*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋6』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第6章です⇒
story.11:『刑事の性』
翌日の朝、寝室に一人と一匹が眠っている。
三毛猫は主人である男性の脇腹近くで気を許したようにお腹を見せ、すやすやと眠っていた。
時刻、5時50分。目覚まし時計が鳴るまで10分だったが、既に男性は目を覚ましていた。
本当はすぐに起き上がるべきなのだろうが、愛猫が気持ちよく寝ている傍で動いたら起こしてしまうから。
それに、一人で何か考え事に集中するには今が最適な時間なのだ。
水嶋律は、しっかりと目を開けて天井を見ながら考えていた。
水嶋:(六条、薫くん…)
昨夜、警察近辺でストーカーらしき人物から暴行の被害に遭い、同僚の女性と共に助けを求めてきた男性。
水嶋:(薫くんたちの話からして、犯人は女。それは間違いない)
目撃者もいるし、薫の周囲を張っていればすぐに捕まるだろう。
水嶋:(だが、問題はストーカーのことじゃない…)
自分の前に現れた薫の名字が『六条』であることが引っ掛かる。
結局、最後まで会社を出た直後とストーカーに襲われる以前の空白の時間を、薫は証言しなかった。
水嶋:(カフェで、本当にただお茶をしていただけなのか下調べしておかねーと…)
とはいえ、きちんとした証言が取れるかどうかが疑問視される。
西原悠一の誘拐の際、堂々と街の上を飛んでいたヘリコプターをその地上にいた人間たちは口を揃えて、『知らない』と証言した。
水嶋:(明らかにおかしい…)
もし薫が、第6の槐だとしたらひょっとしたら同じマインドコントロールが起きる可能性がある。
確証はないにしろ、水嶋は薫のことが直感で気になった。
水嶋:「どうして、目が見えなくなったんだろう……」
話を聞く限り、最初からというわけではなさそうだ。
何かしらのトラブルに巻き込まれて、それが原因で視覚障害になったとすれば、復讐を身に抱いていても。
水嶋:「けど、薫くんにはムリがあるか…」
槐といえば、あの超人的な身体能力。
マインドコントロールの非体質だった悠一とは欠陥が違う。
目が見えない状態でターゲットを殺害することなんて出来るか。
水嶋:(いや、もしくはアートロ辺りが犯行を全面バックアップするか…)
アートロがターゲットを押さえ付けている隙に、薫がナイフで------------。
それとももっと別の方法で復讐を手伝うつもりでいるかもしれない、と水嶋は考えてからハッとして思わず飛び起きた。
頭の上に置いてあった目覚まし時計がジリジリと鳴り響いていたからだ。
水嶋:「ふぅ…………」
にゃー
水嶋が目覚まし時計を停めてから、ため息交じりに額に手を充てていると、水嶋の膝に三毛猫・ゆのみが乗ってきて、主人の様子を見つめていた。
水嶋はゆのみを見た後、手のひらでゆのみの頭を撫でながらボソッと口にする。
水嶋:「……なに考えてんだ、俺は。」
いくら槐事件の犯人の名字に共通点があるからと言って、疑う上に真っ向から推測を始めるだなんて…。
刑事の性。そう言われてしまえば何も言えなくなるが、自分はきっとそれ以前に"想い"がある。
水嶋:(昔の過ちを繰り返さないために…)
お節介でも、自分の思ったことは行動に移すと決めた"あの日"。
それじゃなきゃ、自分は誰も守ることが出来ないような気がしてならない。
水嶋:「…ああ、こんなことしてる場合じゃねーなぁ」
水嶋はそう口にして、ようやくベッドから降りた。
ゆのみも、水嶋の後に続く。
水嶋は寝間着のまま一度、一階へ降りる。
すると案の定、キッチンルームから調理をする音がして、水嶋はまた額に手を充てた時だった。
透真:「おお、律おはよう!」
魅華斗:「りっちゃん、おはよ〜う!」
法子:「りっちゃん、座って。
一緒にご飯にしましょうね〜」
水嶋:「いやお前らはなにフツーにここにいるんだよ…。
自分の家があんだろうよ……ったく。」
同期の沢田透真と実姉で医師の法子、その息子の魅華斗(ミカド)の親子3人が普通に水嶋家のリビングにいて、水嶋は呆れる。
心なしか、ゆのみも呆れている様子だ。
水嶋:「ここはアンタら夫婦の駆け込み寺じゃねーんだぞ。
ってか"喧嘩中"だったんじゃなかったのかよ」
透真:「まぁまぁ、細かいことは気にすんな!」
法子:「りっちゃん、なんとオムレツにひき肉が入ってるのよ♪」
水嶋は軽く話を流されてイライラしていると、自分のズボンの裾を掴んできたミカドが潤んだ目でこちらを見てくる。
まるで『見捨てないで』とでも訴えているかのようだ。
水嶋:「………………………。」
いや、かわいい甥っ子のために多少は我慢するけれども。
水嶋はそう思いながら、いつもの椅子に座った。
隣にはミカドが座り、足元にはゆのみが確保------------と、なると目の前に座るのは。
法子:「さぁ、頂きましょう♪」
透真:「ほぉら!飯が冷めるぞ、ふたりともw」
怖いくらい満面な笑顔を浮かべた姉夫婦を見て、水嶋とミカドは顔が引きつる。
とりあえず法子は透真の分も朝食は用意したようだが、まだ喧嘩は継続しているようだ。
水・魅:「いただきます…」
水嶋とミカドは手を合わせてから朝食を始める。
……静かに始まった朝食。
水嶋:(やべぇ、ケチャップ付けたのに味が分かんねぇ…)
それくらいこの状況が気まずくて仕方がない。
水嶋とミカド、そしてゆのみはこんな気まずい朝を既に一週間続けていたのであった。
------------To be Continued...