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並盛中学校。
平々凡々なこの中学校は、この1、2年の間に『異常』が増えつつあった。
――風紀委員会。
その異常の筆頭である。
中学校の接待の場である応接室を乗っ取り、紅潮よりも権力を持つであろう生徒の集団。
不良の頂点がその委員会のトップに立ち、中学校だけでなく地域を含めて規律を守っているこの委員会は文字通り武力行使。恐れるものも多い。
誰の手にもつけられない委員長である雲雀恭弥と、平行に渡り合える者が1人。
「――恭弥くん、書類整理終わりましたよ、すぐにお菓子の用意しますね。しばらくお待ちください」
「うん」
並盛中学校3年 風紀副委員長、相川茅(あいかわ ちがや)
小学校から雲雀の傍に付く彼は、端から見れば従者のよう。彼らの間には信頼があるが、逆を言えばそれしかない。
ただ、雲雀と渡り合える……『支える』プロフェッショナル。あくまでもサポート専門であり、メインであることはない。
「ねえ、茅」
「はい、どうされました?」
茅はケーキと紅茶を置いた盆を手に持って、首を傾げる。
ケーキをテーブルに乗せる動作はやけに優美だ。
「来た。」
「え?」
雲雀がそう言うと同時。
応接室の扉が蹴破られた。
「ごらぁああ、雲雀!!ってめぇふざけんなや!!」
「! 紀乃くん」
雲雀と平行に渡り合う希少価値な人間の1人。
並盛中学校3年 生徒会長、紀乃直(きの なお)
茅に同じく雲雀とは小学校からの付き合いである。むしろ腐れ縁と言うべきか。
慌てているのか取り乱しているのか、いつもより緩いネクタイによれよれのカッターシャツ。全身から疲労が滲み出ているようだ。
実際、紀乃はかなりの疲労感に襲われていたのだが。
「うるさい」
「うるさいやない!オマエ、何やこの請求書!!俺らが修学旅行でおらん間に何したんや!言うてみい、鳥頭!!金額あり得んことになっとるやんけ!」
「…咬み殺すよ、紀乃」
「紀乃くん、落ち着いて。関西弁になってる」
「……チッ、」
「はい、紅茶」
紀乃は差し出された紅茶を飲み干すと、深呼吸をしてソファーにもたれる。
雲雀は何事もなかったかのようにケーキを食べていた。
茅は苦笑交じりにティーポットを持っているだけで自分自身は何も口にしていない。
「雲雀、この請求書どうする気だ」
「茅に渡しておいて。」
「何でもかんでも相川に任せておいていいと思ってんのかてめえは」
「君知らないの?茅はやりくり上手なんだよ」
「そう言う問題じゃねーだろ」
「出来るでしょ、茅」
「お任せ下さい、まだ余裕はありますから」
にこり。微笑んで、請求書を受け取る茅に紀乃は溜め息を吐く。
「お前、多少はワガママしてもいいんじゃねーの?雲雀の馬鹿みたいなワガママに付き合ってんだし」
「ワガママ…?ワガママ、と言われても…」
「無欲の塊みたいな思考してんなお前。」
「だって茅だし」
「(納得できる自分が憎い)」
無欲で従者な風紀副委員長。
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途中で力尽きたんです、すいません。