*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋6』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第6章です⇒
story.24:『欲望』
僕が最後に見た光景。
それは、階段から落ちる際に見た大空。
そして、僕の手を掴んだマコトさん------------それを残酷にも笑みを浮かべながら見つめる佐々木と矢代。
マコト:「カオルー!」
マコトさんが僕の頭を守ってくれたことで、僕自身は体に軽い打撲傷で済んだ。
両目が見えなくなってしまったのは、病院の先生いわく精神的な部分からくるものらしい。
マコトさんが、僕を守って死んだという事実。
耳で聞いたマコトさんの遺体は、僕の頭を必死で守ろうとして折れてしまった両手のこと。
マコトさんの頭からは大量の血液が流れて、体には自分以上の打撲傷。
佐々木と矢代が救急車を呼んでいれば、マコトさんが死することはなかった。
僕は、マコトさんの家族の人生を壊してしまった------------…なのに。
田原:「薫、今日からお前はうちの工場で働くんだ」
薫:「え…」
マコトさんが死んだ後、行く予定だった大学を断念した時に突然、マコトさんの父親である田原社長からそう言われた。
この時はヘルパーを雇って一緒に就職先を探してもらっている最中だった。
薫:「…そ、それは、罪滅ぼしをしろという意味ですか?」
僕は、そう口にしてしまった。
いや、そうとしか思えなかった。
薫:「僕が…マコトさんを、殺してしまったから!」
事件上、マコトさんの死は事故として、容疑者とされていた2人も見逃され、僕は被害者として、あの事件は幕を閉じてしまった。
あの2人が咎められずに済んでしまったのは、僕のせいなのに。
田原はずっと、そんな僕を恨んでいる------------だから。
田原:「すまなかった」
田原の、信じられない言葉を聞いた。
薫:「…………………。」
田原:「確かに、悔しいよ…。
マコトが死んで、妻が後追いして……俺には仕事しかない。
だけど、アイツらはきっとこれから先に明るい未来がある……………マコトにはない未来が」
田原の両手が、薫の両頬に触れて言った。
田原:「だけど、マコトは薫の未来を必死に守ったんだ。なら、親父の俺がお前のためにどうにかしなくてどうする」
田原は言った。自分のような障害者は、なかなか就職先を見付けることが困難。
ヘルパーの方も、懸命に就職先の支援をしようと毎日走り回ったり情報集めに必死だが、どの会社もそんな余裕はない。
田原:「妻が死んでから、事務の…特に電話対応がきちんと出来る人間がいなくて。薫は礼儀正しいし、落ち着いて相手と接することが出来ると思うんだ。それに、ここからうちの工場まで通えない距離じゃない」
薫:「田原さん…」
田原社長の、その心遣いに応えることにした。
田原社長にとって、今の生き甲斐は仕事。
その仕事場に、自分を迎えてくれた田原社長には感謝しても足りない------------。
マコトさんの代わりに時間を掛けて、ゆっくり親孝行をしよう。
恩返しをしよう。
そのために、自分は例え重い十字架を一生背負うことになろうとも、刑務所には入らない。
六角恵梨香を犠牲にしてでも、自分は外の世界で生き続けてみせるから…。
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ガチャ------------
ドアが開け放たれた音。
その先に立つのは、鳥の仮面の男・R。
明け方、まだ家族が寝静まっている最中に六条薫は動き出した。
着替えも、外出準備も、全部Rがしてくれた。
起きた時、家族は全員マインドコントロールに懸けられているだろう。
そして、自分を迎えに来た水嶋や加藤たちに『出掛けた』と言ってくれる。
その間に、薫はターゲットを狙うという段取りなのだが。
薫:(けど、それだけじゃ僕は疑われるんじゃ…)
さすがに薫にもそれは予想出来る。だが、Rや"ご主人様"には何か策があるようで自分たちに任せてくれと言うのだ。
薫:(そうするしか、ない)
どうせ目が見えない自分には、Rのような協力者がいないとゲーム遂行すら出来ないのだから。
薫:(…なのに、どうして僕は槐に選ばれたのだろうか)
復讐したい人間がいたから?
都合が良かったから?
たまたまそこにいたから?
たぶん、その理由も"あの時"に教えてもらったはずなのに薫の記憶から重要な部分が抜けていた。
でもそれは、いずれ教えてもらえると思う。
自分にとって消されたくない記憶は槐に関することではない。
薫:「僕は、絶対にこの家に帰って来る。これからも外の世界で存在し続けるんだ」
薫はそう言ってから、杖を付いて歩き出した。
平坦な坂になっている道を歩いて行く薫を見送ってから、Rはフッと笑みを浮かべて言った。
R:「はい…、必ずですよ」
Rはそう言ってから、六条家のドアを閉じた。
そして渚から抜き取った家の鍵を使い、玄関のドアを閉めてポストから鍵を玄関口に落とした。
それからRは、薫を新たな罪が生まれる場所へと誘った。
------------To be Continued...