2014-6-13 23:33
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その15(未更新)→
その1から読む
いつものように追記からどうぞ
教室に入るや否や、連はドアに鍵をかけ、近くの机にリュックを放り投げた。
「お二人さん、何か良いもの持ってない?」
自分の荷物をガサゴソと漁りながら問いかける。
そういえば、と皐月はバッグに入れていた画鋲やチョークを取り出した。
「何だ、ちゃんと準備してたんじゃん」
ロッカーの上に置かれていたティッシュで腕の傷を拭きながら連が言う。
「画鋲…画鋲ね。簡易的な釘バットでも作れないかな」
連がキョロキョロと辺りを見回し始めると、察した冬樹がバットの代わりになりそうなものを持ってきた。皐月も当初武器として目を付けていた、スクリーンを引き下ろす棒だ。
「これはどうだ? 強度はバットよりも劣るけど、リーチは長い」
「うん、この際それでいいや。ガムテープで画鋲を貼ろう」
「貼ろう…って1個ずつ?」
「そんなバカな。粘着面側から画鋲刺してペタッと貼るんよ」
なるほど、と納得している皐月をよそに、とりあえずの手当てが済んだらしい連が、ガムテープを取りに立ちあがった。
「悪いけど冬樹と夏野で釘バット制作してくれる? しっかり力入れて振れるようにある程度の柄の部分は残してさ。俺は別作業するから」
ガムテープと画鋲の箱を冬樹に押し付け、連は2人から少し距離を取った。化学室から拝借してきた防護レンズと、なぜかスライドガラスやシャーレなどのガラス類、そして厚手のゴム手袋を取り出して並べる。
「何をするんだ…?」
「まあまあ、とりあえずサクッと釘バット作ってよ」
連の指示通り、比較的急いで釘バットを作り始めると、少し離れたところでパリーン、バリーンという何やら物騒な音がする。ちらっと目をやると、防護レンズと厚手のゴム手袋をはめた連が"すってんころり"が入っていたバケツに、ガラス類を叩き付けるようにして割っていた。Yシャツに血が付いていることでより不気味さが増す。
「……見なかったことにしよう」
釘バット制作班はさっきまで以上にペースを上げて作業を進めた。作業に没頭する2人は連の呟きなど聞こえるはずもなかった。
「この手のことにかけては天才の俺を参加させたことを後悔しやがれ……」
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お粗末さまでした。その15に続きます。
短編の方に番外編が上がっていると思いますので、そちらもよろしければどうぞ。