*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋6』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第6章です⇒
story.26:『策略』
大手電気企業会社の屋上から、悲鳴が響いた。
出勤してきた会社員たちが空を見上げてみると、一人の男性が勢いよく落ちてきている様子が視界に入る。
男性:「だっ…助けてェ!!!!!!------------ブギャッ!?」
救いの声は虚しく、大勢の会社員の前で地面に叩き付けられ、血を流した男性。
ほぼ即死状態だった男性を見た一人の会社員が近付いて、声を上げた。
会社員:「------------矢代!?な、何で、お前が…」
会社員:「おい、何か落ちてきたぞ!」
同僚・矢代佑の転落死のなか、屋上から空中をひらひらと舞いながら何か小さな四角い形のカードが落ちてくる。
そのカードは被害者が転落した所からはかなり離れた、女性2人の側で地面に落ち着いた。
そのカードは、"悪魔のカード"------------槐事件の発生があったことを報せる不吉なカード。
女性:「悪魔のカードが…!」
女性:「第6の槐事件だわ!」
男性:「けっ…警察!警察呼んでくれー!」
周囲が騒然とし、矢代佑の周辺に集まるなか、野次馬の中にいた男性が自分たちの会社から一人の見知らぬ女が出てきたことに気が付いた。
眼鏡を掛けた、黒を貴重とした地味系の服装をした女性。
大きめの鞄を持って、周囲に気付かれぬようにか警戒心剥き出しにその場から逃げてゆく女性。
それは男性に限らず多くの人が目撃していたが、今はそんなことよりも被害者の方が気掛かり。
だから、誰も追い掛けない------------というマインドコントロールを懸けた。
R:「さて。時間潰しを致しましょう……何処かご希望はございますか?」
鳥の仮面の男こと、Rは、地上の様子を確認しながら石段に矢代佑に届けた置き手紙を、風に飛ばされないように小石を重石代わりに使う。
屋上の石段の側から離れて、真ん中ら辺まで移動した第6の槐は、その場でじっとしていながらこう言ってきた。
槐:「マコトさんのところへ、連れてってください」
槐はそう言うと、手に持っていた"遺書"と書かれた封筒を2つに千切った。
封筒の中には、手紙があった。
だが、槐にはその手紙の内容は絶対に理解出来ない。
何故なら、第6の槐は盲目だから。
槐が千切った手紙を地面に落とすと、Rはサッと近付いて傍に来て言った。
R:「承知しました。…では、失礼致します」
槐:「はい」
Rは槐を抱き上げると、矢代が転落した側とは反対方向へ勢いよく走行し、隣の高層ビルへ飛び上がった。
高いジャンプが何度か続き風を切るなか、第6の槐こと、六条薫はふと口許を笑わせる。
薫:(律さん、早く気付いて。
鬼ごっこはもう始まってますから…)
初めて、水嶋と出会った時。
犬の仮面の男こと、アートロの部下と名乗る男性と協力して、わざと水嶋とぶつかり接触を試みたあの駅前での出来事。
第5の槐こと、西原悠一を逃がすために自分はあの日、マコトの墓参りに行くことを口実に、その協力をした。
あの日から、実は水嶋との鬼ごっこをずっと楽しみにしていたということを今の今まで忘れていた。
忘れていたのは、組織からマインドコントロールされていたからではなく、ただ単に自分が別のストーカー事件に巻き込まれたことが予想外だったからだ。
これがどうゆう因果か、水嶋と知り合いになって、自ら"お友達"になったりするようになった。
水嶋は、槐事件とストーカー事件の両方で自分と関わっている。
ひょっとしたら既に、昨晩のあの話を聞いて、自分が第6の槐であることは察しているだろう。
薫:(それを今日、試すんだ)
偽物の槐(六角恵梨香)を追い掛けるか、本物の槐(六条薫)を追い掛けるか…。
薫:「もちろん、ハンデは頂きますけど。」
R:「アハッ…」
薫のその一言に、Rは思わず鼻で笑ってしまった。
盲目で、一人では逃げることが出来ない------------哀れなドブネズミの第6の槐様。
Rの中で、薫はそうゆう存在。
いや、Rの中では槐全員と自分以外の仮面の共犯者が見下す対象だったのだ。
R:(第1の槐は、僅かに逆らえる意識を利用して自分が犯人だと言う証拠を現場に残した…)
そして逮捕直前、自分が犯人だと公衆の場で宣言する始末。
言い返せば意志が強く、正義感ある少年ではある。
だが、非常に胸くそ悪い。
R:(第2の槐は復讐だけを意識して、非常にはなれなかった…)
あの若手の刑事・高柳がターゲットの前に立ちはだかった時も決して傷付けることはない。
大体、復讐の理由が幼い甥の将来のためと言うバカな考えに自分は共感が出来ない。
R:(極めつけは、猿の仮面の男・リオ------------いや、酒田雅春の奴。)
元々、復讐相手が同じだったから第2の槐に協力することは、こちらが口出しをすることではないが、ラストターゲットを始末した後から自身も命を落とすとは。
お陰で、人手が減る一方。
R:(それは狐の仮面の女……いや、男か。シュウこと、埼周平)
第4の槐は確かに復讐までは至らず、マインドコントロールに逆らって決してターゲットを殺害しなかった。
挙げ句の果てには、恋人に付き添われて自首をしに行き、槐ゲームを途中放棄した------------あれは、実に許せない。
R:(だからといって、槐の暗殺は"あの御方"が禁じていた。)
"彼"が許さない限り、槐は何人足りとも傷付けてはいけない------------共犯者の立場でそれを犯すことは絶対にならないのを、シュウは犯そうとし、逆にマインドコントロールされた第4の槐によって切り捨てられた。
自分の手で復讐をする機会を逃して…。
R:(シュウさんが入れ込んでいた第3の槐は、なかなか面白かったんですがねぇ…)
ラストターゲットで邪魔がなければ、第3の槐は自らの手で実母を始末していたはず。
自ら死ぬ覚悟までした姿は立派だった------------が、感情は捨て切れなかった。
R:(目覚めた時、シュウさんの死を知ったら……彼の感情は、どこへ向かうのか)
それは、興味はある。
R:(そして、第5の槐。
マインドコントロールが効かない代わりに、人間味のある姿は見れたのは面白かったが、案外あっさり終わってしまったのがもったいない…)
ラストターゲット……結局、祖母を刺したのは、マインドコントロールをされていた方。
もっと、ドロドロに穢れた心が露になった獣の姿を見たかったのに、とRはガッカリする。
だが、第5の槐ゲームでもっとも許せなかったのは犬の仮面の男・アートロこと、伊藤諒紀。
R:("あの御方"は、彼に甘い)
財務省頭取の子息であるアートロは、この槐ゲームにおいて必要なことは理解している。
だが、共犯者が2人死を遂げた後でアートロも使えないとなると、かなり頭が痛い。
R:(私も、表向きの仕事があると言うのに)
それは、別の場所で行動をしている兎の仮面の女も同じ。
だが、彼女はまだ若いからどうにでもなるだろう。
実際、元居た職場を辞めさせて潜入任務をさせているのだから。
R:(兎の仮面の女--------"雪見"。
恐ろしい演技力ですよね)
それだけ、彼女も復讐には底知れない思い入れがある。
だから兎の仮面の下に、さらに偽りの仮面を被って行動する。
R:(まぁ、それは私もですけどねぇ…)
"この後の予定が済んだら"一度、職場に直行しなければ…。
Rは落ち着く暇もなく薫の希望通り、田原誠の墓の前までやって来た。
墓石が立っている所からは、薫に自分で歩かせる。
薫は墓石の前まで来ると、Rが運んできた清水を墓石にゆっくりと掛けた。
Rに火を点けてもらった線香が墓に置かれると、薫は静かに手を合わせる。
その横顔は、強い意志を感じないでもない。
R:(これから自分がどんな目に遭うかも知らずに…)
Rはそう思いながら、おもむろにしゃがみ込む薫の背後に立ち、自身も屈む。
薫が祈りを終えたと同時に、Rの手のひらが薫の額に当たる。
その冷酷な心と似ても似つかない温かい手。
薫:「!」
R:「失礼。…ですが、悪く思わないでくださいね?」
Rがそう言うと、薫は急に眠くなってしまう。
薫:「なっ……あー…る------------…」
力なく眠りに付いた薫を、Rは軽々と持ち上げて人目を気にせずに素顔を晒してその場を去る。
そんな姿を墓場を管理する住職が目撃していたが、これは計算のうちである。
R:(例え、水嶋さんが直感したとしても)
既に警視庁の連中が加わった組織では、"あの御方"の思いのツボ。
申し訳ないが、水嶋が薫に辿り着くのは今夜の"あの場所"だと決まっている。
------------そう、ラストターゲットの犯行の指定先である。
------------To be Continued...