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共有(浦原)

他の人には見えないわたしの恋人

「いらっしゃい」

杖を持った
不思議な帽子と不思議なマントを羽織った人

「こんにちは」

髪はすごく柔らかくて、きれいな色

「お邪魔していいっスか」

手や足はちゃんと温かくて、わたしは益々不思議な気分になる

写真には写らない
わたしだけが見える

物には残らなくても
それでも、記憶に残ればいい

冬の晴れの日には、電柱の上に彼が表れて
『こんにちは』
そう言ってくれるから

「どうぞ」

わたしは不思議な彼の全てを愛して
彼もわたしに微笑みをくれて

二人だけのひみつを持つ

アイラブユーを月に乗せて(平子)

雲のない月夜
それは美しくも儚い思い出を運んでくる

人間で言えばもう長い時間が過ぎた
一つの情報も与えられないまま、非日常はいつしか日常になり
わたしも、一人空を見上げて泣くことはなくなった

あなたを恨んでなどいない
今も昔も
悲しみの涙は海になるほど流したけれど
何故なら、信じているから

何か理由があって、貴方はわたしの前から消えたのだ

そうでなければ、あんなに優しい人
わたしをこんなにも悲しませるわけがない

もう幻想など抱かない
ただあなたが帰ってくることだけ祈って、わたしはここで待っている

過去の空白など埋めて要らない
今のあなたがほしい

「隊長…」

今日も月は綺麗です
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