*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋6』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第6章です⇒
story.30:『財務省』
数日後、水嶋は財務省を訪れた。
高いビルを見上げて、少し目眩が感じた。
太陽の日射しがビルの窓ガラスに反射して、地上にいる自分にその光を直に浴びせる。
水嶋:「ああ、いかん…」
事前に取っていた面談の時間は既にギリギリ。
警察署を出る前に、一人で財務省へ行こうとする自分を警察庁の人間が気に食わぬ様子だったから、出るに出にくい状況だった。
石塚の一声で解放され、電車に乗ってここまで来た水嶋は、急いで財務省の中に入った。
ロビーの受付に向かおうとした時、ふとエレベーターへ向かって歩く2人の男性を見付けて、水嶋はハッと声を掛けた。
水嶋:「伊藤諒紀財務官と、秘書の遠山敦敏さん!」
水嶋がそう呼び掛けると、2人の男性は足を止めて不思議そうにこちらを見る。
水嶋は、警察手帳を出しながらこう言った。
水嶋:「先日、連絡させて頂いた神奈川県警察署の水嶋です」
水嶋がそう挨拶しながら、免許証代わりに警察手帳を見せる。
すると、1人の背の低い男性こと、遠山敦敏が思い出したような顔をして言った。
遠山:「ああ、先日の電話の!
良かったです、会えて。」
水嶋:「はい。…じゃあ、えっと、昼食も取るだろうし、手短にとは思っているんですが…」
どこで話を聞こう、と悩んでいると、伊藤諒紀はにこりと笑みを浮かべながら言ってきた。
伊藤:「とりあえず、私の仕事部屋に行きましょう。そこなら静かに話せると思いますよ。ねっ、"あっちゃん"?」
遠山:「財務官……仕事中にニックネームで呼ぶのは禁止です」
伊藤:「だって、この方が呼びやすいんだもん♪」
遠山:「はぁ…。すみません、こんな人で呆れたでしょう?」
水嶋:「いやいや…仲が良いんですね、お2人は。」
そう会話をしながら、降りてきたエレベーターに乗車し、3人は話を続けた。
水嶋の言葉に対して、伊藤はこう返した。
伊藤:「幼なじみなんです。
昔から、"あっちゃん"と"りょう"って呼び合う仲なんだよね♪」
遠山:「こ!こらっ!
水嶋さんの前で抱き付くな!!変に思われるだろう!!」
水嶋:「アハハ」
財務省の、財務官となれば、お堅い職業だ。
無駄にプライドが高くて、いざという時は謝罪することを知らない連中だと思っていたが、伊藤と遠山のやり取りを見ている限り、全員ではないように見える。
水嶋は、やっぱり少々困ったような笑みを浮かべながら、子供みたいにはしゃぐ2人を見守った。
そしてエレベーターが目的の階へ到着すると、水嶋は伊藤と遠山の後を付いて行くように廊下を歩いてゆく。
伊藤:「ここです。どうぞ?」
水嶋:「お、お邪魔します…」
遠山が先にドアを開き、水嶋と伊藤が完全に室内に入ったことで、ゆっくりと扉を閉めた。
水嶋は応接用のソファーに腰掛け、2人が落ち着くのを待つ。
ようやく、伊藤と遠山が落ち着いた時、目の前に座った遠山が自分に温かい日本茶が注がれた湯呑みを用意してくれた。
遠山:「どうぞ、お熱いうちに」
水嶋:「ありがとうございます。頂きます」
水嶋はそう言ってから、湯呑みに口を付けて一口飲んだ。
ふわりと、日本茶の香ばしい匂いとすっきりした飲み口で、とても飲みやすい。
水嶋:「いやぁ…うちの後輩には茶を煎れる人間がいないんで、久しぶりに美味しいものを飲ませて頂きましたー♪」
伊藤:「そうでしょう!?
あっちゃんが煎れてくれる日本茶は格別なんですよ〜♪」
遠山:「…あ、ありがとうございます。
と、言うか……照れるし、貴方はご自分の仕事をしなさい!!」
ドッシリと置かれた書類の山に思い切り引きつった苦い笑みを浮かべる伊藤を見て、水嶋は何と声を掛けてやるべきか考えた。
自分なら、すぐに姫井とか高柳辺りに押し付けてしまうが、財務省ではそれは皆無だろう。
故に、伊藤は渋々とペンを片手にたくさんの資料とにらめっこを始めた。
遠山:「すみません、遅くなって…。
お時間は大丈夫ですか?」
水嶋:「ああ、えっと…。
個人的なことを言ってしまうと、17時までに戻りたいなぁ、と。
解決したばかりの事件の被害者が会社復帰したそうなので顔を見に行きたいし…。
あと、甥っ子!今度こそ忘れないように迎えに行かなきゃ…」
遠山:「アハハ。刑事のお仕事もしていらっしゃるのに、面倒見がいいんですね」
遠山の言葉に、「そんなことない」と言ってひとしきり場の空気が和らいだ頃、水嶋は本題に入る。
水嶋:「えっと、実はその最近解決した事件は、ストーカー殺人未遂事件だったんです。
……これ、監視カメラの映像を解析した写真なんですけど」
水嶋はそう言って、六条薫がいちばん最初に六角恵梨香に襲われた近くのコンビニの監視カメラが捉えていた映像から切り取った写真を見せた。
そして、もう1つのアップ写真も用意してから水嶋は尋ねた。
水嶋:「この写真の人物は、貴方ですよね。
被害者の男性の同僚であの日彼を助けた女性が、遠山さんが警察署まで同行してくれたが、いつの間にか居なくなっていたと言ってて…」
遠山:「…ああ、はい。
車の中に財務官を待たせていることを思い出して、慌ててまして…。すみません…」
水嶋:「いや、そうゆう事情ならいいんです。た、ただ、ですね。
少し、気になることがありまして…ね。」
水嶋はそう言って、写真の中の遠山のブレザーの襟に光る金色のバッチを指差して、おずおずと問い掛けた。
水嶋:「これ、ひょっとして弁護士バッチか何かですか?お、公にしたらマズイと思いまして……」
遠山:「水嶋さん」
遠山はそう言って、にこりと笑いながら自身のブレザーの襟に、水嶋に視点を向けさせた。
それは、金色の向日葵の形をした------------。
水嶋:「ブローチ!」
遠山:「はい。子供の頃に、頭取に誕生日プレゼントで頂いて以来、肌身放さず持って歩いてるんです。
…そっか、このピンボケの写真じゃあ、バッチにも見えなくないかぁ」
遠山は暢気に笑っていたが、水嶋の立場としては身が縮む思いである。
水嶋:「申し訳ありません!
財務官の秘書の貴方が弁護士の資格を持っていたらって勝手に妄想を…!」
遠山:「いやいや!
頭を上げてください。気にしてませんよ」
頭を深々と下げる水嶋に、遠山はこう言ってきた。
遠山:「水嶋さんは刑事ですもんね。
大変でしょう、巷では槐事件も捜査が難航しているとか」
水嶋:「………………。」
------------To be Continued...