話題:妄想を語ろう

 残すは準決勝、決勝と佳境を迎え、ますます大盛り上がり(特に日本では)のWBC。その日本代表チームの通称は云わずと知れた【侍ジャパン】ですが、もしも、本物の侍(武士)で代表チームを組んだらどうなるのか。それを考えてみました。特に日本史に詳しい訳ではないので、選んだのは一般的で有名な人達となり、マニアックな要素はあまりありませんが、その辺りはご容赦下さい。なお、織田信長とか武田信玄、伊達政宗といった戦国武将、或いは戦国大名は基本的に外し、いわゆる剣豪、剣士と呼ばれる人達から選んでおります。


【リアル侍ジャパン】 

☆1番センター【佐々木小次郎】

宮本武蔵との巌流島の決闘でお馴染みの剣士。秘技〈燕返し〉が有名。飛んでいる燕を捉えるぐらいなのでミート力は確か。選球眼もある筈なので四球での出塁も見込め、一番打者として最適だろう。 


☆2番セカンド【坂本龍馬】

云わずと知れた幕末の志士。くせ者。色々と小技も使えそうなので、このポジションと打順が良いだろう。隠し球などトリックプレーにも期待したい。


☆3番サード【柳生十兵衛三厳】(じゅうべいみつよし)

隻眼に黒の眼帯。時代劇や侍に全く興味がない人でも一度はこの名前を聞いた事があるだろう。それぐらい有名な人物である。なお、日本ではこの名前を聞くと自動的に千葉真一の顔が思い浮かぶシステムとなっている。


☆4番ピッチャー【宮本武蔵】

恐らく日本で最も有名な剣豪にして元祖・二刀流。この人が居なければ二刀流という言葉は存在せず、そうなると、〈二刀流・大谷翔平〉は〈二足のわらじ・大谷翔平〉となり、かなりカッコ悪くなっていた可能性もある。特別ルールとして宮本武蔵に限りバットを二本持って打席に入る事を許して欲しい。


☆5番ライト【柳生但馬守宗矩】(たじまのかみむねのり)

柳生十兵衛の父親。その腕は十兵衛以上だと云う人もいる。柳生親子で宮本武蔵を挟む夢のようなクリーンナップ。5番にこの人がいれば4番の武蔵を簡単に敬遠する事は出来ないだろう。映画[魔界転生]での若山富三郎の怪演が思い出される。


☆6番ファースト【?原卜伝】(ぼくでん)

様々な伝説を持つ達人の中の達人。ザ・達人。この人物を史上最強に推す向も多い。この人が6番打者で登場すれば相手チームは震え上がる事間違いなし。


☆7番レフト【伊藤一刀斎】

生没年不明など謎のヴェールに包まれた伝説の剣士。実在していないという説もある。6番の達人で震え上がった所にこの人が7番で登場すれば相手は完全に戦意を喪失するだろう。


☆8番ショート【千葉周作】

坂本龍馬など数多くの剣客の流派である〈北辰一刀流〉の始祖。千葉道場の道場主。この人の確かなプレーは西武の源田のように安心して見ていられる事だろう。


☆9番キャッチャー【近藤勇】

云わずと知れた新撰組局長。あれだけ癖の強い猛者たちを束ねたのだから求心力と懐の広さは相当なものに違いない。名うての剣豪揃いのチームにおける扇の要としてピッタリだろう。



☆代打の切り札【沖田総司】

新撰組。美貌の剣士として圧倒的な人気を誇る。剣の腕前も超一流らしく本来なはスタメンに名を連ねるべき所だが、病弱なのでスタメンフル出場はとても無理。球数制限ならぬスイング回数制限を設けたい。ここぞと云う場面における代打での一振りに賭けたい。


☆監督【上泉信綱(かみいずみのぶつな)】

監督は剣聖と呼ばれるこの人で決まり。柳生十兵衛の祖父にして柳生但馬守の父、柳生新陰流の始祖である柳生宗厳の更にそのまた師匠というとんでもない人物。この人が監督なら恐らくは誰も逆らえないだろう。



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実力はいずれも折り紙付きながら、皆、自分が一番だと思っている“俺が俺が”という面々ばかりなのでチームワークには不安が残る。特に佐々木小次郎と宮本武蔵が(以前テレビ中継されてしまった中日の高木守道監督と権藤ピッチングコーチのように)ベンチの中で大喧嘩しないかが心配。それさえクリア出来れば大丈夫だろう。



〜おしまひ〜。 


☆〈おまけ〉☆


【時代劇実写ドラマにおけるフィクションの侍ジャパン】


☆一番サード【眠狂四郎】(眠狂四郎─田村正和)

美貌の剣士。クールさにかけてはイチロー以上。円月殺法ならぬ円月打法で相手チームを夢幻の世界へ誘う。


☆二番ショート【木枯し紋次郎】(木枯し紋次郎─中村敦夫)

眠狂四郎がクールなら、こちらはニヒル。監督やコーチから送りバントや盗塁の指示が出ても「あっしには関わりのねぇ事でござんす」と全く取り合わない。長すぎる楊枝をくわえながらの守備や打席は危険極まりないがカッコ良い。ただ一つ問題なのは、恐らくこの人は侍(武士)ではなく単なる渡世人なので侍ジャパンに入る資格がない上、大して強くない事だが、アマチュア枠と考えれば良いだろう。


☆三番セカンド【遊び人の金さん(遠山金四郎)】(遠山の金さん─杉良太郎)

時代劇ファンでなくても知っているであろう有名な人。「この桜吹雪に見覚えがねぇとは云わせねぇぞ!」が決め台詞。打席でもろ肌脱いで桜吹雪の入れ墨を披露して欲しい。打席時も守備時も常にカメラ目線で流し目を送れば世のオバさま方は大喜び。


*四番センター【徳田新之助(徳川吉宗)】(暴れん坊将軍─松平健)

決め台詞は「よの顔を見忘れたか?」。水戸黄門と遠山の金さんを足したような豪華なドラマ。将軍に出て来られたら誰も勝てない、勝てる訳がない。


☆五番レフト【大岡忠相(ただすけ)】(大岡越前─加藤剛)

四番の将軍を三番と五番の町奉行が挟む豪華なクリーンナップ。乱闘が起これば仲裁せずにはいられない。リプレイ検証にも口を出さずにはいられない。出るか伝説の大岡裁き!


☆六番ライト【赤胴鈴之助】(赤胴鈴 之助─尾上松助)

ここに来てまさかのお子ちゃま登場!リトルリーグから侍ジャパンへの大抜擢である。背が低い為ストライクゾーンも狭くなり相手投手は投げづらいかも知れない。必殺・真空斬りは大人顔負けの威力を持つ。ちなみに、尾上松助さんは尾上松也さんのお父様。


☆七番ファースト【桃太郎侍】(桃太郎侍─高橋英樹)

とても下位打線とは思えない“派手さ”で登場。うっかり般若の面を付けたまま打席に入ってしまい球審に注意される場面も。移動は飛行機を使わずに必ず背広姿で列車に。見掛けた際には「桃太郎侍さん」ではなく「十津川警部さん」(西村京太郎トラベルミステリー)と声を掛けてあげたい。


☆八番キャッチャー【鬼の平蔵(長谷川平蔵)】(鬼平犯科帳─中村吉右衛門)

八番打者とは思えない威厳に相手は震え上がる事必至。捕手での守備時にも打者の後ろから圧をかけて存分にビビらせたい。


☆九番ピッチャー【銭形平次】(銭形平次─大川橋蔵)

あの小さな銭を確実に賊に当てるのだからコントロールはある筈。球威よりも制球重視で打たせて取るピッチングを目指して欲しい。


☆代打の切り札【中村主水(もんど)】(必殺仕事人─藤田まこと)

居合いの達人なのでミート力、コンタクト力は期待出来そうだが、どう考えてもスタミナとやる気は無さそうなので代打での一瞬の輝きに期待したい。出番の無さそうな時はベンチで居眠りしていたり球場内のフードコートで蕎麦をすすっている姿が見られる事だろう。


☆監督【水戸光國】(水戸黄門─東野英次郎)

最近は若い監督が増えているが、昭和の時代、プロ野球チームの監督と云えばお爺ちゃんが定番だった。そんな風情を甦らせるのがこの監督。意外と短気なので怠慢プレーをした選手を杖で打ったりしそうでコンプライアンス的にやや不安が残る。


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重量打線。攻撃力は申し分無いが機動力にはかなりの不安を感じざるを得ない。加えて守備範囲も狭そうなので、ある程度の失点は気にせず打ち勝つ野球を目指すべきだろう。基本的に身分の高いエリートが多いので逆境には慣れていない可能性があるので、先ずは先取点を取って自分たちのペース、上から目線での試合展開にしたい。


〜おしまひ〜。