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短編小説ログ1

1.日常

俺のマスターは身内の贔屓目を抜いても、見てくれは良い方に入るだろう。
きれいな黒髪にどちらかといえばクール系の顔立ち、身長は
170cmはないが低くはないが高くもないところ。
欠点は、時間にルーズすぎる点と顔に似合わず、相当適当な何とかなるさ的性格。
彼はカイトのマスターとなってからほぼ毎日、彼女が欲しい!と言っている。彼女ができても持ち前の欠点が降る発動で、デートへの遅刻、すっぽかし、記念日のド忘れなどなど、いろいろとやらかして毎回短いスパンで彼女と別れるというサイクルを繰り返しだ。
当の本人はその習慣をなおすどころか、カイトが来てからさらに悪化したように見えるあたり、そんな気はないようだ。

「彼女が欲しい」

「・・・ならまず、時間を守ることから始めたらどうですかね?」

日曜日、面倒だからと頼んだ宅配ピザを放り込みながらなぜ俺には彼女が・・・などという話をしている。
男二人で。 
正確には、カイトは人間ではないので微妙なところだが。

「起きようとはしてるんだよ・・・アラームとかアラームとか」

「起きたためしないですね」

今朝もマスターは5度寝という驚異的な記録をたたきだしていた。
こまめにかけたはずのアラームすべてに反応し、再び寝るという始末。重症だ。

「でも、カイトが起こしに来るとすっきり起きれるんだよなぁ・・・」

「・・・・それじゃ、だめでしょうよ」

5度寝した彼を起こしたのは、言うまでもなくカイトだ。
カイトが起こさなければほぼ毎日、寝続けられる自信がある、と言われたのはつい、先週のことだ。
それはカイトにとって喜ばしいことなのかは微妙な心境であった。

「この際、カイトが彼女で良い気がするわ・・・」

「寝言は寝ていえ」

カイトは、ここ最近になって何度も聞いたセリフにどきっとした。
何を言い出すんだろうかこの人は。だいたい、あんたノーマルだろう。それに、俺は、めーちゃんみたいな子のがいいです。美人でかわいい、最高。

「つめたいわー、カイト君つめたーい」

「どうでもいいから、ピザを食べてください。片付かない」

今日も、いつもと変わらない時間が過ぎていった。

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