を通り抜け、気温が低いため体が一気に冷えてしまった。

こんな寒い中、小平太はどこに行ってしまったんだろう。

学園の外を見渡すと山に向かって出来たうねった塹壕を見つけた長次はそれに沿うように山に向かって走った。




塹壕は山の天辺で途切れていた。そしてその塹壕の中で小平太がただじっと月を見つめているのを長次は見つけて駆け寄った。

「…小平太」

長次の小さな声に小平太は反応し後ろに振り返る。

「ちょうじ…」

「…何してたんだ、心配した」


小平太は目に涙を滲ませながらその大きな目で長次を見つめた。


「おかしいんだ、私変な気持ちになるんだ。長次と遊んだり話したりすると妙に楽しい上に妙に切ない気持ちになる。昨晩考えた結果これが何かわかったら塹壕を掘らずにはいられなかった。」

小平太はまたざくりと地面にくないを突き刺す。ボタボタと涙を土に染み込ませながら小平太はざくざくと掘り進んで行ってしまいそうなのを、長次はそのくないを取り上げて阻止した。


「やめろ…返せっ…!!掘ってなきゃ辛いんだっ!!掘っていれば長次のことを忘れられるし無我夢中になれるしそれにそれにっ」


小平太は泥と涙でぐちゃぐちゃになった顔を拭わずにわめいた。長次はその小平太の顔を手ぬぐいで拭ってやろうとすると小平太は思いきり長次の手を叩き払った。

「触るな…、不安になる…不安定になる」

「小平太…」


小平太はずびずびと荒々しく顔を袖で拭った。見るからに初めてでおびえている小平太は小さな子供みたいだった。
長次は地面の中にいる小平太を無理矢理上に向かせた。泥と涙が混じってなんとも言えぬ小平太の顔にある唇に長次は自分の唇を押し付けた。


「…これでも不安か?」


小平太はきょとんとした後再び涙を流しながらにっぱりと笑った。




おわり

ちょこへっ
こへ受け好きです´v`*

小さいあのこ〜電車編〜(鉢勘)

今日は鉢屋と一緒にお出かけします。デートと言うと恥ずかしいから言いません。普段自転車通学してる俺は鉢屋に手を引かれながら慣れない駅の改札口を入りました。
今日の鉢屋は私服でなんかかっこいいです。フードについてるモフモフも素敵です。それに比べて俺はなんとつまらない格好をしているのでしょう。

「勘右衛門がキャップかぶってるとなんか小学生みたいだな」

と鉢屋に馬鹿にされてふくれながら帽子を頭からとる俺を鉢屋は不機嫌になるなよ、と笑いました。
電車はすぐに来ました。意外と人が少なくて思わず笑みがこぼれました。
しかし中は席が空いておらず鉢屋はつり革に掴まりました。俺は恥ずかしながら届かないので手すりに掴まりました。

電車が動き出してガタンと大きな揺れと共にこけそうになった所を鉢屋に受け止められました。鉢屋はあぶねぇと言いながら俺の背中に手を回して支えてくれました。俺たち周りからどういう風に見えてるのかなぁと思いながらも鉢屋を突き放さずに大人しく鉢屋に寄り添いました。

とある駅に停まった時にどっと人が入ってきました。俺は鉢屋から引き離されそうになり必死にもがいていた所、鉢屋と壁に挟まれて正直…ドキドキしました。さっきよりも体と体が密着してたしTシャツ越しに鉢屋の体温が伝わってきていたから。


「勘右衛門は小さいから見失わないようにしてやってんだからな」


と言って他の人と俺との壁になってくれました。俺はその馬鹿にしてる言い方に何も言い返しませんでした。何もかも、好きだと囁かれているような気がして。甘い本音が別にどこかにあるような気がして。

カタンカタンと揺れる電車の音があまりにも気持ちよくて、ずっと聞こえていればいいのにと俺は思いました。





おわり

久しぶりのちび勘ちゃんです^p^*ちび勘ちゃんはほっぺたもちもちです

とくべつなひと(木勘)

「今回はあそこの城か」


久々の任務だった。いつも兵助や鉢屋が頼まれている任務が俺に回ってきた。久々すぎて手が震える。俺は目をつむり、呼吸を整えてから一気に城に忍び込んでいった。










蝋燭の火がゆれて影も揺らめく中、見えたひとつの人影。



「先生、入ってもいい?」

襖が開きそこに立っていたのはボロボロになった勘右衛門だった。疲れた目をしながら汚れた足で部屋の中へと入ってくる。

「先生、俺失敗しちゃった」


勘右衛門は今回の任務を失敗させてしまったのだ。勘右衛門はその情けなさや不安にかられ、何とも言えぬ切ない気持ちに襲われていた。
突然木下は背中に温もりを感じ、すぐその後に胸に腕が回された。それは勘右衛門の腕で勘右衛門は小さく声を出しながら泣き出してしまった。

「どうしようおれ、どうしてできないんだろ…?」

「勘右衛門…」


忍たまなのに、将来は忍者を目指しているのに、あと二年しかいられないのに。
呼吸を乱しながら泣きじゃくる勘衛右門に木下は胸に回されている腕を優しく引き離し、勘右衛門と向き合う。勘右衛門はぎゅうぎゅうに目を瞑りながら悔しそうに涙をこぼしていた。木下は勘右衛門の頭をぽんぽんと二度ほどあやしてから勘右衛門の唇を啄んだ。


「…生きて帰ってきただけで十分だ」


真剣な表情で慰めの言葉をかけられ勘右衛門は物珍しそうに濡れた目をぱちくりさせながら木下を見つめると木下は照れくさそうに勘右衛門から目を反らした。

「とにかくっ教え子が帰ってきてくれた、それだけで先生は安心するってもんだ」

「今は教え子だなんて思ってないくせに…」

「…」


勘右衛門はふふふと笑ってあぐらをかいている木下の膝にまたがって子供のように甘えた声を出した。

「他の奴等が失敗してもこんなこと言わないで。いつもみたいに怒って。優しいのは俺だけにして。俺を特別扱いして。」


勘右衛門は木下の首に腕を巻き付けて木下の顔を抱き寄せる。木下は勘右衛門の顔を引き寄せて深い口づけを交わす。そしてそのまま首やら鎖骨やらにとどんどん口づけを落としていく。

「せ、んせ…」

勘右衛門の泣きそうな声が聞こえないフリをしながら木下は勘右衛門を押し倒す。そして二人はそのまま夜を共に過ごしたのであった。





おわり

私日本語わからなーい
頭文字をアタマモジて読んで注意された。あと縮小をショウシュクて言ってた。もう馬鹿以外のなんでもないぜっ

初恋(木勘)


切なくて、切なくて尾浜は部屋に籠って声を殺しながら泣いた。
まるでそれは軽い言葉
まるでそれは残酷な言葉


ひどいよひどいよ、先生おれのこと嫌いだって!目を見ながら言われた。



「うっとうしい!!」

「俺先生すき、」

「大人をからかうんじゃないっ」

「からかってないよ?俺ほんとに先生が好きなんだもん」

「私はそんなやかましい勘右衛門は嫌いだがな」

「えぇ〜?そうなんだ?へぇそうなんだー…」


ささいなことだった。こんなの平気なはずだった。
あれ?おかしいな
今目からなにかがぽとりと落ちた気がする。
すると止まらなくなって、息が苦しくなって胸が苦しくなってどうしようもなくなって。先生のこちらにのびてくる手を避けるように俺は先生の脇を走り抜けた。


俺は本当に先生が好きだったんだ。知らなかった






「ふっ…ぐ…ぅう」



好きよ
好きよ
好きよ

こんなに心が痛いなんてどうかしてる。俺は痛みを誤魔化すように目を閉じて眠りについた。





おわり

木勘企画参加したいけど恐れ多くて参加できん


いのち(鉢勘)

勘右衛門のためなら死んでもいいっていつも思っていた。






自分の所にだけきた任務依頼書。眠ってる雷蔵の隣で月明かりを頼りに依頼書を読んでいくと何とも苦痛な依頼内容だった。
三郎はくしゃりと依頼書を握りしめて顔を歪めた。たとえ三郎が成績のいい生徒だとしてもやはり嫌な任務は行きたくなかった。

そんなときにいつも同じ顔を思い出す。またあいつだ。












「ちゃんと脱いだ制服はたたんで、着替えはそこにあるし、あと」

「もう!!大丈夫だよ三郎〜そんなことより気をつけてきてね。きっと三郎だけにってことは……」

「雷蔵、私は平気だ。」



いってきます、と三郎は部屋を出ていった。


廊下を歩いていると勘右衛門とばったり出会ってしまった。
三郎は 任務行ってくる、大丈夫だ簡単な任務だから
と言って不安げな勘右衛門に微笑みかけた。すると勘右衛門は笑って見送ってくれた。そして弊から三郎は外へと消えていった。






ひどい血の臭いに思わず眉を寄せる。そこは酷い戦場だった。
今回の任務は囮役である。それは決して得意というわけでも不得意というわけでもなかった。
しかし何度任務を受けても血の鉄の臭いや生臭さにはなれない。

三郎は深呼吸をして矢が飛び交い発砲音も沢山聞こえてくる戦場へと飛び出していった。三郎はわざと敵陣を挑発するようにホウロクヒヤを投げ込み自分の方へと敵の目線を向かせる。 あとは林へと行けばいい、ただそれだけだった。
しかし三郎は油断していた。

はじめから三郎に気付いていた者が林の中から三郎にむけて火縄銃を発泡させたのだ。





発泡音と同時に林からたくさんの鳥がザワザワと飛び立っていった。











「三郎が任務に失敗したらしい」

兵助から聞いた言葉がどうしても勘右衛門にはのみ込めなかった。微笑みをこちらにむけて出ていったアイツがなぜ?

勘右衛門は医務室に向かった。





「鉢屋……!!」

勘右衛門が医務室についた時には三郎の体には包帯が肩や胴体や顔にまで巻かれていた。どうやら伊作の話では、木に登った所で三郎は火縄銃で撃ち落とされ、そのはずみで木から落ちてしまい頭を打ち付け更には背中に矢が刺さっていたという。火縄銃はどうやら肩に当たったようで一命をとりとめることができたのだ。
こんな友人の姿など見たくなかった。勘右衛門はボロボロ涙を落とした。

「尾浜、鉢屋のことお願いしてもいいかな」


伊作がそう尋ねると勘右衛門はこくりと頷いた。伊作は医務室から出ていき、それを見計らうように勘右衛門は三郎のそばにかけよりそばから三郎の顔を見つめる。ぴくりとも動かない体に勘右衛門は涙を流したままただその包帯だらけの三郎の手に触れる、
ひやりとした。


その体温のなさに勘右衛門はどっと涙を流した。


「はちっ……!!」

しゃっくりがでて上手く名前が呼べない。しかしそれでも三郎の耳に届いたようでぴくりと指先を動かしうっすらと瞳を開いた。


「……勘右衛門?」



三郎のか弱い声で呼ばれる。勘右衛門は込み上げる感情を飲み込んで横になっている三郎の胸に頭を乗せた。


「死んじゃうかと思った」

「はは、それは私もだ。…こわかった」


あの三郎が弱音を吐いたことに勘右衛門は切なげな顔をしながらあやすように三郎の頬を撫でる。三郎は頬を撫でる勘右衛門の手をまだ怪我で震える手で握りしめてぼそぼそと喋り始めた。


「…私はいつも好きな者は死んでも守りたいと思っていた。しかし今日わかったよ、
もっと沢山生きたいって。それでずっと出来るだけ長く好きな者と一緒にいたいって思ったんだ。

勘右衛門と一緒にいたいって思ったんだよ」



死んでも守りたいなんてそんなかっこつけなんていらない。ただずっと一緒にいて生きる、それだけで充分幸せになれるのに。

勘右衛門はぐしぐしと涙を手で乱暴に拭って、そして頬を染めながら笑った。





おわり



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