今は短いけど、昔から俺の髪は長かった。
それは自慢で、いつも手入れして、こだわっとった。
長い髪は、他人によくいじられる。
何も言わずにベタベタ触って、勝手に遊ぶ。
それが気に入らない、はっきり言うならウザったいんや。
でも。
「…やべぇ、金髪キューティクル。」
「…は?」
「ね、ね。触って良い?やべぇ、金髪ロング。さらさらキューティクル…!!」
統学院時代。
その日は講師として八番隊の三席が来る日。
珍しそうに俺の髪を眺めるのは、俺よりチビで、童顔で、俺より髪が長い。
くせ毛の髪をそのまま流した、死覇装を来た餓鬼。
「…別に、構わへん、けど…」
「わーい」
目を輝かせて、餓鬼は恐る恐る俺の髪を触った。
「…うおぅ、マジでさらさら。すんごい手入れしてねぇ」
「…何や、お前」
「あ、初めまして。八番隊三席の白雪鈴です。」
「はぁ?」
「あ、信じてない」
「当たり前や、なんでお前みたいな餓鬼が三席やねん」
「本当ですもん、死神歴長いよ」
「…何年や?」
「ざっと100年以上?」
「年増か!」
「何だその顔は!化け物見るみたいな目で見るんじゃない!!」
「俺は何も間違えてへん!」
――これが、当時八番隊三席、鈴との出会いやった。
これが初対面、初会話。