話題:東日本大震災


備忘録と題してはいるもののそれは自分の中のことであり、甚大な被害に遭われた方にとっては無理に思い出そうとしなくていい出来事であると同時に、無理に忘れようとしなくていい出来事だと思う。

それを踏まえての【備忘録】。

被災地・岩手県宮古市は母と縁の深い地であり、宮古の高校に通い、青春時代を宮古で過ごしたという。

そんな思い出の地が津波被害に遭った時。その光景を見た時は本当にやり切れなかったと口にしていたのをよく覚えている。

身近な方々から「何か出来ることはないか」と千羽鶴をいただき、それは今でも実家に大切に飾ってある。

私には東北の血が半分流れているので、テレビなどで東北訛りを聞くと胸があたたかく、そして懐かしく感じる(旦那曰く、母の影響からか時々東北のイントネーションが出る時があるらしい)。

仙台や会津などの旅行の思い出、岩手に住む親戚のこと、そしておばあちゃん家のことを思うと、やはり東北が好きだなと思う。

それだけのことと思われるかもしれないが、そんな大好きな地が蹂躙されるのは心が痛かった。

心が痛いからこそ、震災から5年経って直面している被災者の方々の現状を受け止め、知っていかなければならない。

全てが無理強いではない。それなのに、無理を強いられ心を蝕まれている人たちがたくさんいる。
それは生活のために、遺された家族を支えるために。


そんな中、3月6日付の読売日曜版、名言巡礼に取り上げられていた言葉に感銘を受けた。

「むごい別れがまこと何万もあったちゅうことを覚えてもろうために生かされとるんじゃ」
「人間のかなしいかったこと、たのしいかったこと、それを伝えるんがおまいの仕事じゃろうが」

(井上ひさしの戯曲「父と暮せば」より)

大切な人たちを亡くし、自分だけが幸せになってはいけないと自責の念にかられてしまっている人への言葉。

遺された命にも、大切な人が寄り添ってくれていた命にも意味があるのだと感じる。


風化させないように、知ってもらうために、ゆっくりと一歩ずつ。