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世界一高い場所へ、誰かわたしを(シリウス)※

「残された人の気持ちなんて考えないんでしょ!」

彼の胸を力いっぱい叩く

「バカ!…シリウスなんて、」

喉の奥が詰まってよく怒れない

「ごめん。もうこんなことしない」

あの時は、わたしを丸ごと包み込んだまま息が上がった声でそう誓った



今また戻ってきた彼は、その時と明らかに違う

「また、わたしを残していった」

わたしももう胸を叩いたりしない
待たされた間に随分大人になってしまった

「ごめん。すまなかった」

この前よりも、息は荒い
目は窪んでローブはズタズタ

「バカ…」

もうここには戻らないと自然にわかった
彼も

「ごめんな」

謝るばかりで、誓ってくれない



星になったのならせめて居場所くらい教えてよ

夜空は広くて捜しきれない

カシオペア(ラビ)

「人殺し!母さんを返せ!」

わたしたちが壊したAKUMAは、まだ全て転換していなかった

AKUMAが砂となった時、後ろには泣き出しそうな子供が一人

その子の目に映るは母を壊したわたしたち



「あの子、どうしてるだろう」

独り言のように呟いた
それに応える兎が一人

「しょうがないさ。まだ転換してなかったってだけでAKUMAだったことに違いはないんさ」

早口でしょうがないと言いつつも、その口調は割り切ってはいなくて

あぁ、わたしと同じ気持ちなんだと気付いた
やりきれない思いは同じ



「これからも、人殺しって言われることがあるのかな」

「あるかもしれないさ」

「哀しいね」

人々のために頑張っているのに蔑まれることに対して?

いや違う
多分そうじゃなくて

その一言に傷付いてしまう自分の弱さが憎い



「下なんて向かずに誇って生きろ。俺らは世界のために命かけてんだからさ」

道は違えど一瞬は共に戦ったわたしたち

人殺しと言われようと、裏切り者と言われようと
生きてく

それしか進む道がないこと、いつからか気付いてしまったんだ
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