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昨日の夜は

天気悪くて中秋の名月拝めませんでした。今日もイマイチお彼岸って感じしませんねー。
でも急に気温が下がって、風が秋めいて来て「ああ、そう言えば9月ももうすぐ終わるんだった」と思い出しました。
皆さま風邪引かないように気をつけましょうね。



『愛はお金じゃ買えない。7I』



我に返って考えてみれば、部屋にはいくつも監視カメラがついていたはずで、ガチでセックスを生中継してしまった訳だが、銀時は意外なほどケロリとしていた。
「まあ、減るもんじゃねえし。見られてると思った方が興奮すんじゃん」
「お前ってやつはどこまで……」
「でもさー、やっぱ土方とエッチするのが一番効果的だぜ。禁断症状ぶっ飛ぶくらい気持ちいいとか、マジ有り得ない」
「だから、それは愛だろ。愛」
「恥ずかしいやつだな、もー」
俺に向かってふざけて殴る真似をしてからふと、銀時は真面目な顔になって言った。
「なあ、土方」
「何だ」
「お前は今俺のために持ってるもの全部捨て去って傍にいてくれてるけど、お前は……」
真っ直ぐに俺を見遣る眼差しは初めて逢った時の死んだ魚のものでもなく、大人を蔑む冷めたものでもなく、真剣そのものの強い意思の力のこもった眼差しだった。
「お前は『土方十四郎』を捨てられる?」
それは、未だに俺を繋ぐしがらみの鎖を、万が一の際は銀時だけでもどうにか守って貰おうと残していた後ろ盾を、捨てろと言う問い掛けだった。
それでも、
「お前が望むなら」
「うん」
それが俺の全て。
今ここにいる理由。



それから――



「ただいま」
ガチャリとドアを開けて部屋に入る。
すぐ目に飛び込んで来るのは手狭なキッチン。向かって左には、ちっぽけなバスルームとトイレ。奥には8帖の一部屋。
それが全てのワンルームであるここが、俺たちの住家だった。
「おかえりー」
「ほら、土産」
小さな箱を取り出すと、銀時の顔がパアッと輝いた。
「やったー!久し振りのケーキだあ!!」
イチゴのショートが一つだけなのに、銀時は心底嬉しそうに笑みを浮かべた。早速箱から取り出して回りのフィルムを剥がすと、大きな口を開けて噛み付く。
「んまー♪」
「そりゃ良かった」
あれから、銀時は半年間の治療を受けて施設を出た。取りあえず日常生活を送る上では問題ない、と判断された結果だったが、まだどうにかすると調子が悪くなるから予断は許されない。
俺は大学で長期休学を取った。いずれは復学するつもりでいるけど、まだ解らない。
その代わりに、俺たちは二人で店を始めた。何でもやります。料金相談可の万事屋だ。
始めは客なんて来ねえんじゃないかと危ぶんでいたけど、ご近所の年寄りの買い物代行や庭木の手入れ、子守から網戸の修理等々、意外と事欠かない。
「俺は俺のやり方で先生の意思を継ぐんだ」
銀時がそう言った時、俺は反対しなかった。全てを諦めていたこいつが、何かしようと思ったのは初めてだったからだ。
風の噂で、高杉と桂も新しい会社を立ち上げたらしいことを聞いた。みんなそれぞれ、少しずつ歩き始めている。
「土方」
「何だ」
「ありがとう」
それはたった一言だったけれど、いろんな意味のこもった「ありがとう」だった。
「好きだよ。お前は最高の……」
ピンポーン……
不意にチャイムの音が鳴り、銀時は慌てて立ち上がった。
「そう言えば、バイトの面接今日にしてたんだった!はいはーい!」
銀時は何を言おうとしていたのか。
上手くごまかされてしまったような気もするが、俺は小さく笑みを浮かべた。
わざわざ言葉にしなくても解ってるさ。お前の気持ちは伝わってる。
ドアの向こう側に立っていたのは、銀時とそう年の変わらない二人の少年少女だった。
「あの、今日面接の約束頂いていた志村新八と言います」
「私は神楽アル。万事屋銀ちゃんはここで間違いないアルか?」
新しい家族の形が今、始まろうとしていた。





以上、完。




と言う訳で愛金ようやく完結です。
前話からかなり時間が開いてしまいました。正直、ラストは「貧乏だけどハッピーエンド」とぼんやりしたステータスしか考えていなかったので、散々迷ってこう言う形になりました。
他シリーズとはまた違う二人の絆が書けて楽しかったです。
応援ありがとうございましたm(_ _)m

レベルダウン!!

いろんな能力が一般ピープル並みになっていてヘコむことが多いです。
いや、別にそんな大層な数値を誇っていた訳ではありませんが、もう半身ほどは一般ラインに引き戻されてる気がして、何か嫌です。年甲斐もなく(笑)
まず、自室がないのが駄目だよなーorz
今年は藪蚊から集中攻撃されたし、早く引っ越したいものです。



『愛はお金じゃ買えない。7H』



※裏シーンですヨ。














ゆっくりと銀時の頬に触れる。未だに殴られた青痣が痛々しくて、そっと指で撫でると銀時はむずがるように顔をしかめた。
「ちょっと痩せたな」
「うん……甘味食いたい」
「もうちょい我慢しろよ」
「我慢出来るようにしてくれるならな」
髪を撫でて、顎に指をかけ、そっと口唇を重ねる。かさついた朱色に舌を這わせると、銀時はもっと、と言うように口を開いた。
「ん……ぅ、あ……」
キスするのも久し振りだ。いつもは甘い銀時の口が今日は血の味がして、何だか妙な気分だった。
ぎゅうっと抱き締めた腕の中で、銀時がピクピクと身体を震わせる。
余すところなく嘗め上げて、我慢していたぶんもあぐあぐ牙を立てた。
耳朶、首筋、鎖骨――
強く吸い上げて痕をつける。銀時の白い肌を蹂躙したやつの足跡を消すように。
いつもなら「しつこい」だの「まどろっこしい」だの文句を言う銀時が、今日は何も言わずに全てを俺に委ねていた。多分、無茶苦茶された際の恐怖もあるんだろう。どこか怯えた眼差しを捨て切れない。
Tシャツを捲り上げて、ぽつ、と膨れている胸の飾りを口に含む。
ちゅ……くちゅ、ぬぷ……
わざと音を立てながら吸い上げ、舌の上で転がして弄ぶ。牙を立てると、銀時の背中が大きく撓った。
「それ……やめ、っあ!ああっ!」
ベロベロと犬みたいに、銀時のいいところに舌を這わせる。柔く噛み付いて、吸い上げて、キスを落として、俺の痕を残して行く。
凍えていた眼差しが蕩け、ゆっくりと熱を帯び始めていた。
ズボンと下着を一緒に剥ぎ取ると、完全に勃ち上がった銀時の分身が待ち侘びたように蜜をこぼしている。
「銀時、傷あるとこねえか?」
「ん……大丈夫」
「痛かったり、しんどかったら言えよ」
「大丈夫だってば」
じゅぷ……っ、ちゅ……くちゃ……
屹立を口内に導くと、銀時の両手が快楽を堪えるために俺の頭を掴む。口唇を引き結んだまま上下して、ざりざりした舌先で先端をぐりぐり抉ると、銀時は小さく身体を震わせて込み上げて来るものを堪えているようだった。
「あっ、ん……はうっ、や、あっ!あああっ!」
飲み込み切れない唾液や愛液が溢れて、銀時の後孔までぐちょぐちょに濡れていた。ゆっくりと指先で入口の縁をなぞる。つぷり、と差し入れると柔らかなそこは苦もなく俺の指を飲み込んだ。
ぬかるんだ内襞がすぐさま絡み付いて来る。くすぐるように指を動かすと、銀時はさらに強く拳を握り締めた。
「痛えよ」
「は……んぁっ、だって……」
「気持ち良さそうだな」
「うん……もっと、奥……あっ、あぁんっ!」
カリカリといいところを引っ掻いてやると、ビクビクと戦いて銀時は白濁を吐き出した。
それでも快楽の衝動が過ぎないのか、しんどそうに大きな深呼吸を繰り返す。
その気怠そうな表情が堪らなく色っぽくて、俺は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。それに気付いたのか、銀時が小さく蠱惑的な笑みを浮かべる。
「いいよ、おいで。今度は土方を気持ち良くしてあげる」
ふに、と裸足の爪先がジーンズ越しに俺の分身を撫でる。そのまま器用に上下し始めた。
俺はもう一度銀時に伸し掛かると、そっと口唇を重ねた。キスしながら忙しなく、張り詰めた欲情を取り出す。つ、と足指が直にそれを扱いた。
「…………っ」
「たまにはいいだろ、こう言う違うことも」
「……ああ」
「俺思ったんだけどさ」
銀時は俺の首に腕を回して、大きく脚を開きながら言った。
「やっぱ土方とするエッチが一番すげぇー気持ちいいのはさ、お前の愛ってやつなんだろうね」
「…………何だ、突然」
挿入しようとしていた俺は、思いがけない言葉に固まってしまった。銀時は間近でこちらの顔を覗き込むようにしながら笑う。
「他の誰とするより、クスリみたいな何を使うより、お前とするエッチの方がいいもん。それって、やっぱ土方が俺のこと本当に好きだからだろ?」
「まあ、それは確かにそうだけど」
「何だよ」
「同じくらいお前も俺が好きだからだろ」
ず、と押し入る。
暖かく濡れた銀時の体内は、優しく俺の欲望を受け止めた。きゅう、と柔らかな内襞が絡み付いて来る感触は指を差し入れた時の比ではない。
「……っ、違うかよ?」
「……んー、そうかもね」
深く深くまで分け入って、こいつの最奥に触れることが出来たなら、俺は少しでもこいつのことを理解してやれるんだろうか?
グイッと抉ると、その分背中に爪が穿たれる。
何かから逃れるように、何かを忘れるように、
何度も何度も銀時を揺さぶった。
「土方ぁ……あっ、あああっ!ん……っ、うぁ……」
お前は強情だから絶対に言わないだろうけど。
いいさ、別に。
そんな睦言が欲しくてお前の傍にいる訳じゃない。
どんな理由でもいい。
お前が俺を必要としてくれるなら、それが俺の糧となる。




→続く



秋は

やたらと就学旅行生が多いですね。
あれ、待ってる間嫌なんだよなー……好奇の視線に晒されてorz
とは言え、最近男の先生が男子生徒に「だらしないからちゃんとシャツ入れろ」なんて注意して触る姿もセクハラだな、と思うようになりました(笑)
あれ?



『愛はお金じゃ買えない。7G』



通報した警察は、俺の「正当防衛」と言う話を信じたらしかった。
正直、過剰防衛と取られて暫くぶち込まれるのも覚悟していただけに、少し拍子抜けした。
あの後自分の足を撃ち抜いた痛みも無駄にはならなかった訳だ。その代償として、剣道を極めることは出来なくなったんだけど。
裏から兄貴か高杉が手を回したのかもしれない。
こんな時でも俺の血統は――名前の威光は少しも陰らないのは皮肉だった。
いつもそうだ。
自分から躊躇なく捨てる俺には絶えることなくその鎖がついて回って、本物すら捨てざるを得ない銀時には守ってくれる檻さえなくて。
堪らなく、身を引き裂かれそうになる。
家宅捜査で買売春の顧客リストやメンバーの名簿、クスリなんかが大量に出て来た決め手が大きく影響したのかもしれない。
「この2人はずっと追っていたんだけど、なかなか尻尾を出さなくてね」
形だけの事情聴取を行なった刑事はそう言って苦笑した。
銀時は急性薬物中毒と診断され、治療のための施設に移送されることになった。自分の意思で摂取した訳じゃないから罪には問われないらしかったが、ここでキチンとクスリを抜いて治療しないと後々常習になって大変なんだそうだ。
俺は断固として同行を主張したし、銀時もそれを強く望んだため、通常ならそんなこと認められるはずもないんだけど、「絶対に施設から出ない」と言う約束の遵守と厳しい身体検査の後、特別に許可して貰えた。
けれど、大変なのはそれからだった。


昼間は治療やら講習やらがあって、幾らか気分が紛れるからまだいい。
鉄格子付きの窓も、頑丈な二重ドアも慣れてしまえば気にしなければどうってことはない。
けれど、銀時を苛む禁断症状は悪辣で厄介なものだった。
よほど安価で質の悪いものを打たれたのか、激しい発作が短い感覚で訪れる。クスリを求めて暴れる銀時を、職員たちがベッドに括り付けようとするものだから、俺は土下座してやめてくれと頼んだ。
「じゃあ、君が何とかしたまえ」
そう言葉を投げ付けて出て行った職員たちに代わり、とにかく俺は落ち着いて貰おうと銀時の肩に触れた。が、激しく振り払われた後ボカボカと拳や蹴りが飛んで来る。
「放せよ、俺ぁクスリがいるんだ!アレがないと死んじまうんだよ!頭割れちまうよ!」
「銀時、大丈夫だから落ち着け。あんなのなくても大丈夫だから……」
不意に右の上腕に激痛が走った。鋭くも鈍い痛みは深くまで達する。
銀時に全力で噛み付かれたのだ。
「ぐ……っ」
しかし、俺は咄嗟に全身を脱力させていた。本能が、弛緩を命じたのだ。でなければ、上下からギリギリと肉に食い込む歯が突き刺さったまま抜けなくなっていただろう。
ダラダラと溢れた血が口内に広がったのか、銀時が息を飲む気配がした。どうやら正気に戻ったみたいだ。牙が微かに抜ける。
俺は銀時をゆっくり抱き締めると、そっとその背中を撫でた。
「銀時……大丈夫だから」
「…………」
「俺がついてる」
「土方」
ようやく銀時が噛み付くのをやめてくれた。
ゼエゼエと荒い呼吸。
カタカタと小さく震える身体。
「抱け」
「…………嫌なんじゃねえのか?」
あの日――恐らく銀時が最後だと決めていたセックス以来、俺たちは身体を重ねていない。何となく銀時が拒否しているようで、ましてや喪に服すような期間にそんなことをするのも躊躇われて、かなり時間が開いた。
「早く」
「解った」
「クスリ打たれてた時よりすげぇーエッチして」
「それは解らん」
直球な銀時の言葉に苦笑した。
増幅された快楽が一体どれほどのものかなんて、想像もつかないけれど。
「最大限に努力はするさ」



→続く



芸術の秋?

休みでも休みじゃないよ一時も。
あたる心の俳句(笑)
のんびりしたいよー。誰にも邪魔される事なく、まったり土銀したいよー。



『愛はお金じゃ買えない。7F』


※内容黒いので注意してください。



こいつらが、銀時の両親なのだろうか。
想像より幾分か若かったが、銀時と似ているところは一つもなかった。病気での疾患がなかったとしても、顔立ちも纏う雰囲気も何もかもその面影を銀時から感じることはない。
だからか、と思った。
だから、欠片も銀時に愛情が湧かないのか。
銀時の真っ直ぐな眼差しを受け止めることが出来ない者にとって、この白銀は眩し過ぎる。
カタカタと怯えるように銀時の身体が震えた。安心させるように俺は銀時を抱く腕に力を込める。
「おい、聞いてんのか?」
「……テメーらこそ、ここでこいつに何をさせてた」
「ガキにゃ関係ないことだ」
「あんた……ちょっと、アタシこの子見たことあるよ」
女が男の袖を引いて、俺たちのやり取りを遮った。
ああ、覚えのある眼差し。権力や金や名声に靡く、ハイエナ共の眼差しが「ご馳走見ーつけた♪」と舌嘗めずりをせんばかりに俺を見詰めた。
「確か土方グループの次男坊サマさ。トシ何とかって……」
「へえ……そのお坊ちゃんが何だってこの薄汚れたガキを連れて行こうとしてんだ?」
「買い取ってくれる……ってことかねえ?」
物扱いもいいところだ。
自分の子供にそこまで出来る親がいることに、俺はゾッと鳥肌が立った。よく子供を虐待した親ってのが新聞やテレビなんかに出て来るけれど、それともまた次元が違う気がした。
悪意と忌避とで持って、人はここまで辛辣に残酷になれるものなのか。
悪い、高杉……
約束したけど、絶対余計な真似をするなって釘を刺されたけど、やっぱ俺には勘弁出来ねえよ。銀時が許したとしても、俺はこいつらを許せないよ。
「テメーらみたいな屑にくれてやる金なんかびた一文ねえよ。そこを退け」
「おやおや、お坊ちゃんともあろう人が他人のものを黙って持って行く気かい?そいつはあたしたちの息子だよ、放しな」
「退けってのが聞こえねえのか」
パシュッ!!
サイレンサーを付けた拳銃が微かな音を立てて弾丸を放つ。頬を掠めて血が噴き出した。
硝煙を吐き出す銃口を俺の眉間に狙い違わず突き付けながら、男は皮肉気に口を歪めた。
「聞こえてねえのはテメーだろうが。次は威嚇じゃすまねえぞ」
「………………」
俺はゆっくりと銀時を下ろした。
どの道、こいつらが事実を知った俺をただで帰すような輩には見えなかったけれど、
俺は、
銀時を守るためなら何だってやるぜ?
「おー、そうそう。お利口じゃねえか。しかし、血筋がいいとやっぱいい面構えしてんなあ」
ほら、来た。
予想通りの言葉。
俺が大人しくなったと思って、男は無防備に近付いて来る。
まだ射程距離じゃない。
もっと、
もっと近付いて来いよ。
「だけど、あんた。その子はどっちかと言うと男ウケはしないよ」
「別に構いやしねえだろ。ウチの客には淫乱女だって腐るほどいるじゃねえか」
「まあ、片方でしか稼げないなら数を増やせばいいか……」
「まだ10代だろう?一日に4人、いや5人くらいは楽勝だよ」
3、2、1……
「なあ、お坊ちゃん。お前気持ちいいこと仕事にするつもりはねえか?」
0!
パシュッ!!
空気の突き抜ける音。
俺はだらしなく下げられたままにしていた男の手を――手にしていた拳銃を掴むと、銃口を男の腹に突き付けて躊躇なく引き金を引いた。
一度、二度、三度。
男の顔が信じられない、と言う風に歪む。ゆっくりと身体を傾がせた男が、じわりと赤い華を咲かせたのが明らかになったのだろう。
女の金切り声が上がった。
「あんた……っ!!」
パシュッ!!
男の背中越しに今度は女の胸元を狙って引き金を引く。人形か玩具のように衝撃に身体をクルクルと回転させて、女は床に倒れた。
フローリングにとろとろと血が流れて行く。
俺は二人が事切れたのを確認してからようやく、盾代わりにしていた男の身体を投げ捨てた。
「どんな時でも、使わねえならセーフティーはかけておくべきだぜ」
返り血が――他人の体温が気持ち悪い。
「それに……弾丸が貫通しにくい頭を狙うのは馬鹿げてる。抜けても抜けなくても致命傷を負わせられるのは、胴の柔らかい部分だろ」
ゆっくりと振り返る。
全ての物事を見聞きしていたはずなのに、銀時はニッコリ笑って俺に両手を差し出した。
クスリのせいで解ってないんじゃない。
俺だって解った上で、俺が成したことを解った上で、尚且つ手を伸ばしているのだった。
俺は銀時の傍らに跪く。そっと銀時の両手が頬に触れ、愛おしむように労るように俺の髪を撫でた。俺は銀時の手を取り、優しく口付ける。
「よくやった、土方」
俺のキスを甘んじて受け止めながら、銀時は強く俺を抱き締めた。
「お利口で忠実な犬を持って、俺は幸せだよ。ありがとう土方」
「イエス、マイロード」
俺はお前を守るためなら何だってやる。
例えそのせいで人が死のうが、世界が滅びようが知ったこっちゃねえんだよ。
ガキにはガキなりの方法があるってもんだ。



→続く



炎天下で死亡中。

本日はチビたちの運動会と父上の誕生日が重なりまして、朝からバタバタでした(汗)
それにしても、子供って成長すんの早いなあと思います。この前まで登園すんのもぴーぴー泣いてたくせになあ……
一生懸命走ったりお遊戯したりしている姿に、柄にもなくジーンとしてしまいました。



『愛はお金じゃ買えない。7E』



※病み銀注意ですヨ。





書かれた住所にあったのは、郊外のアパートだった。
探し回って2日。
都市開発から完全に取り残された町並みに溶け込むように建っているそれは、このゴーストタウンにあってもなお、一際ボロくて汚い部類に入るだろう。少し前の俺なら、近付こうとは思わなかったはずだ。
――でも、この中に銀時がいるんだ。
行かない訳には行かねえ。
俺は住人がいるのかどうかすら怪しい建物に足を踏み入れた。
階段の辺りにはチラシやゴミが溜まり、大きな蜘蛛の巣がかかっている。色褪せた壁も砂埃に塗れ、佇む鉄製のドアはどれも錆び付いていた。
銀時がいるはずの部屋は4階建ての3階。一番奥の部屋だ。
「………………」
頼むからいてくれるな。
いや、ここにいなけりゃいないで、またゼロから探さなきゃならないんだけど、その方が何倍もマシな気がした。
こんな腐った空気が停滞したまま、もう何十年と動いていないような場所にいてくれるな。
息苦しい。
息苦しい。
閉鎖的な、
町全体が檻のような、
訳もなく囚われたような、
また昔に引き戻されるようなこの場所にいてくれるな!
『坂田』とかかった表札がどうにか読めた。
俺は意を決してドアノブに手をかける。鍵はかかっていなかった。
ぎいいいい……
肺腑の奥を抉るような音と共にドアが開く。
閉め切った部屋特有の黴っぽい臭いが鼻を突いた。それに交じって、つん、と突き刺さる何かと、生臭い空気。
昼間からカーテンが下ろされた部屋は薄暗い。
「…………」
人の気配はなかった。
ゆっくりと足音を殺して、土足のまま上がり込む。
どくんどくんどくん……
耳元で響く鼓動が煩い。
痛えよ。
張り裂けそうなほど胸が痛い。
中途半端に開いていたドアを開けて部屋を覗き込んだ俺はギョッと身体を竦ませた。
「銀時……!!」
狭い4畳ほどの部屋の片隅にいたのは銀時だった。
グッと込み上げる苦いものをどうにか飲み込んで、俺は銀時に歩み寄る。取りあえず、生きていたことを良しとしよう。
ところが、銀時は俺が近付いても顔を上げることもしない。反応を――しない。
ブカブカのYシャツを一枚おざなりに羽織らされているだけで、他には何も纏っていない銀時の現状を見れば、身体の至る所につけられた痕や傷を見れば、汚されたまま後処理もされていない肌を見れば、ここで銀時が俺の最悪の予想通りのことをさせられていたのが解る。
けれど、その紅い双眸が焦点を結んでいないのはどうしてなのだとか、薄笑いを刻んだ口元が絶えず何かを呟いているのはどうしてなのだとか、傍らに転がっているアンプルは――何なのだ、とか。
「銀時!!」
堪え切れずに叫ぶと、ようやく銀時の顔がこちらを向いた。
「あー……」
へにゃりと笑い、こちらに手を伸ばす。
けれど、間違いなく銀時は俺の存在を理解していなかった。ケラケラと機嫌良く笑いながら、立ちすくんだ俺を引っ張る。
「ちょーだい」
舌ったらずに聞こえるのは、呂律が回っていないせい。
口端からこぼれる涎が甘い異臭のするのは、クスリのせい。
一体どれほど銀時は、無茶苦茶にされたのだろうか。心も意思も壊れて、ただの人形にするために、こいつは一体何をされたのだろうか。
俺はこの2日で一回り小さくなったような気のする銀時の身体をぎゅうっと抱き締めた。
「ねえ、ちょーだい」
銀時が俺の頬に伝った涙を舌で拭いながら、甘ったれた声でぐるぐると喉を鳴らす。上目使いで、相手の欲情を遍く引き出す術に長けた、そこにいたのは立派な男娼だった。
「帰ろう、銀時」
「ちょーだい、ねえ……ちょーだいってばぁ。俺のここにいっぱいザーメンぶち込んでよぉ」
壊れたテープレコーダーのようにねだる言葉を繰り返し繰り返し呟きながら、銀時は俺に擦り寄った。右手がユルユルとジーンズ越しに分身を撫でる。
まだトリップ状態にあるなら、抵抗もしないだろう。
俺は銀時の身体をそのまま抱え上げると、その耳朶に声を落とした。思い切り甘く聞こえるように、こいつの好きな低音で。
「好きなだけやるからこの部屋出るぞ」
銀時は大人しく頷く。
すりすりと俺の肩に頬擦りして、ぎゅーっとしがみついた。
が――
「おっと、兄ちゃん……そいつをどこに連れて行くんだい?」
声をかけられて振り向くと、見知らぬ男女が拳銃を片手に入口に立ち塞がっていた。



→続く



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