*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋10』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
次から、『純血の殺し屋』の第10章です⇒
story.8:『困惑』
安住順一の長女・美佳の悲鳴と、その夫の弘の呼び声を聞いて、水嶋、高柳、白波は先行して2階へ上がった。
2階へ上がると、1ヶ所だけドアが開いていたので水嶋はその部屋に飛び込む。
すると、兎の仮面の女が美佳の胸にナイフを突き刺している姿があった。
水嶋:「加藤さん!?」
兎の仮面の女こと、加藤智秋を見付けた水嶋が駆け寄ろうとすると、加藤はナイフを美佳の胸に突き刺したまま立ち上がり、胸元のポケットから『悪魔のカード』を取り出して、水嶋に向かって投げ放った。
水嶋:「!」
加藤はそのままベランダの窓から逃げ出そうとする。
高柳:「止まれ!」
白波:「止まらなければ、撃ちます!」
高柳と白波は拳銃を構えて警告すると、加藤はチラッとこちらを振り返った。
水嶋は高柳と白波の真ん中に立つと、こう話し掛けた。
水嶋:「なぜ、こんなことをするんだ?
復讐なんて、したところで虚しいだけだぞ…」
加藤:「…………。」
水嶋がそう言うと、加藤は少し俯いてから言ってきた。
加藤:「その人を助けたいなら、早くした方がいいですよ」
水嶋:「加藤さん…」
加藤は倒れている美佳の方を見てから、さっさとベランダから去ってゆく。
高柳:「待ってくださいっ!」
高柳と白波はすぐにベランダへ出ると、加藤の姿はどこにも見当たらなかった。
すると、後から追ってきた順一や知子たちが悲鳴を上げる。
知子:「いやぁ!美佳!」
順一:「美佳…っ」
水嶋:「高柳、すぐに救急車と警視庁に連絡しろ!」
高柳:「はいっ」
水嶋の指示で、高柳と白波がそれぞれ電話を掛ける。
水嶋:「応急措置をします!
きれいなタオルを持って来てもらえませんか」
太一:「は、はい」
次男の太一が慌ててその場から立ち去ると、水嶋は自分の手元にある『悪魔のカード』を見る。
『悪魔のカード』には、やはり『rabbit』という文字が書かれている。
水嶋:(加藤さんの、復讐……なのか?)
それとも先ほど順一から聞いたもう1人の息子・十条隆志も関係しているのか。
水嶋:(加藤さんを止めるには、十条隆志さんに会わないと!)
水嶋はそう決めてから、重症を負っている美佳の応急措置を始めたのであった。
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隆志:「はぁ〜…」
同じ時間、ホストクラブの控え室のベンチに座っていた十条隆志は重いため息を付いた。
昼間、母親に電話した後に見たテレビで槐事件のことが報道され、落ち込んでいたのだ。
隆志:(何でだよ…)
まさかとは思うが、父・安住順一は自分の母親以外にも愛人と子供がいるというのか。
隆志:(俺は何もしてないのに…)
いや。自分が何もしないから誰かが槐事件を起こしているのだ。
隆志:(第5の槐ゲームみたいに、代理がいるのか…)
だとしたら、それは誰なのだ。
隆志:(それとも第2の槐ゲームのような感じなのか?)
第2の槐ゲームといえば、猿の仮面の男だった酒田雅春が第2の槐こと、二条武長の罪をすべて被って自殺した。
隆志:(いやいや。そもそもあれはターゲットが同じだったからだったんじゃ…)
第2の槐ゲームが終わった後、"ご主人様"からのメールでそう書いてあったはず。
隆志:(残っている仮面の人たちって何人だったっけ?)
確か、犬と兎だったかも。
猿と狐と鳥はもうこの世にはいないから。
隆志:(代理がいなかったら、犬か兎が俺の代わりに事件を起こしてるってこと…?)
つまり犬か兎のどちらかが、順一のもう1人の子供ってことになるのだろうか。
隆志:(だとしたら、父さんの自業自得じゃねぇか…)
いや。狙われたのは正妻の子供だからそんな言い方はないか。
隆志はそう思っていると、ふと1人の男を思い出す。
隆志:(水嶋…律さん)
この槐ゲームの中心に立たされている、槐たちの唯一の味方だと教えられた刑事さん。
隆志:(会わなきゃ…)
仮面の人たちに見付かる前に。
隆志:(でもどうやって会えば----------)
第4の槐こと、四条勇人は警察署に自首した後、嫌な目に遭っていると聞いている。
それに自分にも何かしらのマインドコントロールが懸けられているかもしれない。
警察署に出頭しても、槐ゲームのことを話せるかどうか…。
隆志:(水嶋さんからこっちに来てくれたりしてくれないかな…)
そんな甘いことを考えていた------------その時だった。
店長:「隆志ぃぃぃっ!
お前、いつまでお客様を待たせる気だぁぁぁ!!」
隆志:「うおっ!?」
そうだ。ここは職場だった!
隆志:「い、今、行きますぅ!」
隆志はベンチから立ち上がり、ドアの前に立つ店長をすり抜けて仕事に向かった。
隆志はもやもやした気持ちを抱えたまま、また考える。
隆志:(父さん……気付け)
何もしてないけど、自分が第10の槐なんだということを。
隆志:(そんでケーサツに俺のことを話してくれたら…)
この槐ゲームを止められるかもしれない------------…そんなことを思っていたが、フロアーの近くに来ると、隆志は頬を叩いて気持ちを切り替える。
隆志:(とにかく今は仕事だ)
槐ゲームのことは気になるけど、ここでは表に出すわけにはいかないから…。
------------To be Continued...