話題:詩
頼りない記憶の地図帳。
膨大な演算処理の果ての果て。
遠い町では誓いも遠い。
朝顔の蔓に絡まる女の
地上波デジタルつけ睫毛。
鉱石ラヂオと真空管アンプが
人目を忍ぶ日蔭茶屋。
切り絵の紳士が風に舞い
ロイド眼鏡に陽が落ちる。
時の流れはパラパラ漫画。
アップデートで明日が来る。
ボーカロイドの竿竹屋(リバーブ内蔵)。
アンチウィルス紙芝居(トロイの木馬が検出されたお話)。
街角に座る靴磨きの少年はハッカーです。
街角に立つマッチ売りの少女はシステムバグです。
飛び出す絵本の立体駐車場は
車体の重さに耐え切れないので
車の影のみ駐車可能。
ダウンロードした恋心が
どうしても削除出来ずに
データ量だけが増えてゆく。
犬のネットポリスさん。
1600GB の荘厳な夕焼け。
哀しみさえ何処かマテリアルな
デジタル暮色に染まる町。
近くに思えて遠い町。
〜終〜。
話題:140文字小説に挑戦!
百貨店で季節外れの福袋が売られていた。値段は三千円で、中には十万円相当の品が入っているらしい。胡散臭いが本当ならかなりお得な話なので騙されたつもりで一袋だけ買ってみた。
確かに入っていた…。
[寂光院常夏福袋居士]
戒名。 十万円分。
〜終わり〜。
中身をドラクエUの攻略本にするかマムシの血清にするか、ケニアのタクシーチケットにするかでちょっと迷った末、戒名にしてみました(//∇//)。
話題:140文字小説に挑戦!
140文字小説…いわゆるツイーター小説というやつを試しにやってみました。
取り敢えずの完成はみましたが…140文字で一話完結の読み切り物は結構キツいです。どうしても、一つの場面を情景として詩に近い感じで描くか、或いは逆に、情景描写を根こそぎ削り落として起承転結(または起転結、序破急)といった骨格だけでジョークに近づけるか、そのどちらかの形になってゆくような気がします。
(注)ツイーターの仕様によっては260文字では認められているそうですが、よく判らないので、原則通り140文字以内で収めてみました。恐らく、137文字…ぐらい(笑)
といった所で、本編は追記からどうぞ。
話題:詩
遠い夏の午后三時
金魚のいない金魚鉢で
光だけが泳いでいる
‐10秒‐
小さく揺れる向日葵は
亡き妹の面影を映しては消える
‐15秒‐
あの夏に僕が失ったのは
本当は
古びた麦わら帽子と
針の動かなくなった腕時計
なんかじゃなく
きっと、もっと大切なもので…。
‐25秒‐
『抑え込み、一本!』
柔道家で詩人の彼の得意技は
横四方ポエム固め。
寝技で相手を抑え込みながら
頭に浮かんだ即興のポエムを
ローレライの人魚のような
魔力を帯びた美声で吟う。
彼の造り出すポエティック寝技世界に囚われた者は、詩を浴び続けたわき腹に美しい季節の花を咲かせ、汗にまみれた柔道着からは
麗しき愛の香りを放つという。
畳の味は初恋の味。
もう逃げられない。
いや、逃げたくない。
柔道がJUDO と呼ばれるようになろうとも、彼は詩人の心で相手をふわっと優しく抑え込む。
私がそんな柔道詩人と初めて出逢った遠い夏の午后三時。
苔むす夏の柔道場。ラムネ玉のような透き通った瞳が今も忘れられない…。
〜終わり〜。
…何だこりゃ?(◎-◎;)
『やっぱ暑さで火照った体を冷やすには、手桶に入った水を頭からアフガニスタンの首都ってのが一番だよね』
アフガニスタンの首都…カブール…ああ、手桶の水を頭から「かぶる」って事か。でも、何か冷たい飲み物でも飲んだ方が良かないか?
『いやそれが、最近どうも南米のブラジルとアルゼンチンとボリビアに囲まれている国があまり良くなくてね…』
ブラジルとアルゼンチンとボリビアの真ん中は…パラグアイ…ああ、「腹具合」があまり良くないのか。そりゃ、いかんね。
そう言えば、前にも夏場にお腹壊して大変だったって話してたよね。その時は結局、入院したんだっけ?
『いや、あの時は思ったよりも症状がインド第3の都市みたいで、入院はアラビアと北東アフリカの間にある半島でいいって事になったのよ』
インド第3の都市…カルカッタ…で、アラビアと北東アフリカの間の半島…シナイ半島…つまり、思ったよりも症状が「軽かった」ので入院は「しない」でいいって言われたんだね。
でも、さすがに明日のバーベQは延期した方がいいんじゃない?
『そうだな…まあ、それも含めて、これからちょっとアフリカで二番目に面積が広い国の事を話し合うとするか』
アフリカで二番目の面積…コンゴ…ああ、「今後」の事を話し合おうって事だね。
まあ、話し合うのは構わないけと…ホント、君との会話は疲れるよ。
〜おしまい〜。