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蠢く陰 絡む闇…3rd…in女神はほほ笑む

高い回転率を取り戻した、烈月と流奈による掃討戦は続くが暴徒の数は一向に減らず流奈のガトリングですら長い時間、撃ちすぎて銃身が真っ赤になり陽炎が立ち上る。

流奈『キリがない…ハジメ、後退しろ、これ以上は無理だ。』

流奈は、白熱化したガトリングを止め暴徒に向かって投げ捨て巨大なそれは当たると同時に、ジーっと焼けた音を立てた!

流奈『ちっ!もう使い物にならん…ハジメ、早く退けガトリングが死んだ、支援は出来ん…。』
流奈の指示に烈月は、装甲車の近くまで手早く後退するといきなり、Sencoの二階の窓からレインが何か叫んで手を振っている。

レイン『ハジメちゃん、ルナ姉…そこから逃げて〜すぐにそこへ、ピンポイント爆撃が始まるわ〜!』

いきなりの事態である、戦っている部隊からほど近い距離に破壊力のある爆弾を航空機が落としにくるのだ…しかも、Bー29爆撃機のような大きな爆撃機が空からピンポイントで爆弾を落とせる物なのかと…烈月は内心、複雑だった。

ふとした時だった…。

流奈が暴徒の集団に向かって2、3個ほど発煙手榴弾を投げ込むとブシュゥと音を発てて緑色の煙りが発つ…。
それを見た後、烈月の襟元をつかんで装甲車の上に引っ張り上げる。

流奈『ストライカーに…乗れ!入れ!中に居ろ!さっさとしろデカブツ!』

さっさとしろと言われるがままに烈月は、装甲車をよじ登り上部乗降ドアを開いて飛び込んだ!
装甲車の中には男女二人が切迫した事態の外とはうらはらにずいぶんとのんびりとしていた。

烈月『てめぇら…何、のんびりしてんだよ外がどんな状況かわかってんのかよ!』

烈月は、のんびりとしている連中に怒声混じりに話すと男が笑いながら答えた。
男『いやいや…わかっているからこうしてんだ、ルナ姉ぇがいるからこうしてんだ…ルナ姉ぇがこうしてろって言ったからそうしてんだ。』

男が答えるとゴーグルを付けた女の子がうなずいて笑い、烈月は呆れて何も言えなかった。

しばらくして、ジェット機の飛ぶ音が大きくなりつつあるのが装甲車に振動となり伝わって来るのが分かると音が最大になった瞬間、凄まじい爆発音が連発して響く。

男『おぉ〜おぅ、随分と派手にぶち込んでるんじゃね〜か、コレ?』
男は手に缶ジュースを持ちながら天井を見上げると揺れるキーホルダーを見て笑った
ゴーグル女『相当派手にお怒りってとこ?』

ゴーグル女はポテチをもしゃもしゃ食べながら男に聞くと男は首を横に振り笑いながらに答える
男『ラン、お怒りって訳じゃ無いが、Aー10攻撃機よろしく地上をめちゃくちゃに荒らしてるじゃないか…。』

男は身振り手振りを交えて話すとゴーグル女ことランは笑ったが頭の上には未だにジェット機のエンジン音が滞空して響いてるのにランが気付く。
ラン『ハリアー…みたい…ロケット弾搭載のハリアー…ユウキ…そんなの有った?』

ユウキと言われた男は、少し顔をしかめて考えてみたがロケット弾搭載のハリアー戦闘機を見たことが無いと答えて再びしかめっ面で深く考える、しかし、しびれを切らした烈月は、装甲車の上部乗降ドアを押し上げてエンジン音がする方向を見ると言葉を失った…。

烈月『オイ、ユウキ、ラン…米陸軍の最新型AGのM9ランドールだ…しかも重対地仕様!!』

声かけると装甲車に乗っている全員が全員、同じように上部乗降ドアから顔を覗かせジェットエンジンの音方向を見るとアメリカ陸軍の部隊マーキングの施されたアーマーギアが陽炎を纏いながら立っていた。

ラン『…重武装過ぎる…ロケットランチャーが…ひーふーみぃ…。』
ランが数えても間違いなくロケットランチャーは8門積んでいるのが分かる…。

基本、AGにロケットランチャーが積んであるのは、対地攻撃機と相場は決まるが少なく見ても一門、多く見て二門までだが、このAGランドールには過剰と言わんばかりにロケットランチャーが装着されていて明らかにこの暴徒、道路もろとも吹き飛ばすように組まれていた。
烈月は、爆撃を凌ぎ悠然と立っている、流奈にAGの操縦主は誰かを問うが…流奈ですら分からないと答えたが巴が二階の窓から顔を覗かせてAGに声をかける
巴『レイジ!遅い!大事な人命が一つ失ったのよ!』

大きな声がまわりに響き渡りAGが窓の方向振り向く

レイジ『何やて!?何時や!誰や!?』

AGからレイジの声が聞こえ音声からもう一人の声が聞こえるどうやら泣いているようだ
巴はAGの弾数が有る限り陣地防衛をレイジに任せてその、火器管制補正を泣いている奴に頼むと総員の撤退準備の指示をだす。
巴『ラン!子ぎつねのメンバーは地下の艦船停泊ドッグへ、機材の搬出と搬入を二班でする…ここから撤退する…常連さんたちのご家族の救出を出航後に始める…。』

巴の指示で全員がこの場所から脱出するための行動が一斉に始まる、食料や武器、弾薬を取り出して地下へ運び出した…。

蠢く陰、絡む闇…2nd…in女神はほほ笑む

見渡すばかりに暴徒だらけ…
凪ぎ払っても、吹き飛ばしても、叩ききってもキリが無く、疲れきった烈月は壁に背中を任せて腰を掛けぼんやりと空を見た…。

烈月『あぁ…空が青いな…今は昼間なのかよ…。』

烈月はしばらくぼんやりしてぽかんとするそれを、後目に、子ぎつね隊が必死に烈月の周りに弾丸の雨を降らせる。

ジェリルが叫ぶがぼんやりした烈月にはぼやけて聞こえる
ジェリル『立ちなって聞こえる?早くしな!海賊女!こっちももう持たないのよっ!』

必死に叫ぶが疲労から烈月は動かない…見かねた…アキナが二階からロープで降り烈月の顔を見ると烈月は上の空である。

アキナ『起きて…立つ…闘う…ダメ?』

彼女の問いに烈月はさもだるそうに無理と答えるとアキナはため息をつき烈月の背中に手を伸ばし、烈月の愛銃を手に取る

アキナ『闘うは…そこで良い…銃…使う…ダメ?』

そう言ってアキナは烈月に拳銃を握らせぎゅっと手を抑えるとにっと笑った…。

烈月『アキナ…後ろに、敵だ!』
烈月が言った瞬間に反応したアキナは丁度、間近に迫った暴徒に振り向きざまの体勢から手早く頭部を切り離すと手には鋭いナイフを手に持っていた。

アキナ『海賊の…後ろ…よろし?…任せる…。』

巧みなステップでテンポよく切り込む、アキナの戦闘スタイルは烈月とは違い、凪ぎ払い、吹き飛ばしと言った一撃粉砕ではなくまるで手術をするかのようなスタイルで人混みを縫うように切り払う…。

銃器の援護がありある程度は楽々に切り込むがしばらくしての事だった…

ジェニスが何かを叫んでいる烈月には聞き取れるがアキナは気付いていなかった。

ジェニス『50キャリバー排熱不良!!給弾も不良!!あたいは、援護が出来ない!!』

どうやら、機関銃がオーバーヒートを起こし弾がうまく発射出来ない状態になったようでアキナの周りを吹き飛んで居たはずの暴徒は平然としていた
そして、更に悪いことが立て続けに起こる!

リリー『ライフルに給弾不良!!つまった…ってマガジン脱落!?』

リリーの使うライフルにまで悪いことは伝播し援護射撃がジェリルの対戦車ライフル頼みになる

烈月『クソッタレ…悪いことずくめじゃねぇ…か…。』

烈月は上がらない腕を目一杯上げ自分のできる限りのテンポで打ち始める。

まともな連射もなく力も無く撃つ拳銃は暴徒の胴体にあたるか否と言った具合に凄惨な命中率にまで落ち込みを見せていた…。
ジェリルが叫ぶ必死に叫んで烈月を奮い立たせようとする…。
アキナはまともな援護射撃が届いて居らず暴徒に四方を囲まれどれがアキナかが水平線からは見えずジェリルから撃つと衝撃で彼女を傷つける恐れがあった
ジェリル『クソっ!クソォ!動け神崎ハジメぇえっ!!』

ジェリルが叫んだ瞬間だった…。

アキナの悲鳴ならぬ悲鳴が聞こえて来る、それと一緒に肉を千切るような音…続いて骨を削るような気味の悪い音が聞こえて来た…。

建物の二階からもアキナの白い武装コートは見えず暴徒の姿しか伺えず…リリーやジェニスは目をそらして居た…。

烈月『…何も…できねー…なんて…疲れるなんてねぇはずなのに…仲間を失わねーって誓ったのに…。』

見開いた烈月の片目はしだいに朱に光り瞳孔は縦に細くなる
烈月『こんなの…糞食らえだ!てめえら…糞食らえだっ!』

烈月は吼咬を上げると軍勢に突っ込み瞬く間に吹き飛ばすと化け物のような腕に変化していた…。
烈月は、意図的に自らの力を解放し周囲を怒り任せになぎ倒し、引きちぎり、切り刻んだ、自分への怒りに吼え、その姿は怒り狂う龍が如く、周りの車や暴徒、電灯や自販機と辺りかまわず破壊する…。
子ぎつね隊とレインは、烈月の姿に呆然とする…今までに見た事の無い彼女の姿に、今までに出会った事の無い事態に…。

烈月が、暴走してどれくらい経っただろうか…事態は変わった、いきなり一輌の装甲車がドリフトをして曲がり角を曲がって烈月に突っ込んで来た!!

ジェリル『あのストライカー(装甲車)!?海賊女に突っ込んで自殺でもする気ですか??』

ジェリルは慌てて射撃体勢をとり装甲車を止めようとしたが既に遅し烈月に突っ込んで来た装甲車は彼女の化け物のような力で止められた。

?『ウ〜ワ〜…今の烈月様々だねぇ!あたし謹製のストライカーを止めちゃうって…。』

装甲車のスピーカーから聞き覚えのある女の声がすると続けて男がしゃべっている

?『馬鹿野郎…もう少し遅けりゃお前はおろか俺達は、正面からミンチだったんだぞ!気をつけろっ!』

そして、マイク越しにもわかる鈍い打撃音…男が女の頭を殴ったようだった…。
その、音を聞いた烈月は怒りがどんどんとさめていきいつもの顔になって居た…。

烈月『てめえら…なに、ひき殺そうとしてんだよ…馬鹿が!』

いつもの烈月になると烈月は子ぎつね隊に発砲禁止の合図をすると装甲車から金髪の女性が出てきた
?『首尾はいかがかしら??』
列月はしょんぼりとした顔を見せると女は異変に気がつく。
?『悪いことでもおきたと、言うことですわね…さしずめ、あの軍勢に人が飲まれたと…。』
女の洞察は鋭かった、烈月は、大体のことを言い当てられ、ゆっくり、すべてのいきさつを話す。
烈月『流奈姉…ナイトストーカーの…アキナ准尉がオレのせいで…KIA(戦死)になった…。』
烈月は後悔していた、大切な仲間が自分のせいで死んでしまうことに、怒りと一緒に後悔がこみ上げてくると
流奈と呼ばれた金髪の女性は、少しため息をついて軍勢を見据えながら烈月を慰めた。
流奈『私たちsencoの関係者は死ぬことでしか生きた証しを伝えられない、生きた証し…それは何かハジメはご存知?』
烈月は流奈が話していることに首を横に振って生きた証しが何なのかをたずねると流奈は女神のように微笑
んで烈月をさした。
流奈『生きた証…それは、あなた…烈月、あなたですわ、彼女はあなたを守って死んだ、そうでしょ?』
流奈の言葉に、烈月はアキナの死を理解するのに時間は掛からなかった、自分が誰かを守るために生かされている、だから、アキナは烈月を守るために自らの死を受け入れていたのだった。

そう、話している間にも、暴徒は迫り来る、流奈は軽くため息を吐くと背中からガトリング砲を取り出し暴徒に向かって発砲、多弾であるがゆえに沢山の暴徒が粉微塵になる

流奈『余裕は無い!動け!働け!殲滅しろ!』

パッと戦闘モードになった流奈に指示をされ烈月は慌てて動く…体の鈍さや疲れはどうやら抜け、先ほどまでの高い回転率まで戻っていた…

蠢く陰、絡む闇…1st…in女神はほほ笑む

A.D.20XX年…

世界中が…世紀末と嘆く…世界が終焉の嘆きに満ちて行く

ニュートーキョー
カスミガセキ
数時間前までは激しい銃撃戦が繰り広げられていた警視庁も皎々と電気がついてるだけで静まり返ってしまいまるで無人のような空気が漂う。
そんな、警視庁の隣に構えた建物は窓という窓に頑丈な防弾シャッターで閉め切り入り口のドアにも防弾シャッターで閉め鉄壁の要塞のようになったなんでも屋SENCOである。


そして、店の周りを取り囲みドアや窓、シャッターを叩く人影は呻き声を出しながらガシャガシャと叩きすでに、人間と言う存在ではなかった。

室内では巴がどっしりと受付に腰をかけて次の一手を考えていた

巴・(奈都、蘭、流奈、ユウキの主要メンバーは買い出しに行ったきり…幸いにも烈月が居ただけでこうも状況が落ち着くか…。)
十数分前

ユウキ達は昼ご飯の支度に、と食材調達のためスーパーに出かけて居る最中で店には巴と烈月がのんびりとし喫茶店【子ぎつね】や二階の貸本屋【狐書店】の主達がゆるりと起き出してくる頃だった…。

普通の日であれば静かな朝のオープンと共に子ぎつねの常連連中やってきてがにっこり、巴にあいさつを交わして世間話に花を咲かせ子ぎつねのウェイトレスのジェニスとリリーがスケートで滑りながら注文をとりにくる。
そして、貸本屋がある階段から搬入中の本と共に貸本屋のRAレインが二階から落ちて生き埋めになるといった笑いのある朝だが…オープンから一時間ほどで事態は急変した…。

街の至る所で人が暴徒化そして、噛みついて暴徒を増やし街を飲み込んで行った事件が発生したのだ…。

事件直後、店内にも暴徒が数人入り込んで来たが暴徒化した人につかまれたジェニスは危険を察知したのか店から蹴り出したが他に入り込んだ暴徒に襲われかける…。

ジェニス・『こ…こい…つ…噛みつこうと…。』

必死に振り払うが女性であるがゆえに理性の無い人の力に負け押し倒される。

烈・『ちぃッ!糞野郎が!!』

その姿を見た、烈月は横からジェニスをつかむ人へ向かって飛び蹴りをかまし外に蹴り出すと残る人の喉元をつかみ外に放り出した。

烈・『巴ッ!今だ、ドアをロックしろ、あいつ等を入れんな!!』

烈月の叫ぶ指示に巴は、机の中にあった非常ボタンを押す、すると、窓やドアは防弾シャッターで封鎖されそのシャッターを暴徒達が叩く
その続く音に常連連中は頭を抱え怯えきっていた。

常連A『巴ちゃん!なんとかならんのか…うるさくてたまらん…。』

常連B『なんとかしておくれよ…巴ちゃん…。』

常連の頼みだしと巴はリスク&リターンを考えつつ常連連中に笑いながら次の手を考える

巴『わかった、わかった…あたしが今なんとかするから時間をちょうだいな。』

そう答えて…受付にどしっと腰をかけて考えた…

巴(奈都、蘭、ユウキ、流奈の主要メンバーは買い出しに行ったきり…幸いにも烈月が居ただけでこうも状況が落ち着くか…。)

巴は、深く考え、烈月を見ると彼女はにっと笑い返すと…巴はそれで何かひらめきすぐさまに指示をだす

巴『主要メンバーの帰還までの時間をあらかた稼ぐ、出入り口を二階に指定!ハジメ(烈月)は前線でダンスでもしてな!子ぎつね隊とレイン、全力でハジメ(烈月)を援護、バックアップよ!総員戦闘配置!!』

それを聞いた烈月は、目を輝かせて二階へ走って行ったかと思ったら屋外で烈月の声が聞こえた…。
烈『よっしゃ!!ロックンロールッ!』

どうやら梯子を待たずに二階の窓から飛び出したようであるが素早く周囲に集まった暴徒を斬馬刀で凪ぎ払う…壁に人の体が当たる音がするほどに彼女が猛威を振るっている証拠だ。

それから5分経ち、二階から重く低い銃声が響く…その音を聞いて、巴はにっと笑った…。
音の主は、RAの中でも屈指の射撃手、レインである。

レインの対戦車ライフルが烈月の後ろの居た暴徒を捉え瞬く間に身体を砕く…おっとりした性格には似合わない鋭い射撃が前線で踊る烈月をサポートする。

レイン『ハジメちゃん…背中ががら空きよ〜♪背中の近い人は吹き飛ばしますね…。』

レインは久しぶりの本職仕事に喜びを感じながら身振り手振りで本文を烈月に伝える

烈『ワレ、貴官、後方援護ス前ノミ集中セヨ…か…全く仕事が減るじゃねぇか…。』

烈月は笑うと広い範囲を斬馬刀で凪ぎるとすかさずレインが対戦車ライフルで援護するとホイホイ、暴徒が数が減って行く…。
それから、10分ほどすると重機関銃のいかつい発射音とライフルの斉射、それに、あわせて、やや間隔の短い対戦車ライフルの音がした。

子ぎつね隊の射撃である、シェフリーダーのジェリルを筆頭にウェイトレスのリリーとジェニス、レジのアキナからなる人間で構成された戦闘部隊、【米軍特殊部隊】顔負けの技術を持つ戦闘のスペシャリストである。

ジェリル『チームリーダーより各員、海賊女の近辺には絶対奴らを入れてはいけませんよ!』

シェフリーダーの一声に一団が答えるとそこから、銃声のオンパレードになる
烈月が剣を振るえば半径3mの暴徒が爆発し吹き飛ぶ不思議な光景であった。

この銃声のオンパレードを聞くと巴はまずは一つと手を叩いて喜び常連連中に話した。

巴『ほらぁ…あたしに任せればしばらくは安泰…とりあえず、sencoは全員が最高のスタッフで、あたしにとって最高の手足なのよ。』

勝ち誇って笑うと常連連中のこわばった顔にもしだいに笑みがこぼれて行く…。

店の周りに横たわった人の遺骸に漂う血と硝煙の匂いは再び暴徒を呼び寄せて行く…。

烈月にもしだいに顔から疲れが伺えるようになって行った。
斬馬刀の振りが大分、鈍くなり今まで斬断してきた人間も吹き飛ぶだけになる。

烈月『メ、メカじゃねぇ…が…さすがに一休憩が欲しいな…かったりぃ…キリがねぇ…クソッタレ…。』

疲労もピークになり大粒の汗が頬を伝い落ちると、今まで打ち続けていたレインの対戦車ライフルの音がはたりととまる
レイン『ハジメちゃん…ごめんなさ〜い、給弾不良〜詰まっちゃった…。』
レインは、焦ってなさそうに大きい声で伝えると烈月は驚いて振り向く…。

烈月『はぁ…!?冗談じゃねぇよ…今の状況だからてめえらが必要なんだっつうの!!直せ!今すぐ直せ!早くしやがれ!本の虫!』
烈月は、罵詈雑言を放ちながらも周りを吹き飛ばして必死に退路を作るがさすがに疲労困ぱいの体は人を吹き飛ばすのでやっと…ようやく店の壁にたどりつくと手近の壁に背中を任せて腰をかけるのであった…

Bloody station in 女神はほほ笑む

A.D.20XX年8月…

朝から客入りの少ない何でも屋【senco】の奈都の部屋

奈都は一人、趣味のネットサーフィンを楽しんで居た

奈都はいつも見る2.5ch掲示板にとても興味深い書き込みを見つけた

【某日…トーキョー駅にて大量殺人を決行有志募る】

そう言った内容の書き込みを見て奈都はほほ笑むとどこかに電話をかける

呼び鈴が長い時間なり
さも寝起きと言うような男性がうめくように電話に出る

奈・『緒方さん…今、サイバー犯罪課にいるって聞いたからかけた…。』

奈都が電話ごしに巡査長の緒方に電話をしたのである

緒方・『あぁ〜?赤木妹か…こっちゃ宿直で眠いんだ…手短に…Zzz』

緒方巡査長は宿直で仮眠をとっていたのかさも眠そうだったが奈都はそれを、気にせずに話を続けた…。

奈・『2.5chに興味深い書き込みがあった…極小規模テロリズムに該当しそうな殺人予告…内容…場所はトーキョー駅…日時は某日…。』

それを、聞いた緒方巡査長は結局、インターネットのいたずらでの書き込みだろうと相手にしなかった。

次の日…

奈都は、机のパソコンにて立案書を作っている途中、後ろから巴が奈都にくっついてパソコンを覗き込んだ

巴・『さっきから、何をそうにらめっこしてるのよ?』

不意に現れた巴に驚く奈都は悲鳴ならぬ悲鳴をあげてゆっくり巴を見るとふーんと巴は頷いた
奈・『某日の殺人予告に対しての作戦立案書…。』

ぼやっとつぶやくように奈都は答えると巴は奈都から離れていつもの濃いコーヒーを作り始めると話を切り出した。

巴・『要するに、その日に犯人がトーキョー駅でマシンガンを振り回すとか考えている訳ね〜。』
一呼吸置いて、奈都が頷くのを見ると巴は奈都の考えを笑った、理由も簡単だったからだ。

巴・『そんなの犯人がするわけ無いないわぁ…考えてみなさい…ただ、どよめくのを見たい愉快犯よぅ。』

そう、巴は犯人がネットに書き込み、周りが騒ぐのを見たいという愉快犯だと考えいたからである…。
当然、20XX年の2.5CHでは良く似た書き込みが多発している位で、巴の見解は、それに基づいた答えだった。
自然と誰しもその見解を出すに至るわけで巴の答えはいわゆる、当たり前の答えだった。

しかし、奈都は妙にその当たり前が引っかかっていた…。
奈・『巴さん…協力する気は?』
静かに巴の答えを伺う奈都は口数も少なく何かを目で訴えかける。

巴・『協力?…する気は…さらさら無いねぇ…何分今は収支の決済を出さなきゃだしね〜。』
結局、巴の答えはNOだった…。奈都は、それほど気落ちもせずに出来上がった作戦立案書を巴の机に置いて部屋をあとにした。

それ以来から奈都は帰ってこなかった…。


数日が経ち、書き込みのあった噂の日になった…。

トーキョー駅の人通りは相も変わらずでかなりの人が横行する…。

PM.19時…。
駅内の人通りは帰宅や飲み会等等でピークを迎え様々にごった返す…。


PM.19時30分…。

それは、起こった。

奈都の危惧していた無差別殺人事件が発生したのである…。

人々は、駅構内を悲鳴や怒号が混じりながら出口を目指す…。

犯人達はそれを鴨撃ちとばかりに銃火器を向け一人、また一人と殺傷を繰り返した…。

その事件はニュースにて生中継され、夕飯の支度をしていた巴は驚愕した。

巴・『まさか…本当に!?』
奈都の言葉を信じずに話を聞かなかったことがこんなことになるとは思いもよらず慌てて出立の支度に切り替えた…。

事件発生から約5分

大勢の人々が血で床を濡らして倒れ込む。
その中を一人ひたり、ひたりと歩く少女が居た…。

事務所を出たっきり(家出した)の奈都である…。
犯人達は小さな体の奈都を見るや格好の獲物とばかりに襲いかかった!

犯人達の銃火器が一斉に奈都に向かって吼え、凄まじい弾丸が彼女に飛び込んでくる!

奈・『わたしだって、巴や姉さんみたいに戦えるんだからっ!』

奈都は飛び込んでくる弾丸を縫うように避ける…。
更に、眼前に飛び込んで来た弾丸さえ見えて居るようで紙一重に避けながら一気に犯人達との距離を詰める!

犯人A・『このっ!ガキっ!弾が見えているのかよっ!』

犯人B・『そりゃ、あり得ねえ!あり得ねえよっ!まぐれだって!』

犯人C・『だったら撃ちまくれ!蜂の巣にしちまえ!!』

男達は奈都が弾を避ける姿を見て驚く。

距離も縮まり奈都は先頭に居た犯人Cのライフルを抜刀と同時に2つに切る…。

犯人Cは反動で吹き飛ぶと他の犯人達は驚いて撃つのを止めた。
すると奈都は静かに犯人達に聞いた。

奈・『首謀者は…誰?』
犯人達は黙って居たので更に叫ぶように聞いたが犯人達は口ごもり答えようとせずその沈黙を破ろうと奈都は続けて

奈・『首謀者は黙ってないで出て来て!』
叫ぶように聞いたが犯人達は黙って変わらないとわかった
奈都はため息をつくと作戦目標を変えた…。

デストロイゼムオール!!
(全てをぶっ壊せ!!)


奈都にとって姉に近づける瞬間、隠した奈都の獣を表に出す事が出来る時間である。



奈都にとってそこに居る犯人達はすでに犯人ではなくテロリストとしての認識に変わる…。

奈都は犯人に静かにしかし、強く語る…。

奈・『器物損壊・銃刀法違反・殺人罪・傷害罪・凶器準備集合罪・公務執行妨害よって情状酌量の余地なし…。』

奈都はゆっくりと吹っ飛んだ犯人Cに近づいた途端、犯人Cが起き上がりざまに拳銃で奈都を撃ち。
弾丸が頬をかすめ血が頬ににじみ出ると…。
それに気がついた奈都は、拳銃ごと犯人Cを一気に横凪ぎに両断する。

奈・『マカロフ(拳銃)程度で!』

斬りつける瞬間に、奈都はガンブレードの特徴である引き金を引き、構内は奈都のガンブレードの銃声が響き床や壁をおびただしい量の血で濡らした…。
次の犯人に標的を絞り襲いかかる直前、犯人は奈都が何者なのかを気づいた。

犯人A・『こいつ!法執行機関SENCOの赤木奈都だ!逃げろ!』

犯人B・『かなうわけ無い!』犯人達は、必死に奈都から
逃げようとして彼女に背を向けて全速力で走る…。

?・『逃がすかっ!』

聞き慣れした声がすると犯人達や奈都の周りに盾を構えた機動隊が理路整然と陣形を組み立ちはだかる。

?・『ずいぶんとやってくれたわねぇ…。』

巴が機動隊隊員の集団の間を掻き分けて現れると奈都は驚いてしまった…。

賛同しないと奈都の前で言い切った巴が前に居て騎兵隊よろしく奈都の前に姿を見せたのだ!
奈都は驚きと喜びが混じるが表情をださなかった…。

いわゆる、いつもの奈都である…。
巴は状況を見ただけすぐにそれを整理して話出した。

巴・『犯人に継ぐ!武器を捨ておとなしく投降しろ!!さもなくば殲滅もやむおえん!』
高圧的な言い方をしたが犯人達は銃を一時、構え抵抗しようとしたが奈都がガンブレードに弾を再装填をした音を聞いて犯人達は銃を捨て両手を上げる…。

それを、確認した機動隊員達が一斉に犯人達を確保に入る…。
その波に押し出される様に奈都は大勢の機動隊員達に弾かれバランスを崩し倒れそうになる。

奈・『あっ…!』

倒れ際だった…。

奈都の手を握り、引っ張ろうとする巴の姿がとても悲しく見えた…。

奈都は握る手がかすかに震えているを感じた。

力いっぱいに握っているのでは無い。

巴は、自分が無視した事で起きた事態だと思うあまりに悔しさが手通して奈都に伝わった…。

奈・『大丈夫…巴が悪い訳じゃ無い…確度…私の確度が悪かっただけ…。』

奈都は、非は自分にあると言い不器用に笑みを浮かべるのであった…。

傷と命と過去と… in 女神はほほえむ

A.D.20XX年…某月

Sencoの大浴場…。

ユウキが長い時間シャワーを頭からかぶってのんびりしながら鼻歌を歌っていると浴場の扉が開く音がする。

ユ・『う…ん?誰だ…?』

戸を開けた主に誰か聞いてみると少し驚いたように応えを返す
女・『あら?ユウキでしたの…てっきり蘭か奈都と思ってましたわ…。』

ユ・『るっ…流奈姉か!ちょっ…待っ!!野郎が入ってるのに平然と入って来るレディが居るかよ!!』

意外な人物がお風呂に入って来たので慌ててタオルで下腹部を隠すユウキに流奈はクスクス笑ってペタペタとユウキの後ろを通り抜けるとバサッと湯を体にかけて湯船に浸かった。

流・『ごめんなさいね…まぁ戻るのも時間のロスですし…。』
なんともマイペースな発言をすっぱりと語る流奈に半ば涙目になる…ユウキは、そそくさと上がろうと考えていた。

ユ・『じゃ〜あ…。』

上がると言いかけた途中で流奈はまた、ペタペタと歩いてユウキの横に座るとにこやかにユウキに聞いた。

流・『背中…流してくださる?』

この言葉におどおどしながも断ろうとすると流奈は間髪を入れずにユウキに再び聞いた
流・『背中流して頂けますわよね?』

その笑みが微妙に恐ろしく断った際には何がしかのいたずら的な報復行為を忍ばせていた…。
恐らくは、彼女の笑みに(私は、面倒が嫌いなのでしってよせめて背中くらい洗って頂いても減らないじゃなくって)と言った類の思惑が垣間見えたためユウキは、しぶしぶと流奈の背中をながしてやった…。

流・『ありがとう、悪くは、なくってよ…。』

流奈は、礼を言い風呂桶に湯を張ろうとすると背筋をユウキは撫でる。

一瞬にしてぞわっとしくすぐったい感触が流奈の背中を駆け巡り通り抜けて行った後、流奈は、ユウキが背中のどのあたりに触れているかが分かった…。
目の前の曇ったガラスを手で拭いて後ろのユウキの顔を見る、どうやら、しんみり顔で流奈の背中を見て居るようだ。

流・『背中の傷くらい…どうだって良いじゃない?』

優しくユウキに声をかけると彼は、首を横に振りどうでも良くないと否定した。

ユ・『いや良くない…この背中の傷、有ってはならなかったんだ…自分が未熟だったばかりに…こんなことになったんだ。』

流奈の背中にはばっさりと斬られた傷痕が生々しく走っていた…。

ユウキがまだ女神隊に入隊して数か月ほどたった頃、敵兵に追われ斬り殺されそうになった時に、流奈が彼を救いかばって受けた大きな傷である、流奈にとってもユウキにとっても思い入れのある傷痕である。
流・『それでも、この傷が無かったら、尊い命を無くしていたのよ…。』

ユウキがいかに大事な存在なのかを流奈はそっと彼に語ると少し笑い石鹸を手に取る
流・『傷があるから、あなたが居る…あなたが居るから私が居る…あなたは、居なくてはいけない大切な、家族ですわ…。』

長い時間が経ったにも関わらず未だに、家族としての認識があるとは少しユウキは嬉しかった…。
拾われた当初は、今までいた本当の家族が目の前で死んでしまい帰るところもなくふらふらと逃げ回る最中であった…。
蘭、曰わくその頃に拾ったユウキはまるで捨て猫のように怯えきっていたとの事だが今やすっかり成長しそのような姿や面影は無くなった。

ユ・『あのとき流奈姉がかばってくれなければ、どの道死んで居たのかも知れないな…本当、感謝しているよ…。』

自分が死と隣り合っている事が今、改めてわかるのが少し怖いと思いつつ女神隊のみんなに愛され、大切にされ家族として女神隊の大事な一人として支え合っているのを感じるユウキは流奈の小さくも大きな背中をながしてやる…。
流奈は、小さな少年が気が付いたらすっかり成長した青年になったユウキの顔を見て初々しい頃のおどおどした顔を思い出して少し笑う…。

ちょっとした事だったが、二人の距離も微妙に近くなった…かもしれない…。

流奈とユウキがゆっくり湯船に浸かっている時に、烈月が乱入して来たかと思えば、巴や蘭がなだれ込んで来るように風呂に入って来ていつものように賑やかになる…。
女神隊に退屈が来る事は、当分先のようだ…。
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