*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋7』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第7章です⇒
story.26:『正義感』
------------一週間前、父親が亡くなったあの日の夜、歩美は長くて短い夢から覚めた。
夢の中には、先に病気で亡くなった実母が出てきた。
とても優しい表情をしながら、自分の頭を撫でてくれた。そこには父親もいて、とても幸せな夢------------だけど、自分はすぐに誰かの泣き声に気が付いた。
泣き声がした方へ近付くと、そこには幼い姿の七条直弥が大声で泣いていた。
だけど、歩美は声を掛けられなくて、しばらく見守っていた------------その時だった。
『おっ…お父さぁーん…っ!』
直弥がそう声を上げた時、彼の傍でピクリとも動かない男性の存在に歩美は気が付いた。
歩美が嫌な予感を察した時、直弥はこう言った。
『赦さないっ…』
その目は、妖しく何かを見据えていた。
『お前に、復讐する------------!!』
瞬間、直弥は急に成長して、しかも黒装束を身に纏い、首には紫色のスカーフをしていた。
それは、何度もニュースで聞いた槐事件の犯人の服装と似ていた。
そして、直弥は遠くへ向かって走り出す。
----------その先にいたのは、父親の命を奪ったであろう人物。
そして自分のことを殺そうとした、自分たちを裏切った義母の姿だった。
『俺はッ!!』
直弥はナイフをしっかりと握りながら、こう叫んだ。
『第7の槐だ------------!!』
その直後、義母はナイフで全身を傷付けられて生き絶える。
歩美はそんな義母を見て、何故だか心の中がスーっとした。
……どういう理由かは知らない。
ただ、父親を騙し、自分たちを裏切った義母が憎い。
"復讐してやりたい"。
そう強く思ったことは、隠し通すことの出来ない事実。
実の両親を亡くした自分と、実父を亡くし、実母に裏切られた直弥の気持ちを思えば、自然な心境だと思ったのだ------------が。
『歩美ちゃん』
直弥が自分の名前を呼んで、こちらを優しい表情で見ている。
だが、その口から発せられたのは……
『さようなら』
直弥は、フッと足から崩れ落ちるように倒れそうになる。
『直弥くんッ!!』
自分は急いで直弥の傍へ駆け付けたが、自分が手を掴もうとした瞬間、直弥は砂となってしまう。
深い孤独が、襲ってきた------------。
直弥:「!歩美ちゃん…っ」
------------夢から覚めたのは、そんな時だった。
目の前にいたのは、直弥一人。
直弥は先ほどまで泣いていたのか、目の辺りが真っ赤にして、こちらを見ている。
歩美:「…なお、や…くん……」
歩美が名前を呼ぶと、直弥はホッとした顔を見せた。
直弥のホッとした顔を見た直後、歩美はすぐに父親のことを尋ねた。……父親は、亡くなっていた。
怯えた表情でまた泣きそうになりながら必死に謝罪をする直弥を慰めたかったが、自分も父親を助けられなかった後悔を思い出して、天井に視線を向けた。
涙を、流さないように。
すると、直弥がこんなことを言ってきた。
直弥:「……僕は、自分のお父さんも……おじさんも、助けられなかった。お父さんは、僕が見捨てたせいで……女の人に、風呂場で…っ…溺死させられたんだ。」
歩美:「…!」
夢の中の出来事が甦る。死因は知らなかったが、歩美の中で恐怖心が生まれる。
夢の中で、直弥の実父が死んでいた。
直弥は槐と化し、義母を殺した。
歩美:(直弥くんが言った"女"って…)
歩美がそう思っていた時、直弥の口から衝撃的な言葉を聞いた。
直弥:「さっき、お母さんに言われちゃった……。アンタのせいで、おじさんも、お父さんも…っ」
歩美は、ショックを受けた。
思わず直弥のことを凝視しながら、先ほどの夢と直弥が今、口にした言葉を重ね合わせた。
歩美:(何で、直弥くんを責めるのよ…)
------------父親を殺したのは、アンタ(義母)じゃない!
歩美は掛け布団を強く握り締めながら、唇を噛んだ。
歩美は直弥を見て、こう言った。
歩美:「直弥くんが悪く思うことない。------------私、見たんだこの目で。犯人の顔を…」
直弥:「…!」
歩美の言葉を聞いて、直弥が強く反応した。
歩美はこう思った。義母の悪事を話して、直弥と一緒に義母を法律で裁く。
そして直弥を連れて、歩美の父親の田舎で暮らそう。
自分は直弥の"義姉"ではなく"姉"だから、直弥を守らないと。
歩美:(直弥くんを、あんな女とおんなじにしちゃいけないっ!)
歩美はそう決心しながら事実を話した後、直弥に『一緒に義母を警察に訴えよう』と言った------------が、直弥の口から出た言葉は違った。
直弥:「いや…警察に訴えたところで、いつか刑務所から出てくれば同じだよ」
確かに、そうかもしれない……だけど------------。
直弥:「言ったでしょう?僕は、"第7の槐"になれる資格を持っているんだよ」
直弥の口から、再び復讐を謳う連続殺人鬼の名前が出る。
直弥:「失ったものは、戻らないんだよ……もう、二度と。」
直弥の目は、1ヶ月前のあのイジメ問題で学校に呼び出されたあの日に見せた時とは違った。
ただ、憎い。悔しい------------そんなものではなく、冷酷に冷めきった人を脅かす瞳。
だけど、直弥の手の温もりだけは自分のことを救おうとしてくれていた。
直弥は、父親の命を奪った自分の産みの母親に復讐しようと考えている。
歩美:「そう…だけど…っ……」
それでも、自分には耐えられないのだ。
歩美:「直弥くんが槐になっちゃったら………私、本当に…独りぼっちになっちゃう…っ」
実母が病気で亡くなった時、自分は幼くて、"悲しい"とか分からなかった。
だって、自分には父親がいた。
……その父親も亡くなり、義母には裏切られて、しかも義母は自分を殺そうとした。
退院した後、自分は今度こそ殺されてしまうかもしれない。
------------それでも、独りぼっちにはなりたくはない。
歩美:「お父さんが死んで……お母さんに裏切られて……っ………その上、直弥くんにまでいなくなられたら……っヤだよぉ…!」
自分は、強い子じゃないもの。
これ以上、失ったら立ち直れなくなる…。
歩美は直弥を見ながら、涙しながら、こう訴えた。
歩美:「直弥くんのことは……お姉ちゃんが、守るからっ!」
直弥:「!…………歩美、ちゃん。
…っ……でも僕、もう……ムリだよ------------…"あの人"のこと、忘れたいんだ。」
直弥は深く俯きながら、ポツリと呟くように言った。
直弥:「"槐ゲームに参加すれば"…………お母さんの記憶を消してくれる。」
"だから、槐になるの?"。
歩美はその言葉を喉の辺りで飲み込んでしまった。
自分以上に、義母に裏切られ続けた直弥のことを思ったら、歩美はそれ以上の言葉を言えなかった。
------------To be Continued...