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小説のみ更新です。

『彼氏×彼氏の事情。4〜男は誰しも亭主関白に憧れる〜』





土方十四郎――
言わずと知れた、武装警察真選組副長である。
現場の指揮を任された者として多くの部下たちを指先一つで右から左へ動かし、幕府官僚として一般市民からは畏敬の念から丁寧な対応をされることが当たり前で、尚且つエベレストより高いプライドを持つ彼には、現在一つだけ不満があった。
只今目下交際中の恋人に対して、である。
以前土方は武士に憧れるあまり、オンナも武家の妻のように3歩下がって夫の影を踏まず、朝は夫より早く起きてご飯の用意をして、いってらっしゃいませと三つ指ついて送り出してくれて、夜は夫より先に寝ない――まあ、絵に描いたような何かの歌にあるような良妻じゃねえと結婚なんて絶対しねえ、と思っていた。
それはあくまでも「以前」の話で、真選組副長として仕事をする内に結婚自体が面倒くせえ、と思い始め、そもそもオンナを相手にするのも面倒くせえ、と思うようになり、まあそれでも健全な成人男子故に玄人の女性の世話になることはあったりした訳だが、それはそれこれはこれ。
ともかくそう言う普通の幸せと自分は無縁だ、と思うようになっていた矢先である。
ある日出逢った『彼』に青天の霹靂のごとく心臓を鷲掴まれて恋に堕ちた。
すったもんだの経緯や何やらは置いておくとして、とにかく先に惚れたのは土方である。
だから本来なら文句など言うべきではないのかもしれない。
が――
「おい、銀時。茶」
いつも気の利く眼鏡の従業員、志村新八がいる時はきちんと客扱いしてくれてお茶が出て来る。
しかし、彼がいないとあってはぐうたらな万事屋店主は、例え恋人であろうと梃子でも動かない。
「急須は戸棚。お茶葉はレンジの上」
「〜〜〜〜〜っ」
自分で淹れろってか!!
ここで土方がプライドがもう少し低いとか、甘え上手な男なら「お前の淹れた茶が飲みてえんだよ」なんて相手をその気にさせる言葉も出て来るのかもしれないが、生憎と言葉足らずで不器用でカッコつけな土方には、そんな真似など出来るはずがない。
舌打ちをして、ソファーに寝転んでジャンプを読み耽る銀時の向かいに腰を下ろすと、
「灰皿!」
「すぐ目の前にあんだろうが。テメーはお手手を自慰にしか使えないんですかぁ」
と実にムカつく(尚且つお下品な)返事。こちらに視線を向けもしない。
別に恋人だからって。
年中くっついて一緒にラブ×2過ごしたい、なんて気持ち悪いことを思っている訳じゃない。自分も銀時も男同士で、そんな柄でもなくて、そもそも喧嘩相手が間違って恋人になってしまったようなものだから、理想と現実の差なんて天と地ほど開いているものだと言うくらい自覚している。
それでも、
――もう少し気を向けてくれたっていいだろうがよ……
これだとまるで空気扱いだ。
くわえた煙草に火をつけることもなく、ギリギリと奥歯を噛み締めたせいでひしゃげたフィルターのそれをぐしゃりと握り潰して、土方は立ち上がった。
「帰る!!」
せっかく忙しい中時間を見つけて逢いに来たのに。銀時はちっとも嬉しそうじゃなくて。ちっとも土方の気持ちを解ってくれなくて。
亭主関白どころか彼氏であると認識されているのかすら怪しいのか、なんて虚しさが込み上げて来て、ヤケクソ紛れに玄関の戸を蹴りつけた。


子供の頃から実家の手伝いで小作人を指揮するのはいつも土方の役目で、頓所では黙っていても下っ端共がお茶を出してくれて、灰皿を綺麗にしてくれていて。
要は上から命ずることに何の抵抗もなく土方は慣れている訳で、だからと言って銀時を従わせたいだとか適当に扱っているつもりは毛頭ないのだけれど、自由で気ままで何にも縛られない、年上でも目上でも敬語なんて使わない銀時からすれば、固っ苦しくて重苦しい枷をつけられたようなものなのかもしれない。
「副長、お茶入りました」
「………………」
「な、何ですか!?ちゃんといつも言われてる銘柄だし、温度だって同じですけど!」
「何でもねえよ」
明らかに落胆した調子で溜息をつくと、山崎はビビった顔で退散した。不機嫌最高潮の鬼に怒鳴りつけられる前に、苛立った視線だけで察して逃げるとは中々大した勘をしている。
――何で山崎なんだ……
理不尽かつ失礼な問いを胸中でこぼすと煙草をくわえる。
胸ポケットを探るが、お気に入りのライターがなかった。多分万事屋だ。けれど取りに戻る訳にも行かず、舌打ちして机の引き出しを開けたところで、カチリと鳴ったライターの火が差し出された。
「…………っ!?」
「ん」
「ななな何でお前がここに!?」
視線を上げれば、今の今まで考えていた恋人。大慌てで後退さると、銀時は相変わらず茫洋とした表情でライターを放り投げて来た。
「失礼な奴だな……忘れ物届けに来てやったんだろ」
「あ、ああ……サンキュー」
「んじゃ」
そうしてあっさりと腰を上げる銀時に、土方は思わずその手を掴んで引き止めた。
「待てよ!」
「何」
言いたいことはたくさんあった。
言わねばならないこともたくさんあった。
けれど、土方の数少ない語彙では今のお礼もそれまでの気持ちも、語っていては日が暮れてしまう。上手く伝えられる気がしない。
引き止めたくせに口をへの字に曲げたまま言葉を続けない土方に、銀時は小さく溜息をつくとバリバリと頭をかいた。
「あのさー、土方君」
「………………」
「俺はお前の部下でもなけりゃ、古女房でもねえよ。思ってることはちゃんと言葉にしろ」
多分思考回路の似ている銀時のことだ。少ない土方の言葉でも、意図することは正確に理解しているのだろう。
けれど、
「言わなきゃならねえことだってあるだろ。例え解ってんだろ、ってことでもだ。それが普通とは違う、俺たちがずっと対等でいるためのルールってもんじゃねえの?」
「………………悪かったよ」
ボソリと呟かれた言葉に銀時が目を僅かに丸くした。恐らくは今まで数え切れないほど交わした言葉と拳の応酬で、土方が初めて発した謝罪であった。
「………………」
「その……別にお前を軽んじてるとか、そう言うつもりじゃなくてだな」
「うん」
「お前だから、いろいろやって欲しいんだよ!いろいろしてやりてえって思うんだよ!」
まあ、土方がやってくれることと言えば、銀時が手出し出来ない高級菓子を持って来てくれたりだとか、子供も含めて食事をした際当たり前に支払いを持ってくれるとか、そんなことなのだけど。
それでも銀時はちゃんと土方なりの優しさと深い愛情を解っている。
これ、ガキ共が好きだよなとか、あれは自分が好きだろうとか。事細かに覚えてくれているその瑣末が、何より自分たちを思ってくれている証拠だ。
「…………うん」
「だから、その……」
平素仏頂面で変化に乏しい土方の整った顔が、見る見る内に茹蛸のように紅くなって行く。
「今度から、茶くれえお前の淹れたやつがいい」
真っ直ぐにこちらを見つめる眼差しはどこか迷子の仔犬のような不安気な色をも帯びていて。
銀時はちょっと笑ってしまった。
もう何度もアレやコレやと恥ずかしさのあまり憤死出来そうなことをさせたくせに。
たかが茶を淹れてくれと言うくらいで、何故この馬鹿な男は照れているのだろう。
「笑うな!!」
「あーゴメンゴメン。いいよ、解ったよ。その代わり……」
「その代わり?」


「おい、銀時。茶」
ソファーにドサリと座るなり、開口一番に俺様発言をする土方にジロリと視線を投げる。と、彼は慌てたように言葉を続けた。
「……を淹れてくれ」
「ん。緑茶?」
「ああ」
黙って席を立つ銀時に、先んじて台所へ向かおうとしていた新八と、定春と戯れていた神楽が顔を見合わせる。どちらも信じ難いと言うように、目が丸くなっていた。
「か、神楽ちゃん……今のって」
「あの俺様ニコマヨが銀ちゃんにお願いしてたアル!」
「信じられない……」
「今日は槍が降るネ」
コソコソと言い合っている間に、銀時がお盆に4つ湯呑みを乗せて戻って来た。
「あ、すみません!僕らの分まで……」
「ついでだ、ついで」
「銀ちゃん、コレ熱過ぎて飲めないアル」
「冷めるまで待ってろ」
ぶー、と口を尖らせる神楽に当たり前のように返すが、確かに猫舌な銀時が淹れるには熱過ぎる温度だ。いつもはもっと温い。その証拠に銀時も脇に湯呑みを退けたままでいる。
「………………」
チラリと新八が視線をやると、事も無げに茶に口をつけている土方。
何となくくすぐったい気分になって、新八は微かに笑みをこぼした。





以上、完。





こうして土方は徐々に銀ちゃんからヘタレに教育されればいい。

間に合った……

最近忙しくて更新遅れがちでゴメンなさい。



『彼氏×彼氏の場合。3〜男って割りとどうでもいいこだわりを持つ生き物〜』



いつものように真選組の頓所に遊びに来ていた銀時は、いつものように副長室で仕事をしている土方の背後に寝転がってジャンプを読んでいた。持参のクッキーを頬張りながら、まるで自室さながらのように寛いでいる。
その様子をちらりと確認し、一区切りついた書類を脇に除けてから、土方は銀時を振り向いた。
「銀時……ずっと気になってることが一つあるんだけどよ」
「うん?何?」
「頓所でジャンプを読むな」
いつになく真剣な眼差しでそう告げて来る土方に、しかし銀時はキョトンとした表情を返した。
「何で?」
「いや、何でって……そう言う決まりなんだよ。局中法度に書いてある」
「それは知ってるけど、俺真選組じゃないもん。別に守る義務ないし」
「いや、あのな……俺にも一応体面ってもんがあるんだよ。それに俺は断固マガジン派だ」
「ヤンキー漫画ならジャンプにも載ってるよ」
「……何でヤンキー漫画限定なんだ」
「いや、何かそんな感じかなって」
銀時は筋金入りのジャンプ愛読者だ。
というより、基本的に男のこだわりは相容れないものが多い。鉄道と自動車しかり、サッカーと野球しかり。
しかし、土方は根気よく説得を試みた。
「マガジンだって面白いの載ってるぞ。一回読んでみろよ」
「間に合ってますー」
「チッ……ちょっと売れてるからって、調子乗ってデカい面してんじゃねえよ」
「そっちこそ日曜日と手を組んで小賢しいんだよ、アウトオブ眼中だコノヤロー」
ぴきっと土方の頬に怒りマークが浮かんだ。銀時の手から強制的にジャンプを取り上げる。
「あ、ちょ……今いいとこなのに返せよ!」
「捨てる」
「何すんだよ!横暴だ!職権乱用だ!!」
「うるせえ、捨てるっつったら捨てる!」
腕を伸ばしてジャンプを取り戻そうとする銀時を牽制しながら、土方は立ち上がった。しかし、銀時はその脚にしがみついて離さない。
「銀時、離せ」
「酷いよトシ君……俺からジャンプ取ったら何が残ると思ってんの?」
今にも泣き出しそうなウルウルとした眼差しで見上げられて、土方は不覚にもどきりとしてしまった。
「えーっと……糖分とか」
「……何それ。俺ってジャンプと糖分で出来てんの?成分の半分が優しさで出来てる頭痛薬かコノヤロー」
「あ、いや……ちゃんと可愛いさとかも残ると思うぜ」
「本当に?」
「ああ」
「やったー。トシ君大好き超愛してるー」
「ちょ……抱き着くな!そこに抱き着くな!」
「じゃあ、俺の可愛いさを増幅するアイテムとしてジャンプ読んでいいよね?」
「…………解ったよ。特別に許可する」
「いえーい」
銀時がバンザイ、と両手を上げた時、遠慮がちに戸が叩かれた。土方は慌てて銀時をべりっと引き剥がし、机の前に座り直して咳払いをする。
「入っていいぞ」
「はいよ!」
そう返事をして姿を現したのは、予想通り山崎だった。銀時がいるのを見てとって、なおさら恐縮したような表情を浮かべながら、
「副長、昼飯持って来ました。仕事、まだ片付かないだろうと思いまして」
「ああ……わざわざ悪かったな」
「こっちに万事屋の旦那の分も置いておきますね」
ペコリと頭を下げて戸を閉める山崎。やたらと聡い監察方の気配りがちょっとイタかった。
溜息をついてから、土方はまたもや寝転がっていた銀時を見遣って口を開いた。
「せっかくだから先に食っちまおうぜ」
「うん、じゃあ遠慮なく」
いただきます、と手を合わせてから、銀時は盆の上の料理に箸を伸ばした。男所帯の当番制の作ったものだけに、簡素ではあるがボリュームだけはやたらと満点である。
いつも通りにそこへ原形を止めないほどマヨネーズをかける土方にうんざりしながらも、銀時は彼と一緒に食事を出来ること自体には喜びを感じていた。
と――
一口ご飯を食べた土方の眼差しがカッと鋭く見開いた。眉間が一層強く寄せられ、乱暴に箸を置いた土方は戸の方を睨み付ける。
「テメーこら山崎ぃっ!!」
「ど……どしたの土方君」
怪訝な表情の銀時の声を遮るように、一拍遅れて返事もそこそこの山崎が飛んで来た。
「な、何ですか副長!?」
「テメー……俺をナメてんのか?」
その胸倉を掴み上げ、低くドスの効いた声で土方が山崎を睨み付ける。瞳孔全開の凶悪な眼差しに、山崎は震え上がった。
「な、何のことですか?」
「とぼけるな!!マヨネーズだよ、マヨネーズ!!これカロリー1/2のやつだろうが!!あれほどこいつは味が薄いから絶対買って来るなっつっただろう!!キャップ取り替えとけば解らないとでも思ったか!?」
「ひええっ!すみませんでした!でも、俺持って来ただけだから解りませんよ!」
今にも噛み付かんばかりの形相の土方に、山崎は半泣きのまま謝罪と弁解の言葉を口にする。八つ当たりというか因縁に甚だ近い不条理だったが、そんなことを指摘出来る状況ではない。
その時、
「トーシー君」
ちょんちょん、と肩をつつかれて、土方は剣呑な眼差しのまま銀時を振り向いた。
「何だ」
「はい、あーん☆」
ニッコリと笑みを浮かべてご飯を差し出す銀時に、土方は思わず惚けたような表情を晒してしまった。意図するところが一瞬で掴めずに、銀時の顔と箸とを交互に見比べる。
「そんなにまじまじと見るな!やってみたら結構恥ずかしいんだぞ」
再度促されて、土方は言われるままに口を開いた。意識が銀時に向いてしまったせいで、何だか味がよく解らない。
「美味しい?」
「……ん……」
突っ立っているのも馬鹿みたいなので、土方は座って食事を再開した。機嫌の良さそうな銀時を見ながら食べる昼食は格別だ。
あっという間に大人しくなった土方に、山崎はぽかんとした表情のままその場に立ち尽くした。一体自分に向けられた怒りは何だったのか。
そんな監察方をちらりと見遣ってから、銀時はニヤリと笑みを浮かべた。
「土方君の調教方法教えてあげよーか?」
「いや、いいです……多分万事屋の旦那じゃないと無効なんで」
失礼しました、と頭を下げて山崎は副長室を後にした。そしてホッと安堵の溜息をついてから、
――意外だ……あの副長が完全に尻に敷かれてるなんて……
銀時が一筋縄ではいかない人物だということは重々承知していたつもりだが、いざ目の当たりにすると信じられないものを見た気分になる。
――まあ、あんな顔見せられたら何も言えないけど……
変化の解りやすい土方の嬉しそうな顔を思い出しながら、山崎はやれやれと肩を竦めた。



以上、完。


あわや大惨事に

昨夜不運なことに、オレが入浴中に風呂の蛇口がぶっ壊れて、お湯が止まらなくなりましたorz
あれこれ弄ってたらどうにか止まりましたが、コルクは捩じれて変な角度で固まってます。
もう嫌だこんなボロ屋はあああああっ!


『彼氏×彼氏の場合2〜他人に取ってはどうでもよくても、本人たちに取ってはどっちがどっちかは死活問題。〜』


「旦那……前から恐ろしく気になってたことが一つあるんで、訊いてもいいですかぃ?」
「それって茶ぁ飲んで団子食べながら話すようなことなの?」
「なかなか旦那とはゆっくり話も出来やせんからね」
「……まあ、いいけど。で、何?」
「土方さんとは上と下どうやって決めたんですかぃ?」
ぶーーーーーっ!!
銀時は飲んでいたお茶を盛大に吹き出した。
「総一郎君て爽やかな顔してるくせに、本当性格エグいよね」
「面と性格は関係ありやせんよ。で、どうなんです?オレは自分より弱い奴に主導権握られるのは、例え何であっても嫌なんで、旦那はそこのところどうなんだろうと、ずっと不思議に思ってたんでさぁ」
「…………土方君が俺より弱いかどうかはともかく」
「弱いでしょ。オレは奴が負けたとこしかと両目に焼き付けやしたぜ」
「ともかく」
「……ともかく」
「こればっかりは話し合いで決まった訳じゃないからね」
「解りやした。強姦罪でしょっ引いてきやす」
「いや、そうじゃなくて」
立ち上がりかけた総悟の腕を、どうにか掴んで銀時は引き止める。
「そりゃずっとどっちがどっちを取るかってので、血みどろの争いはしたんだけどね」
「そりゃ一応男としてのプライドがありゃ、死活問題ですからねぃ」
「まあ、最終的には雰囲気に流された感じ」
「………………………………」
「いや、マジで」
「後悔してやせんかぃ?」
「元々告白して来たのは土方君だしね……はなから自分が受けに回るって考えはなかったんじゃないの?後悔は別にしてない(トシ君上手いから)」
「何かサラッとムカつく心の声が聞こえた気がしやすが、まあいいや」
溜息をついて総悟は団子に噛み付く。
「じゃあ、逆に訊きますけどね、旦那は思わなかったんですかぃ?」
「逆って……自分が攻めに回ろうと思わなかったかってこと?」
「そうでさあ」
「無理」
「……即答ですかぃ」
「いや、だって考えてみ?総一郎君出来る?」
「無理でさぁ」
「ほら、即答じゃん」
「確かに、苛めて楽しいってのと、突っ込みてえって衝動は別物かもしれないですねぃ」
「だから、もう少しオブラートに包んだ物言いしてよ」
「でも旦那……気をつけた方がいいですぜ」
「何に?」
「悪いですが、隊内では土方さん一、二を争うほどの人気者ですからねぃ。双方から」
「…………そうなんだ。あんまりそんな事情は知りたくなかったなあ」
「あ、因みに旦那も狙われてやすから。さすがに土方さん敵に回してまで手に入れようって輩は、いないようですがねぃ」
「だから別に聞きたくないってば」
「序ででさぁ、序で」
「じゃあ、俺から総一郎君に質問があるんだけど」
「何ですかぃ?極秘事項とスリーサイズ以外ならお答えしやすぜ」
「真選組って一応普通のお巡りさんっぽいこともやってるんだよね」
「はあ……まあ、正直管轄外ですがねぃ」
「ガサ入れで押収したAVとかってみんなで観るの?」
「うわ、一般大衆が一番気にしてる質問したよこの人」
「ね、どうなの?」
「観る人と観ない人と半々くらいでさぁ。因みにオレは……」
「あー、いい。聞かなくても解るから。でもそれだと、半分くらいはその道の人ってこと?」
「一概には言えませんけどね。そこは知らぬが花ってやつでさあ」
「恐いなあ……何か頓所行きにくくなっちゃったよ」
「因みに」
総悟が懐からビデオテープを一つ取り出す。
「これが一番人気の素人モノでさぁ」
「貸して」
「観たいんですかぃ?土方さんの部屋から発見された隠しカメラの映像ですぜ?」
「……………………………………………………はい?」


以上、完。

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