『あの子』


『あの子』

記憶の片隅に、確かにあの子が居た。

子供の頃、小さな公園でよく遊んでいた。
そこに行くと、いつも同じブランコに乗っていたあの子。
約束もしないで毎日のようにそこに通っては遊んでいた。

大きくなるにつれて、友達も増えてそこに足を運ばなくなった。

名前も顔も思い出せないのに、でも大切だったはずのあの子。
どうして忘れてしまったんだろう?

もう一度、あの場所に戻ればあの子のことを思い出せるだろか。
今、電車に乗ってあの町に帰っている途中だ。



END.