*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋7』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第7章です⇒
story.7:『家族とは』
翌日の朝、ベッドの上で布団がもぞもぞと動き出し、寝惚けた顔が布団からひょっこりと出てきた。
七条直弥は、ケータイの着信音で目が覚めたのだ。
直弥:「…あ、水嶋さん」
メールの相手は、水嶋だった。
直弥はすぐにメールの内容を見て、起き上がった。
『家の近くの公園にいます。
学校へ行く準備が出来たら、そこまで来れますか? 水嶋』
直弥はすぐに学校へ行く準備をして、部屋から飛び出した。
階段を降りている途中、居間で話し声が聞こえた。
姉:「美味しい!このオムレツ」
母親:「まぁ、嬉しいわ」
父親:「母さん、コーヒーお代わりしていいかな」
母親:「えぇ、ちょっと待って」
そんな和やかな家族団欒が直弥の目に入った。
だが、当然のようにそこに自分が入れる隙はなかった。
玄関口に向かうと、靴箱の上に千円札と『行ってらっしゃい。昨日みたいなことがないように早く帰って来なさい』と言う母親からの書き置きがあった。
直弥:「…っ」
直弥はそのメモをくしゃりと握り潰すと居間へ向かった。
バンッ!!------------と、ドアを開け放つと両親と姉がこちらを見てくる。
直弥は握り潰した書き置きの紙を近距離から母親に叩きぶつけた。
母親:「きゃっ!」
直弥:「余計なお世話なんだよッ!!この無能女がッ!!」
直弥はそう怒鳴り付けてから、その場から出ていく。
その後ろで、姉が泣き声を出す母親に寄り添って言った。
母親:「うっ…」
姉:「母さん、大丈夫?」
母親:「あ、歩美…っ」
そんな母親の姿を見た姉・歩美は、バッと立ち上がり父親の制止を無視して玄関にいる直弥を追い掛けて行く。
歩美:「ちょっと!酷いじゃない!実の母親に無能なんて…!!」
直弥:「……………。」
歩美:「ねぇ、無視しないでなんとか言いなさいよ!!」
そう言って、歩美が直弥の肩に触れた瞬間、直弥は歩美の手を強く叩いた。
パシィッ!!
歩美:「ッ…」
直弥:「…朝から、人をイラつかせんなよ。平和に朝食摂りたいならさっさと居間に戻れば?」
直弥は冷酷な瞳をして、歩美を睨み据えた。
歩美は青い表情をしながら、黙りこくる。
その様子を見てから、直弥は靴箱の上に置きっぱなしの千円札を掴んで玄関から出ていった。
------------中学1年生の秋、母親が突然、今の父親と子連れ再婚した。
僕は、母親が義父と交際していることすら知らなかったのに姉の歩美は、両親が再婚する以前から3人で遊びに出掛けたりして、既に母親と仲良しだった。
……自分だけが知らなくて、自分だけが蚊帳の外だった。
『はい。これ、直弥の晩ごはんね。ちゃんと残さず食べるのよ』
母親はそう言って、晩ごはんを乗せたお盆を僕に差し出し、僕が受け取ると、部屋に自分を閉じ込めた。
母親は、義父と歩美が待つ居間で賑やかな食卓を囲んで楽しそうだった。
僕は、あの家族団欒に入っちゃいけない。
なら、どうして自分は"ココ"にいるんだ?
こんな扱いされるくらいなら、捨てられた方がずっとマシだ。
だけど、僕は母親よりも一番気に食わないのは、姉の歩美だ。
直弥:("良い子はキライ")
第7の槐に選ばれた時、僕のラストターゲットは歩美で決まっていた。
だって義父の方は、絶対に歩美のために再婚したから。
母親もそれを知っている------------だけど、義父は僕を息子と認めるつもりなんかなかった。
だから再婚してから2年------------義父とまともに話したことはない。
昨日だって、水嶋さんたちの話をうわべ返事だけをしていた。
直弥:(けど、別にどうでもいいんだー…)
嫌いよりタチ悪いけど、いっそのこと、自分に対してとことん無関心の義父との関係は楽だ。
一応、世間の目もあるから高校にも進学させてくれるつもりらしいし、義父なりに一応、僕に対する責任を果たしてくれている。
直弥:(だから例えば、卒業後に独り暮らしがしたいと言えば、それなりに協力はしてくれる…)
根は悪い人ではない、というのが義父への印象である。
僕があんなことをしても、義父は母親を責めたりしないだろう。
------------だけど、やっぱりああやってイチイチ突っ掛かってくる歩美は嫌い。
実母似なんだと思うが、正義感なんて僕にはムカつくだけだ。
直弥:(縁、切りたい)
あのムカつく歩美と------------と、その時また肩に手が触れて自分を呼んだ。
水嶋:「おいおい……何処へ行く気だよ、直弥くん」
直弥:「水嶋さん、石塚さん……と、誰ですかあの人たち」
昨日出会った水嶋と石塚の後ろに、2人の若い男性と警察制服を着た女性がいた。
石塚:「おはよう、直弥くん。
彼らは俺たちの部下なんだ。」
高柳:「高柳です」
白波:「白波です」
不知火:「不知火花穂です!」
直弥:「は、はぁ…?」
水嶋:「すまん、不知火以外の2人は勝手について来たんだ、気にしないでくれ」
直弥:「そうなんですか…」
と、言うことはこのツインテールの女性、不知火花穂という人は今回の一件の協力者か。
有り難いのか、やりにくいのか分からない状況に直弥が困惑していると、水嶋はそんな直弥に気付いて高柳と白波を見て言った。
水嶋:「ほれ!お前らまで来るから直弥くんが混乱してんだろ?
お前らは本来の仕事に戻れ」
高柳:「いえ!何か役に立てるかもしれませんし…!」
白波:「それに、警部2人が揃ってイジメ問題の解決に乗り出されたら、下の人間は単に困ります」
石塚:「大丈夫だって…。それに、我々もそんな長居するつもりはないんだ。」
直弥:「そうなんですか?」
直弥がそう聞くと、水嶋がこう言った。
水嶋:「とある事件の加害者に事情聴取の予定が午後にあってな。
学校が終わる頃に迎えに行くから、それまで不知火と居てくれ」
直弥:「不知火さんと…?まさか不知火さんに潜入捜査をさせるつもりですか?」
直弥は首を傾げながら、誘導されるがまま車に乗せられる。
ドアを閉めて石塚が運転を開始すると、水嶋がこう言った。
水嶋:「昨日言っていた保健室担当の若月先生のところへ行く。
そんで許可が降りたら直弥くんはしばらくの間、保健室登校するんだよ」
直弥:「保健室登校、て…効果ありますか?」
石塚:「分からん。そこで清掃会社と交渉して、そこの不知火さんを校舎に潜入させます。」
高柳:(不知火さんが清掃員って、すごい心配なんだけど…)
高柳の心配をよそに、水嶋はこう言った。
水嶋:「正直、不知火だけでは心配だから、なるべく若月先生に傍にいてもらおう。しばらくはイジメっ子たちの様子見をしよう」
水嶋は、続けて言ってきた。
水嶋:「直弥くんで暇潰しが出来なかったら、別の子に行くかもしれない。
隙を狙って、直弥くんに急接近してくるかもしれない。どちらにしろ、イジメは今や社会問題になっている。
直弥くんが警察に依頼してきた時点で、俺たちは教育委員会に潜入の許可も貰って来たんだ。」
直弥:「す、すごい…」
石塚:「時間は掛かるかもしれないけど、俺たちは君の味方だよ」
直弥:「……!」
ミラー越しに見える優しい石塚の表情、そして水嶋の強く頼りがいのある手を感じて、直弥はとても嬉しくて泣けてきた。
今まで、家族にすら見放されていた自分を助けてくれる大人がいるって知り、直弥は心から安堵したのであった。
直弥:「あ、ありがとうございます!よろしく、お願いします!」
------------To be Continued...