*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋7』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第7章です⇒
story.22:『義父の死』
母親:「あなた…っ……あなたぁ……!」
……そんな、母親の叫び泣く声が病院の霊安室で響いた。
義父の遺体にすがり付いて泣く母親を、直弥は水嶋と共に黙って見ていた。
あの後、救急隊が到着した頃に母親が昼食の買い物袋を持って帰って来た。
義父、そして、歩美が救急車で運ばれ、現在自宅では現場捜査が行われている。
義父は、鈍器のような物で頭を数回殴られたことによる頭蓋骨損傷と出血死だった。
一方の歩美も2回、同じ鈍器のような物で頭を殴られたが、一先ず命は助かり、病室で安静に眠っているが…。
直弥:「…どうしよう」
水嶋:「直弥くん…」
直弥:「どうしよう…!」
直弥は顔を両手で覆い、身体を奮わせながら言った。
直弥:「歩美ちゃんが目覚めたら…っ……おじさんの、ことを……どうやって……っ…!」
水嶋:「直弥く…」
母親:「直弥のせいよ…」
水嶋が直弥のことを宥めようとした時、泣きっ面の母親がそう言って直弥を睨む。
母親:「アンタのお父さんの時もそうよ!
アンタがもっと早く助けに行っていればっ……!」
母親はそう言いながら、義父の亡骸を見つめて、また泣きそうになる。
直弥は、母親に言われたことで実父が死んだ日を思い出して、悲しく俯いた。
直弥:(僕のせいで…っ)
とうとう泣き出す直弥の肩に手を置き、水嶋は直弥を抱き寄せた。
直弥の髪を優しく撫でながら、水嶋は母親を見た。
水嶋:(遅かった…)
恐らくこの事件には、母親が何らかの形で関係している。
水嶋:(証拠はねぇ……けど、)
少なくとも、こんな時に自分の息子にあんな責め方をするなんて母親として失格だと思う。
義父のことは残念でならない。
だが、歩美と直弥は無事だった。
少なからず、義父の立場ならその事はとても安堵しているだろうと水嶋は思った。
水嶋:(母親の身辺調査とかした方がいい。絶対に!)
でなければ、本当に第7の槐かもしれない直弥が槐と化す可能性も充分に有り得るのだ。
水嶋:(第7の槐事件が発生したら、最悪、母親が殺害される…その前に止めてみせる!)
水嶋はそう決意をしてから、直弥に話し掛けた。
水嶋:「直弥くん。俺、これから歩美さんのところへ行くけど……どうする?」
直弥:「は、はい……行き…ます」
直弥も、母親とここにいることが辛いのだろう。
水嶋は直弥を連れて母親を残し、霊安室から去って行く。
------------カチャンッ
扉が閉まると、それまで啜り泣いていた直弥の母親はピタリと泣くのを止めた。
そして、義父の遺体から離れて近くにあったパイプ椅子に座る。
すると、何か恨めしそうな表情をしながらこう口にした。
母親:「歩美……直弥……。
アンタたちに生きていてもらえると、困るのよ------------…」
--------------------------…
薄暗い場所から、明るい場所へ出てきた。
とはいえ、外はすっかり夜だった。
直弥は足取り重く、歩美がいる個人病室の前まで来た時、水嶋が後ろからやって来た高柳に声を掛けられる。
高柳:「水嶋先輩。現場にいる石塚警部が、水嶋先輩に見てほしいものがあるから来てくれって言ってました。」
水嶋:「…っと、そっか。
直弥くん、すまない。ちょっと、直弥くんの家に行って来る。
すぐに戻って来るからね」
直弥:「…………………。」
水嶋の話を、直弥は聞いていなかった。
それよりも、歩美がいる病室の向こうへ踏み入れるのに迷いが出来てしまって。
直弥:(でも、会わなきゃ)
歩美に、義父のことを話さなきゃいけない。
そして、歩美はきっと犯人の顔を見ているかもしれない。
直弥:(もし、犯人が分かったら------…)
そう思った時、直弥は思い出す。
『直弥くんが"第7の槐"だと言うことは、何が何でも信じるつもりはない------------』
義父が、自分を認めてくれた時に言ってくれた言葉…。
直弥:(そういえば、僕……おじさんのこと、一度も"お父さん"って呼べなかった……)
そう思ったら、直弥の両目から大粒の涙が溢れてくる。
俯いて、大粒の涙は床に一つ、また一つと溢れ落ちた。
直弥はしばらく、病室の扉の前から動けなかった。
水嶋はそんな直弥を残して行くのは名残惜しいと、先に高柳を現場に向かわせ、直弥が落ち着き、病室へ入るまで一緒にいることにしたのだった。
------------To be Continued...