生まれたてのせかいであたしは残忍な救世主を見た

きゅ、と黒い手袋を嵌め直す。指先の出たそれの、甲にはきらり輝く玉がひとつ。赤いそれは、正確には宝石ではないらしい。
化学で言う原子ひとつが、これ。女神に祝福されて固められた、「炎」という概念と力の塊。

「なくる」

ざざざっ、と木の幹を滑ってきたのは、いとこのきゆらだ。必要以上に長い癖っ毛とすがめるのが癖になったつり目、実の姉弟と言ってごまかせるほどよく似ている。あたしの家の名字が「きゆら」と読むので、本当に姉弟と名乗るには偽の名字が必要だが。

「調子は？」
「悪いように見える？」

ぱしりと拳を手のひらに打ち付けてにぃっと笑ってやると、あたしに力を分けた火蓮術師たるきゆらは複雑そうに溜め息をついた。とかくこいつは子供らしくない。これであたしの三つ下、まだ小学生だってんだから世の中間違ってる。背は低いけどね、こいつ。

「……クリスマス返上で準備してたこっちはほったらかしで遊び回ってたんだから寝不足ってことはないよな」
「恨みがましい台詞吐いてんじゃないわよ、こちとらサンタやってる知り合いとイタリアの聖歌隊のフォローで昨日まで寝てなかったんだから」

術式の構築なんて小夜と相里と捺奈さんいりゃ十分じゃないさ。言うと、「三人とも仕事掛け持ちだっつの」と返ってきた。仕事できると大変ね。あたしだって有能だっていう自負はあるけど。だからこそ文句言われてんだろうし。

「とにかく、相里は手一杯だから最終確認だけやってって」
「あいよ」

腰に下げた端末を取って声をかける。

「ヴァルカナ、展開。樹に沿って網張って、抜けがないか確認して頂戴」
──了解──

端末の画面に二文字だけ出て、0と1の緑の数字がいくつもあたしの周りを駆けていった。
三秒でアラートの出た画面に眉を寄せる。

「……きゆらー？ 西方に三体気の早いやつが来てるみたいだけど」
「いつものことだろ。そろそろ始まる頃だし」

たたんっと幹を駆けてきた青銀の狼がきゆらを迎えに来た。いくらも速度を緩めないそれにきゆらはあっさり飛び乗って、その背にまたがったまま枝を伝っていく。

「───さて、やれやれ」

有能なあたしのAIであるヴァルカナが終了宣言を出すのに「ご苦労」と返して、あたしは溜め息を一つ溢した。
こうしてあたしたちの、三が日までろくに休めもしない年末年始の年中行事は始まるのだ。

パートから帰った母上さまが「腰が痛い腰が痛い」うるさいので皿洗いを代わりましたゆいなです。指先しわしわだよ！
で、腰が痛いはずの母上さまは横で明日の朝ご飯のしたくしてました。なんだろうこの釈然としない感じ。

夏に応募した死武専型携帯スピーカーが今頃届いたよ！なぜだ！あとどっちかってーとマカちゃんがつけてるヘッドホンの方が嬉しごほんごほん。
つーかこれ電池二本入りとか書いてあるけど電池いるのかよ。

ニコニコ見るときヘッドホンをヘアバンド代わりにしているゆいながお届けしましたー。

三つ編みしてくれる人募集中ですゆいなです。戯れ言でした。

もうすぐ年明けですよ。信じたくない。あーあれもやってないしこれもやってないあああああ。とりあえず来年ってリアルぺるふぉイヤーなのでちょっとそっち頑張りたい。そのためには未来への系譜編とっとと終わらせねば…！
筆の遅さっていうか、0と1の世界にある世界の充実っぷりが憎い。喜ばしいことだけど。

お風呂の話とか。
洋式のユニットバスの使い方が分からないよ！ あれどうやって入るんだろう…頭洗って体洗って、それからお湯張るとか？ いや時間かかるよな…？ わからん。
向こうにも温泉はあるらしいしお湯に浸かる習慣もあるっぽいけど、こんなにお風呂好きなのはやっぱアジア圏の人たちだけかなぁ。夏に馬鹿みたいに余裕なくて苛々して0と1の世界に逃げてた理由を、お風呂入れなくてストレス溜めてたせいかなぁとか想像してみる。お風呂偉大だよ。
だがしかしめんどくさいのも事実である！

いつもの通りに病み型ですゆいなです。
それにしてもキタユメ。さんはクリスマス企画年内に終わるのかしら。ギリギリなんじゃないかなー。

今日三日ぶりに外出たけど道の上に氷しかなくて心折れそうになったさ。一回膝打ったしね。

レポート終わる気がしない。とりあえず明日から図書館閉まるから資料集めできない件について！ やっべ！

今月あまりにも日記書いてないことに絶望して書いてみる。
とりあえず今日一限から補講でぐずりながら家出たのに日程見間違ってて補講なかったよ。泣きたい。なんで手帳に「一限哲学」って書いてあったし。

哲学の授業ですげぇって思った話。

「笑いが生じるのはいつでも、ある概念と、なんらかの点でこの概念を通じて考えられていた実在の客観の間に、突然に不一致が知覚されるために他ならず、笑いそのものがまさにこの不一致の表現なのである」
A.ショーペンハウアー

哲学ってなんかすげぇよね。ぶっちゃけ寝そうだったんだけどこの話されて目ぇ覚めたよ。でも哲学書ってもう少し易しく書かれるべきだと思うよ。肩こる。


海向こうの中華さんたちってうち大ッ嫌いだよねって話をよく聞く。
それ言われるとあたしは「すんませんッ」て首竦めて脊髄反射で謝るしかないんだけどさ。
だってどっちの言い分が正しいかなんて行き違いと勘違いと差別と偏見と闇から闇に葬られた情報でわかんなくなってるし、あたしなんかは申し訳ないけど興味ないし。
…こうやって丸投げするからこじれるんですねわかります。すみません。次に学校の図書館行ったときは歴史の本読もうと思います。

日本人「規則正しい」とか「時間守る」とか静的な評価が多い、気がする！ けど、本当に日本人が全員そうだったら今頃日本は犯罪率0%だよね(遠い目)。
どこ行ったってきっちりしてる人はきっちりしてるしだらしない人はだらしないよね。そんなもんだよね。

しかし今日は寒かった、寒い日に限って降らないから凍るばっかりである。

小さい頃仲良かった子について考えてたら、自分が当時から他人に興味がなかったことに気が付いた。
だってどんな子だったか答えられない…！
よく考えてみるとあたしが自分から「遊ぼ」って誘ったこともあんまりない気がする！ 休み時間にグランドの隅で枯れ木と戯れてたことしか思い出せない！
でも幼少期によくやる服脱いで体ぺたぺた触り合ってきゃっきゃうふふしてた覚えはあるな。母親の雑誌見る限り男子が混じることもあるみたいだけど入れた覚えはないなぁ。

ていうか、転校した小学生のときの同級生(♂)が防衛大に入ったらしい。どうしてうちの母親あいつのお母さんと仲いいんだろう…。

ていうか！ あたしよく考えると母親のことあんまり知らない！ つーか両親の馴れ初めとか結婚記念日とかまったく知らない！ あれ！？
あたしの対人スキルの低さってこの辺から来てませんかお母さん！ 聞かれなきゃ答えないし言われなきゃ聞かないよあたし！